【特定非営利活動法人 学び舎ヒノワ(陽の環)】自然と共生しながら、新しい学びのカタチを提供

宮崎県延岡市で不登校の子どもたちの居場所づくりと、オルタナティブな学びの場を提供する「ヒノワ」。元小学校教員の経験と自身の子育て経験を活かし、自然豊かな環境で独自の教育活動を展開する代表の小泉氏にお話を伺いました。

自然と食を通じて、生きる力を育む

ー御社の概要と、どのような方を対象にサポートされているのかについて教えてください!

小泉:主にフリースクールとして、学校に行きづらいお子さんや、学校とは違う学びを求めているお子さんを平日に受け入れています。週末は自然豊かな環境を活かして、さまざまな自然活動や食育に関わるイベントを開催しています。また、延岡市と連携して、気がかりなご家庭や困りごとがあるご家庭の見守り活動なども行っています。

ーフリースクールを始められたきっかけについて、ぜひ教えていただけますか!

小泉:私は元々小学校の教員で、学校で不登校のお子さんたちの担当をしていました。また、自分の子どもも不登校を経験しています。関西から九州に引っ越してきた際に、そういった子どもたちの受け入れ先が見当たらなかったことから、この地域に必要な場所だと考えて開設しました。開設から1年後に法人化しました。

命の大切さを学ぶ、独自の食育プログラム

ー他のスクールにはない特徴や、特に力を入れていらっしゃる点について教えていただけますか!

小泉:とても自然豊かな場所にあるため、自然との関わりを大切にしています。自分たちで米を育てたり、畑仕事をしたり、鶏を育てて卵を採るといった活動を行っています。時には、命をいただく経験として、鶏の締めまでを体験することもあります。

食育にも非常に力を入れており、体に優しい食材を使用することにこだわっています。地元の窯で炊いた塩を使用したり、自分たちで栽培した大豆と地元の麹を使って味噌を仕込んだりと、日本の伝統的な食文化も大切にしています。

宮崎は食材の宝庫で、漁港も近く新鮮な魚が手に入りやすい環境です。農薬や肥料を使わない野菜も手頃な価格で手に入り、生産者さんとの繋がりも大切にしています。また、食べられる野草の知識も活かしながら、自然の恵みを最大限に活用しています。

安心できる居場所づくりと、これからの展望

ー生徒さんと関わる際に、特に意識されているポイントについて教えていただけますか!

小泉:不登校を経験されている方が多いので、まず「安心」を大切にしています。学校に行っていなくても大丈夫、学校では馴染めなかった個性があっても大丈夫、という安心感を持っていただくことを心がけています。また、大人と子供、先生と生徒といった縦の関係ではなく、横の関係で接するように心がけています。言葉遣いや表情一つにも気を配り、日々のスタッフミーティングでも振り返りを行っています。

新しい可能性を見つける場所として

ー今後の展望についてお聞かせください!

小泉:当初は不登校支援というより、オルタナティブな学びの場を目指していました。しかし、この地域では不登校で困っている方が多く、現在は行政や教育委員会、学校との連携を強化しているところです。

今後は、学校教育では提供できない学びの場としての機能を強化していきたいと考えています。また、19歳、20歳の方々や、これから働き始める方々の支援も行っていきたいと思います。高齢化が進む地域特性を活かし、高齢者の方々と一緒に生活しながら、文化伝承なども行っていきたいと考えています。

ーフリースクールに通うことを考えていらっしゃる方へメッセージをお願いします!

小泉:親御さんへは、一緒に大らかな子育てをしていきましょう、というメッセージを送りたいです。お子様が否定されることで自分を責めがちな親御さんも多いのですが、「こういう子がいて大丈夫」という日本古来の大らかさを取り戻していただきたいと思います。

子どもたちへは、私たちは無理に勉強を強要することはありません。一人ひとりがやりたいことを見つけ、それをサポートする場所として来ていただければと思います。また、自然豊かな環境の中でもWi-Fi環境は整っているので、オンラインでの活動も可能です。大人の方も、新しい働き方や生き方を模索する場として活用していただければと思います。