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衆議院の優越6つをそれぞれの特徴とおすすめの覚え方を解説します。また衆議院の優越の一覧表も紹介します。衆議院の優越のそれぞれを練習問題付きで解説するので中学生の方でも高校生の方でもわかりやすいように解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
衆議院の優越6つの一覧表
衆議院の優越6つを表形式で紹介します。
| 項目 | 内容 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 内閣総理大臣の指名 | 両議院の議決が異なった場合、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が衆議院の指名後10日以内に指名しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる | 憲法第67条2項 |
| 予算の先議権 | 予算は必ず先に衆議院に提出しなければならない | 憲法第60条1項 |
| 予算の議決 | 参議院が衆議院と異なった議決をした場合、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が衆議院の可決後30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる | 憲法第60条2項 |
| 条約の承認 | 参議院が衆議院と異なった議決をした場合、両院協議会を開いても意見が一致しないとき、または参議院が衆議院の承認後30日以内に議決しないときは、衆議院の議決が国会の議決となる | 憲法第61条 |
| 法律案の議決 | 参議院で否決された法律案でも、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば法律となる | 憲法第59条2項 |
| 内閣不信任決議権 | 衆議院のみが内閣不信任決議を行うことができる(参議院にはこの権限がない) | 憲法第69条 |
衆議院の優越6つをそれぞれ解説
日本国憲法では、衆議院に参議院より強い権限を認めています。これを「衆議院の優越」といいます。
6つのそれぞれの項目について解説します。
内閣総理大臣の指名について
内閣総理大臣を選ぶとき、衆議院と参議院で違う人を選んだ場合、最終的には衆議院が選んだ人が総理大臣になります。具体的には、両院協議会を開いても意見がまとまらない場合や、参議院が衆議院の指名後10日以内に指名しない場合、いずれも衆議院の議決が国会の議決となります。
なぜ衆議院が優越するのでしょうか。それは衆議院議員の任期が4年と短く、解散もあるため、国民の意思をより新しく反映していると考えられるからです。
練習問題です。衆議院が鈴木太郎氏を、参議院が田中花子氏を内閣総理大臣に指名しました。両院協議会を開きましたが意見が一致しませんでした。この場合、誰が内閣総理大臣になりますか。
答えは鈴木太郎氏です。衆議院が指名した人物が内閣総理大臣になります。
予算の先議権について
予算案は必ず衆議院に先に提出しなければなりません。参議院に先に出すことはできません。これは衆議院だけに認められた特別な権利です。
なぜこれが重要なのでしょうか。国の予算は国民生活に直結する重要事項です。より国民に近い衆議院で先に審議することで、民意を反映させやすくしています。
練習問題です。次の文章の正誤を答えなさい。「内閣は、新年度の予算案を参議院に先に提出し、審議が終わってから衆議院に提出することができる」という文章です。
答えは誤りです。予算案は必ず衆議院に先議しなければなりません。
予算の議決について
予算について衆議院と参議院が違う結論を出した場合、衆議院の議決が国会の議決となる場合があります。それは両院協議会を開いても意見が一致しない場合と、参議院が衆議院の可決後30日以内に議決しない場合です。
ポイントとして、参議院の「みなし否決」制度があることを覚えておきましょう。30日以内に議決しないと、自動的に衆議院の議決が優先されます。
練習問題です。衆議院が予算案を可決しました。参議院では審議が長引き、40日経っても議決されませんでした。この予算案はどうなりますか。
答えは成立します。30日以内に参議院が議決しなかったため、衆議院の議決が国会の議決となります。
条約の承認について
外国との条約を結ぶとき、国会の承認が必要です。予算と同じルールが適用されます。両院協議会を開いても意見が一致しない場合や、参議院が衆議院の承認後30日以内に議決しない場合、これらの場合には衆議院の議決が国会の議決となります。
練習問題です。衆議院がA国との通商条約を承認しましたが、参議院は否決しました。両院協議会でも意見が一致しませんでした。この条約は承認されたことになりますか。
答えははい、承認されたことになります。衆議院の議決が国会の議決となるからです。
法律案の議決について
法律案の場合、他の項目とは少し違うルールです。参議院が否決した法律案でも、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再可決すれば、法律として成立します。
ポイントとして、3分の2以上というハードルがあること、他の項目のような30日ルールはないこと、これを「再議決」というということを覚えておきましょう。
練習問題です。ある法律案が衆議院を可決しましたが、参議院で否決されました。衆議院では出席議員300人中、220人が賛成しました。この法律案は成立しますか。
答えは成立します。220人は300人の3分の2である200人を超えているため、再可決の要件を満たしています。
内閣不信任決議権について
内閣に対して「信任できない」という決議ができるのは、衆議院だけです。参議院にはこの権限がありません。
内閣不信任決議が可決されると、内閣は10日以内に衆議院を解散するか、総辞職するかのどちらかを選ばなければなりません。
なぜ衆議院だけなのでしょうか。衆議院は解散があるため、内閣と衆議院は運命共同体のような関係にあります。この緊張関係が議院内閣制の本質なのです。
練習問題です。次の文章の正誤を答えなさい。「参議院も衆議院と同様に、内閣不信任決議を行うことができる」という文章です。
答えは誤りです。内閣不信任決議権は衆議院のみに認められています。
衆議院の優越のおすすめの覚え方
衆議院の優越のおすすめの覚え方を紹介します。
頭文字で覚える「そよふじょうほふ」
衆議院の優越の6つの項目の頭文字を取って覚える方法です。
「そよふじょうほふ」と唱えましょう。
そは総理大臣の指名、よは予算の先議権、ふは予算の議決、じょうは条約の承認、ほは法律案の議決、ふは不信任決議です。
少し言いにくいですが、何度も口に出して練習すると覚えられます。
グループ分けで覚える
衆議院の優越の6つの項目を3つのグループに分けて覚える覚え方です。
第1グループは「人を決める」です。内閣総理大臣の指名と内閣不信任決議が該当します。どちらも内閣に関することです。
第2グループは「お金と外交」です。予算の先議権、予算の議決、条約の承認が該当します。国のお金と外国との約束に関することです。
第3グループは「法律だけ特別」です。法律案の議決だけが3分の2という特別ルールがあります。
対比で覚える
衆議院だけができることと、衆議院の議決が最終的に優先されることを分けて覚える方法です。
衆議院だけができることは2つです。予算の先議権と内閣不信任決議権です。「先に審議する権利」と「内閣をクビにする権利」は衆議院専用と覚えましょう。
衆議院の議決が優先されるものは4つです。総理大臣の指名、予算の議決、条約の承認、法律案の議決です。これらは両院で違う結論が出たとき、最終的に衆議院が勝ちます。



