大阪教育大学附属高等学校平野校舎|グローバル人材育成で未来を切り拓く少数精鋭の学び舎

大阪教育大学附属高等学校平野校舎は、1学年わずか120名という少数精鋭の環境で、一人ひとりの可能性を最大限に引き出す教育を実践している国立大学附属校です。グローバル人材育成を核とした独自の探究学習プログラムや海外研修制度により、生徒たちは世界に通用する力を身につけています。今回は副校長の岩元健先生に、同校の特色ある教育理念と実践についてお話を伺いました。

教育理念と目標について

ー大阪教育大学附属高等学校『平野校舎』について教えてください。

大阪教育大学附属高等学校は、天王寺校舎、池田校舎、そして平野校舎の3校舎で構成されています。附属学校としては3つの校舎で1つの組織となっていて、校長先生は大学に1人おられます。各校舎にはそれぞれ副校長が配置されています。

ー学校の教育理念について詳しく教えてください。

教育目標として、「学力の向上を目指し、健全で豊かな人格の形成」と「国際的視野に立った人間を敬愛する人格の育成」という2点を大きな柱としています。少数精鋭、創造探究、自主自立 という3つの特徴が本校の教育方針として定着しています。

グローバル人材育成プログラム

ー教育目標から発展した具体的な文化活動やプログラムについて教えてください。

グローバル人材の育成が本校の大きな特徴です。平成28年度に文部科学省からスーパーグローバルハイスクール(SGH)の認定を受け、その後ワールドワイドラーニング(WWL)に移行しました。令和5年度で制度は終了しましたが、現在も高校独自で継続して取り組んでいます。

ワールドワイドラーニングでは、大阪教育大学が拠点となり、海外の大学や機関と連携しながら、高校生が国際会議を開催したり、海外の生徒たちと交流することで、グローバルな視野を育成しています。

海外研修制度の充実

ー海外での研修について具体的に教えてください。

探究学習を「グローバル探究」という名称で1年から3年まで順次取り組んでいます。SDGs(持続可能な開発目標)の観点を取り入れた様々な課題について、生徒たちが研究するだけでなく、さらに発展させて自分たちなりの解決手段を考え、それをどう生かしていくかまで3年生で考察します。

1年生では希望者を対象に、オーストラリア研修(昨年まではニュージーランド)とカンボジア研修を実施しています。オーストラリアでは英語学習を中心とした探究を進める手法を身につけ、カンボジアでは貧困問題や環境問題などの視点を学びながら、日本に帰国後にそれらを発展させて考える機会を提供しています。

2年生では全員参加の海外研修として、修学旅行を兼ねた形で台湾、タイ、現在はベトナムといったアジア諸国で起こっている問題に目を向けています。戦争の歴史、復興問題、日本との貿易関係など、様々な視点から学習し、観光も交えながら意識を持ち帰る体験をしています。

3年生は2年生で研究発表した内容をより深めて、研究した中身だけでなく、自分たちのものとして課題をどう解決するかという発展的な内容に取り組んでいます。それを発表の形やレポート、論文の形でまとめています。

興味深い例として、現在3年生で視覚障害について研究している生徒がいます。視覚障害のある高校生たちが数学の立体図形をどのように把握するかという課題に対し、触れながら向き、大きさ、角度を理解できる装置を自分たちで製作しました。現在は企業とのコラボレーションや、テレビ番組への応募なども行っているところです。

国際会議と外部との連携

ー高校生国際会議についても教えてください。

高校生国際会議は毎年開催しており、平野校舎と池田校舎がWWL拠点校・共同実施校として連携しています。コロナ禍からオンラインでの交流も行ってきましたが、現在は環境問題などを探究した内容を日本の高校生にも広め、大阪教育大学附属平野校舎以外の府立学校の生徒たちがどのような研究をしているかも合わせて共有する場となっています。

平野校舎ならではの強み

ー平野校舎だからこそできる強みやアピールポイントを教えてください。

平野校舎の最大の特徴は少数精鋭であることです。1学年3クラス、120人(全校360人)しかいません。生徒同士は学年を超えてみんな知り合いですし、先生と生徒の関係も非常に深いものがあります。担任の先生を中心に、どの生徒が何を考えて何をしているかを先生方が理解しているため、生徒一人ひとりの個性や探究活動に対して適切なアドバイスができるのが特徴です。

また、大学の附属校であることから、大学の施設や先生方の専門的な知識を活用することができ、それを通じて様々な企業や関係団体との連携も他の学校に比べて非常に行いやすい環境にあります。

教育方針と生徒指導

ー先生方が生徒に向けてご指導される際に、共通して意識していることがあれば教えてください。

本校はほとんど校則がありません。自主自立というところを目指しています。生徒の自発性ややりたいことに対して、教師が何かを主導するというよりも、それぞれに任せています。基本的に生徒たちが自分で様々な課題や問題を見つけてきて取り組みたいことを提案してくるので、教師側はそれを見守るという姿勢です。

生徒たちは様々な企画を自ら立案してきます。昨年の例では、TED(Technology Entertainment Design)という海外のプレゼンテーション番組のような大会を、生徒たちが自分でスポンサーを取ってライセンスを取得し、大学のキャンパスを借りて開催しました。附属学校の生徒たちや他の中学生にも参加してもらい、発表大会を実施し、新聞にも取り上げられました。

また、地域の催し物にも参加するだけでなく、自分たちも企画したいということで、近くの公民館などの文化施設を借りて独自のイベントを開催することもあります。

ーそのような企画はどのように生まれるのでしょうか。

特に決まったやり方があるわけではなく、生徒それぞれによって異なります。一人の生徒がやりたいことを持ち込むこともあれば、複数の生徒が何かを企画してくることもあります。様々な生徒が何かを企画してくるのが本校の特徴で、そのような生徒が育っているのだと思います。先輩たちの姿を見て、後輩たちも「自分もやってみよう」という気持ちになる好循環が生まれています。

今後の展望と課題

ー今後強化していきたいことや取り組んでいきたいことがあれば教えてください。

大阪教育大学附属という名前は知られているものの、広く認知されていなかったり、敷居が高い高校というイメージがあったりするようです。少しでも多くの方に大阪教育大学附属平野校舎の魅力を知っていただきたいと思っています。

また、様々な取り組みを行っているので、それが生徒たちの成長や能力向上にどのようにつながっているかをアピールすることも重要だと考えています。どうしても高校選択の際は進学実績に目が行きがちですが、本校では具体的な取り組みと、それに伴った成果を結びつけて伝えられるよう努力していきたいと思います。

受験生・保護者へのメッセージ

ー今後入学してくる生徒さんや保護者の方に向けてメッセージをお願いします。

大阪教育大学附属高等学校平野校舎は、本当にアットホームな雰囲気で生徒を見守ることができる学校です。安心して安全に学校生活を送ることができ、きめ細やかな指導を行っています。一見すると自由にやっているように見えるかもしれませんが、しっかりと人間力を育てるところに力を入れています。

単純に勉強だけではなく、人間として成長し、その力を身につけるところにも重点を置いていますので、ぜひ平野校舎で一緒に学んでほしいと思います。お子さんの持てる可能性をしっかりと引き出し、伸ばしていける環境を提供できることをお約束いたします。

進路については、ほとんどの生徒が大学進学を目指しており、文系・理系を問わず様々な分野に進んでいます。公務員を目指す生徒もいますが、大部分が大学進学という進路を選択しています。

学校ホームページはこちら https://www.hirano-h.oku.ed.jp/