伝統と革新が融合する国際空手道 円心会館福岡支部 – 瓜生代表指導員(志免・アクシオン道場)インタビュー

福岡県内で8ヶ所の道場を展開し、世界30カ国に広がる国際空手道円心会館。福岡支部の瓜生氏に、独自の指導理念や活動内容についてお話を伺いました。安全性を重視しながらも本格的な空手の指導を行い、幅広い年齢層に対応した教室運営の秘訣に迫ります。

幅広い年齢層に対応する円心会館の空手教室

ー円心会館福岡支部の対象年齢層について教えてください。

対象は年中さん(4歳)から受け入れており、60歳を超えた方まで幅広く指導しています。少年部のお子さんが入会し、後からお母さんも始められるケースもあります。4歳から60歳を超えた男性・女性まで方幅広く空手の指導を行っています。

世界的格闘技団体の福岡における拠点の誕生秘話

ー教室を始められた経緯やきっかけについて教えてください。

福岡支部の責任者である林哲史総師範(日本統括責任者)の経緯になりますが、林総師範は4歳から空手と剣道を並行して練習し段位を取得しておりました。総師範が学生の頃「空手バカ一代」という梶原一騎先生の人気漫画の作中に、実在の日本王者である二宮城光館長が登場していました。林総師範は強くなりたいという一心で、最も強い指導者の下で学びたいと考えていました。
当時はノックアウトを伴うフルコンタクト空手が「最強の格闘技」というイメージがあり、その中でも最強の選手と謳われた二宮城光館長の下で修行するため、渡米しデンバーの円心会館総本部に入門いたしました。林総師範は二宮館長のもとで内弟子として3年間の修行を完遂した初めての弟子となりました。
帰国時、林総師範は自身が強くなることは目指していましたが、教える立場になるつもりはありませんでした。しかし館長から「福岡の地で円心空手を広めてほしい」と強く要請され、1995年に福岡の高宮中学校で道場をスタートさせました。当初は同級生など一般部のみの指導でしたが、場所を借りる際に地域の方から子供たちへの指導も要望され、少年部も併設することになりました。

他団体にはない円心会館福岡支部の特色

ー他の教室にはない特徴や、教室としての一番のアピールポイントについて教えてください。

まず第一に、福岡県内で8か所の道場を展開しており、所属生徒は追加料金なしで自由に各道場の稽古に参加できる「エニタイム制」を採用しています。例えば私が責任者を務める志免道場とアクシオン道場の生徒は、両方の道場に通うことができます。また、高宮道場の稽古にも参加可能です。これにより、異なる学校や年齢の子どもたちが交流できる環境が生まれています。
第二に、独自のルールで大会を主催している点です。多くの空手団体は他団体主催の大会に参加するケースが多いですが、私たちは掴んで投げる技術も取り入れた独自ルールの大会を30年以上主催しています。また福岡県と福岡市から後援を頂いており公益性が高い大会と自負いたしております。
特に力を入れているのが、細かいクラス分けです。学年、体重、力量などを考慮したトーナメント組み合わせを行い、実力差が大きすぎないよう配慮しています。これにより初心者でも大会に参加しやすく、多くの子どもたちが成功体験を積める環境を作っています。
また、道場間の自由な行き来ができることで、異なる学校や年齢の子どもたちが交流する機会が生まれています。現代は核家族化が進み、異年齢交流の機会が減っていますが、当会では合宿なども実施し、子どもたちの社会性を育む場を提供しています。

安全と楽しさを重視した指導方針

ー受講者を指導する際に特に意識していることを教えてください。

特に子どもたちが多いため、安全面に最も気を配っています。足や拳に付けるプロテクター、ヘルメットなどの安全防具を確実に着用させています。組手(自由に突いたり蹴ったりする実践的な練習)では、初心者には経験者や年上の子が付き、怪我のないよう配慮しています。
礼儀の指導も重視しています。現代の子どもたちは厳しく叱られる経験が少ないですが、保護者の方々は礼儀作法を求めておられます。体罰は一切行いませんが、整列や号令、稽古前後の挨拶、大きな返事など、基本的な礼儀の部分は特に少年部で重視しています。
同時に、空手は痛みを伴う厳しい稽古もありますので、長続きするよう楽しさも大切にしています。稽古にリレーやゲーム要素を取り入れ、子どもたちが「また稽古に行きたい」と思えるよう工夫しています。
一般部では、社会人の方が多いためストレス発散を基本としながらも、競技志向の方には選手向けの稽古も提供しています。ダイエットや気分転換が目的の方から、選手として活躍したい方まで、幅広いニーズに対応しています。65歳で初段を取得する方など、当道場では初心者の方で興味があれば何歳からでも稽古に参加できるように配慮いたしております。
少年部も同様で、楽しく空手を学びたい子には無理に試合は勧めませんが、強くなりたい子には選手育成の稽古も行い数多くのチャンピオンを輩出いたしております。

多様なニーズに対応する料金体系とコース設定

ー提供されているコースやプランについて教えてください。

少年部(小学生まで)は、分道場(常設道場以外)が月謝3,300円、本部道場(常設道場)が4,400円です。高校生・大学生は5,000円、女性は4,400円、一般男性は7,000円となっています。クラス編成は、基本的に少年部と一般部の2つに分かれており、中学生は少年部と一般部の両方に参加できます。

今後の展望:継続率向上と親子クラスの充実

ー今後強化していきたい点があれば教えてください。

多くの道場が抱える課題として、小学校低学年から入会したお子さんが中学校進学と同時に部活動を理由に退会するケースが多いことが挙げられます。私たちの一般部で活躍している選手の多くは少年部から継続している方々です。中学生になっても週1回でも続けられるような工夫をしていきたいと考えています。
現在、中学校の部活動は地域移行が進んでおり、私たちが高宮中学校や志免東中学校などの施設で稽古を行っていることもあり、中学生の受け皿となる体制を整えていきたいと思います。
また、幼児クラスへの問い合わせも増えており、この部分に力を入れていく予定です。試験的に保護者と子どもが一緒に稽古できるクラスを設けており、親子で空手を楽しめるような新しいクラス作りも検討しています。

安全で挑戦しやすい環境づくりを目指して

ー入会を考えている生徒さんや保護者の方へメッセージをお願いします。

当会では入会金無料のキャンペーンを通年実施しています。また、少年部のお子さんには道着を無料でプレゼントしています。先述したように、追加費用なしで各道場に自由に参加できる点も大きな特徴です。
月謝も少年部が3,300円(分道場)または4,400円(本部道場)と、福岡県内でもかなりリーズナブルな設定になっています。私たちの団体は世界30か国で活動する国際的な組織ですが、この月謝体系は恐らく世界規模で展開している道場では最安値と言えるでしょう。これは空手以外の習い事をされるお子さんが多いので経済的負担を抑える努力をいたしております。また負担がないように保護者の方は、お子さんの道場の送迎くらいで、稽古の見学やその他の義務等は当道場にはございません。
年2回開催している九州大会と全日本大会には、オーストラリアやカザフスタンなど海外の支部選手も参戦することがあり、国際的な経験も積むことができます。また、私たちが主催する大会は参加者の実力を把握した上で組み合わせを決めるため、実力差が大きくならないよう配慮されています。「空手を始めたい」「気が弱いので強くなりたい」というニーズにも応えられる道場だと自負しています。