現代社会において、ストレスや心身の不調を抱える人が増える中、真の癒しと自己回復の場を提供する『ヨーガセラピースタジオ ココロシャンティ』に注目が集まっています。一般的なヨガとは一線を画し、一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドのアプローチで、老若男女問わず多くの人々の心と体を支えているこのスタジオ。代表の岩﨑寿利さんのヨガとの出会いは、インドでのバックパッカー時代にさかのぼります。「初めてなのに初めてじゃない」という不思議な感覚とともに体験したヨガの深い癒しは、のちに人生の転機となりました。社会に揉まれ、心が疲弊した時期を経て、群馬県で開業したココロシャンティは(現在は栃木県足利市)、「緩く繋がる」コミュニティの温かさと科学的根拠に基づいた指導で、孤独やストレスを抱える現代人に寄り添い続けています。今回は、ヨガセラピーの魅力と、岩﨑さんが大切にしている「太陽のような完全性」の哲学について詳しくお話を伺いました。

Yoga Therapy Studio Cocoro Shanti 代表
こころのヨガの指導者
メンタルヘルス、自己肯定感向上、
ストレスケア、介護予防が専門
ヨーガ歴26年。指導歴16年。指導実績のべ2万人。
・NPO法人ヨーガ療法士協会群馬幹事長
・(社)日本ヨーガ療法学会認定ヨーガ療法士
・インド政府 Quality Council of India Level 2取得のヨガ教師
・国際ヨガDAY関東2023 日光東照宮事務局長
・大泉町社会協議会主催「介護予防教室」講師
・館林市共済会主催「メンタルヘルス講座」講師
・大泉町対人援助職の方向け「セルフケアとしてのヨーガ療法」講師
・群馬と栃木の依存症施設、ダルクでヨーガ療法のボランティア中
「その人だけのヨガ」~一人ひとりの心に寄り添うオーダーメイドセラピー

ー 岩﨑さん、本日はどうぞよろしくお願いいたします!まずは、どのような方を対象としたヨガスタジオなのか、またどのような指導を行っているのか、『ヨーガセラピースタジオ ココロシャンティ』の概要についてお聞かせいただけますか?
岩﨑寿利代表(以下、敬称略):体や心に不調を感じている方でも実践できる「ヨーガセラピー」という技法を提供するスタジオです。年齢制限は設けておらず、10代の方からシニアの方まで幅広い年齢層の方々が参加されています。80代の方でも無理なく行えるヨガですし、小学生のお子さんでも対応可能です。
一般的なヨガは先生のポーズを真似るというイメージがありますが、ヨガセラピーはまったく異なります。その日参加される生徒さん一人ひとりのお話をしっかり聞き、何が必要かを見極めた上で、その方に最適なメニューを提供するオーダーメイド形式です。小学生が来れば小学生に合ったプログラム、高齢の方には無理のないメニューというように、常に生徒さんに合わせたヨガを実践しています。
ー 一般的なヨガスタジオとヨーガセラピーの違いについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
岩﨑:最大の違いは「誰が誰に合わせるか」という点です。通常のヨガでは先生が決めたプログラムに生徒さんが合わせる形ですが、ヨーガセラピーではヨガが生徒さんに合わせます。たとえば教育現場で生徒のレベルに合わせて教え方を変えるのと同じように、ヨガも生徒さんの状態やニーズに合わせて変化させるのです。
その日「肩こりがつらい」という方、「仕事でイライラが収まらない」という方、「最近気分が落ち込みがち」という方、それぞれの状態に応じて、体操、呼吸法、瞑想、ヨガの哲学、カウンセリング的な対話など、その方に必要なものを提供します。これがヨーガセラピーの本質なのです。
「魂の帰還」~インドの山から始まった岩﨑さんの内なる旅

ー 岩﨑さんが『ヨーガセラピースタジオ ココロシャンティ』を開設された経緯やきっかけについて教えてください。
岩﨑:私の原点はバックパッカーとしてのインド旅行にあります。そこで初めてヨガを体験した時、不思議と「初めてやった」という感覚がなく、心に深い平和と喜びが広がったんです。それがとても印象的でした。
その後、就職して社会に揉まれる中で、精神的に追い詰められるような時期がありました。そんな時、インドで感じたあの静寂と平和を取り戻したいという思いからヨガを再開したんです。様々なヨガを体験する中で、一番心に響いた指導者に「このヨガはどこで学べますか」と尋ねたところ、「ヨーガセラピー」という道に導かれ、ヨガセラピストの資格を取得しました。
結婚を機に大阪から群馬県の館林市へ移住した際、自分自身が得た心と体の健やかさ、心の平和を多くの方々にも体験してほしいと思い、13年前(2025年現在)にスタジオをオープンしました。現在は栃木県の足利市に移転して1年が経ちます。
ー インドでヨガに出会った時の「初めてじゃない感覚」とは、どのようなものだったのでしょうか?
岩﨑:それは本当に不思議な体験でした。インドの山の上にあるお寺で、ギリシャ人の先生からヨガを学ぶ機会があり、現地で知り合ったヒッピーの方々に誘われて参加したんです。初めての体験のはずなのに、どこか懐かしさを感じる、魂が「帰ってきた」ような感覚がありました。それは言葉では完全に表現しきれない、深い安心感のようなものです。
ー そもそもですが、なぜバックパッカーとしての旅に出られたのですか?
岩﨑:振り返ると、常に「ここではない、どこか別の場所」に自分の居場所や幸せを求めていたのだと思います。高校時代にアメリカへ留学した経験から、次はアジアの文化を知りたいという思いが芽生えました。実は高校時代の自己紹介文に「将来の夢はインドに行くこと」と書いていたほど、元々インドへの憧れがあったんです。
しかし、皮肉なことにヨガを通して気づいたのは、「幸せは外に求めるものではなく、自分の内側にすでにある」ということ。どこに住んでいようと、どんな環境にいようと、自分の心の在り方で幸せを感じられるのだと学びました。今はこの足利市で心から幸せに暮らしています。
「緩やかな絆」~孤独を癒す心温まるヨガコミュニティの力

ー 他のヨガスタジオとは異なる、『ヨーガセラピースタジオ ココロシャンティ』ならではの魅力を教えてください。
岩﨑:研究でも示されているように、孤独は健康に大きな悪影響を与えます。私たちのスタジオでは、ヨガの前に必ず一人ひとりのお話を丁寧に聞くことから始めます。これが非常に重要なプロセスなんです。リアルでは接触が難しいコロナ禍でも、オンラインでつながることで「この困難を皆で一緒に乗り越えている」という連帯感を共有できました。
私たちが大切にしているのは「緩く繋がる」関係性です。強すぎる結びつきは時に重荷になりますが、お互いを尊重しながら緩やかにつながることで、孤独感を和らげ、心と体の健康を支えることができます。
また、私自身が大学院でヨガとメンタルヘルス、幸福感の関係について研究していますので、科学的エビデンスに基づいたアプローチができることも特徴です。感覚的なものだけでなく、実証された効果を意識したヨーガセラピーを提供しています。
ー 「緩く繋がる」という考え方は、現代社会において特に重要に感じますね。
岩﨑:そうですね。私たちのコミュニティでは、お互いの詳細な個人情報を知らなくても、顔と名前を覚え、その日の状態を感じ取って見守り合います。「今日はこの方が少し疲れているな」「あの方は今日はとても前向きな様子だな」と、お互いを優しく気にかけ、応援し合う関係性が自然と生まれます。
私はこの仕事を「みんなのごきげんな人生の伴走者」と捉えています。人生の長い道のりを歩む中で、互いに支え合いながら、それぞれが自分らしく輝く姿を見守る —— それがヨーガセラピーの本質的な役割だと考えています。
「雲の向こうの太陽」~誰もが持つ内なる輝きを解き放つ指導哲学

ー 生徒さんへの指導で特に意識されていることや、大切にしている方針はありますか?
岩﨑:ヨガには「一人ひとりの中にすでに完全性がある」という素晴らしい哲学があります。これは太陽が雲に隠れていても、その存在自体は変わらないのと同じです。誰もが内側に輝く太陽のような完全性を持っているのですが、様々な経験や考えが雲となって、その輝きを遮ることがあります。その結果、体や心に不調が現れるのです。
私の役割は、その雲を優しく払い、本来の輝きを取り戻すお手伝いをすること。だからこそ、生徒さんを否定せず、あるがままを受け入れることを大切にしています。その人の内なる光が自然と輝き出せるよう、必要なサポートを提供し、レッスン終了時には必ず笑顔で帰っていただくことを心がけています。
ー 人によって「雲」の厚さや性質も異なると思いますが、その違いにはどう対応されていますか?
岩﨑:その通りです。人それぞれ、抱える「雲」の質も量も異なります。大切なのは、その人のペースを尊重することです。気づきのタイミングは人それぞれですし、変化の速度も異なります。ですから決して押し付けず、その方の成長や変化を辛抱強く待つことを心がけています。
また、同じ言葉でも受け取り方は人によって異なりますから、その方の心に届く言葉や表現を常に模索しています。ヨーガセラピーは決して一方通行の指導ではなく、その場での対話と共感を通じて進む双方向のプロセスなのです。
「どこからでも繋がれる」~境界を超えて全国の心と体を支えるレッスン形態

ー 提供されているコースやプランについて教えてください。
岩﨑:基本的には4つのコースを用意しています。
オンラインでのグループレッスン、スタジオでのグループレッスン、そしてより個別対応のスタジオでのプライベートレッスン、オンラインでのプライベートレッスンです。
加えて、椅子に座ったまま行う「シニアヨガ」も提供しています。
特徴的なのは、オンラインと対面を組み合わせたハイブリッド形式の指導スタイルです。これにより全国各地の方々が参加できるようになりました。一般的なヨガでは講師が生徒のポーズを直接修正することがありますが、私たちはそのようなアプローチはとりません。代わりに、自分自身で気づきを得られるような声がけや誘導を大切にしています。そのため、オンラインでも十分な効果を得ることができるのです。
基本となるポーズはありますが、柔軟性がなくても無理なく実践できる方法を常に提案しています。例えば、肩こりや首の緊張を抱える方には、「緊張させてから緩める」という動きを通して、本来の自然な状態を体感していただきます。「力が抜けた状態を味わってください。これが本来のあなたの状態です。日常生活でも、緊張に気づいたら意識的に緩めることができるようになりますよ」といった指導を心がけています。
「豆腐メンタル時代の処方箋」~現代社会に必要とされるヨガセラピーの価値

ー 現代の閉塞感が漂う社会環境とヨガの相性についてどうお考えですか?
岩﨑:現代社会ではパワハラやモラハラなどのハラスメントが蔓延し、若い世代から中高年まで多くの方が精神的なストレスを抱えています。人間関係に疲れ、「人とのコミュニケーションよりAIとの関わりの方が気楽」と感じる方も増えています。
また「豆腐メンタル」という言葉があるように、傷つきやすさを抱える方も増えています。だからこそ、何を言っても否定されない安全な場所、ただただ受け止めてもらえる環境がより一層重要になっています。
ヨガの素晴らしさは、体を動かすことで自然と心の状態も変化していくところにあります。言葉だけでは解消しきれない感情の滞りも、適切な動きと呼吸によって流れ始めます。自己肯定感が低く自分を受け入れられない方々に、「ありのままのあなたでいいんだよ」というメッセージを、ヨガの実践を通して体感的に伝えています。
AIやYouTubeで無料のヨガコンテンツが溢れる時代だからこそ、一人ひとりの状態を見極め、その方に最適なヨガを提供する「人間味」のあるアプローチが求められていると感じています。技術の進化と並行して、人と人との温かいつながりの価値はむしろ高まっているのではないでしょうか。
「自分自身の調律師に」~日々をご機嫌に過ごすためのヨガの習慣化

ー 最後に『ヨーガセラピースタジオ ココロシャンティ』への入会を考えている方々へ、岩崎さんからメッセージをお願いします!
岩﨑:自分で自分の心と体の状態を整え、日々をご機嫌に過ごすための素晴らしい方法がヨガにはあります。外の環境に左右されず、内側から湧き上がる幸福感を育むことができるのです。
ぜひ、体も心も整う習慣として、ヨーガセラピーを日常に取り入れてみてください!あなた自身が本来持っている輝きを取り戻す旅を、私たちと一緒に歩んでいただければ嬉しいです。