清心流空手道協会総本部皆清館 伝統を受け継ぎ、誰もが挑戦できる場を提供

清心流空手道協会総本部皆清館は、宇都宮市内の公共施設で活動する空手教室です。4歳からシニアまで幅広い年齢層の門下生が在籍し、それぞれの目的に合わせた丁寧な指導が行われています。

今回は、現在道場を率いる伊藤先生に、教室の成り立ちや指導の方針、これからの展望についてお話を伺いました。

幅広い世代が通う空手教室

この教室は宇都宮市内のスポーツ施設などの公共施設を利用して活動しており、4歳から70代のシニアまでが通っています。指導内容は、清心流空手道という伝統的な空手を基本とし、基本稽古、約束組手、型、ミット打ち、コンビネーション、自由組手まで幅広く行われています。

特に組手では、防具を着用してポイント制で勝敗を決めるスタイルを採用しています。練習は週1回、土曜日の18時から20時までの2時間で実施され、年齢や目的に応じてグループ分けしながら効率よく指導が進められています。

一つのクラスの中で子どもから大人までが一緒に稽古に励むことで、年齢を超えた交流が生まれ、互いに学び合う雰囲気が根付いています。また、クラス内では型や組手、体力づくりなど、それぞれの希望に応じた内容で進行し、指導員が分担して丁寧に教えています。

歴史ある道場を受け継ぐ

この教室は、1968年に初代館長によって清心流空手拳法宇都宮支部として設立され、1984年に現在の清心流空手道協会総本部皆清館に改称されました。以来、長年にわたり地域に根差した指導を続けてきました。

伊藤先生は長年、先代館長の下で師範代として道場の運営を支え、豊富な経験と知識をもとに生徒たちを導いてきました。2024年、先代館長が他界したことから伊藤先生が道場を引き継ぎ、最高範士として指導の最前線に立っています。

その熱意と責任感に支えられた道場運営は、地域にとって大きな安心と信頼の源となっています。

誰でも無理なく始められる空手

清心流空手道協会総本部皆清館の魅力の一つは、年齢や経験を問わず、誰でも気軽に始められる環境が整っている点にあります。大会を目指す生徒にはハイレベルな指導が行われる一方で、健康維持や体力づくりを目的とするシニアの方には、それぞれの体調やペースに合わせた無理のない指導がなされています。

また、組手に対して抵抗のある生徒には型を中心に指導するなど、一人ひとりの希望に寄り添った柔軟な対応が特徴です。

実際に型の大会で入賞を目指す生徒もおり、競技としての空手だけでなく、自己表現や成長の場としての空手を大切にしています。このような柔軟な対応が、多様な生徒のニーズに応える原動力となっています。

生徒一人ひとりに合わせた指導方針

指導において最も大切にしているのは、生徒が安全に楽しく稽古を続けられる環境づくりです。怪我の予防はもちろん、感染症対策、水分補給にも心を配っています。

また、時代に即した柔軟な対応も行っており、古い価値観に縛られることなく、現代の教育方針に則った指導が徹底されています。それぞれの生徒の特性を把握し、苦手な部分は丁寧にサポートしながら、得意な技術をさらに磨いていくという方針が貫かれています。

昨日の自分よりも今日の自分が一歩でも前に進んでいれば、それは素晴らしいことだと伝え、日々の成長に焦点を当てた指導を大切にしています。

生徒との関わりが生むやりがい

生徒との関わりの中で得られるやりがいは計り知れません。

大会で優勝するなど目に見える成果ももちろん嬉しいですが、それ以上に、生徒が自分自身の成長を喜び、稽古に前向きに取り組む姿に大きなやりがいを感じます。

また、中学入学を機に一度道場を離れた生徒が、数年後に戻ってきて再び空手を始めるといったエピソードもあり、道場が生徒たちにとって大切な居場所となっていることを実感する瞬間でもあります。

運動が苦手だった子どもが、継続することで大会での入賞を果たすまでに成長する様子を間近で見られることは、指導者として非常に感慨深いものがあります。

型も組手も両方できる空手修行者を目指して

現在の課題としては、型のみ、組手のみで大会を目指している生徒が多いことが挙げられます。

今後は、型と組手の両方を習得できる生徒を増やすことが目標です。空手は本来、基本を土台とした総合的な武道であり、型の美しさと組手の実戦性の両方を身に付けることが理想です。

そのため、稽古の中で型にも触れさせ、全員にミット打ちをさせるなど、興味を持った生徒には両方の大会出場を勧めています。型と組手のどちらかに偏らず、バランス良く習得することで、真の意味での空手修行者としての成長を支援していきたいと考えています。

初めての方へのメッセージ

空手に対して「怖そう」「厳しそう」というイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、この道場ではそうした心配は不要です。小さなお子さんが自由に動き回っても、それに腹を立てることなく、個性として受け入れ、楽しみながら成長を促す指導を心がけています。

週に一度、自分の目標に向かって体を動かすことで、心身ともに充実した時間を過ごしていただけます。少しでも興味がある方は、ぜひ一度見学にいらしてください。

実際の稽古を見て、道場の和気あいあいとした雰囲気に触れていただければ、自分に合った環境かどうかを感じていただけるはずです。

空手以外の武道も学べる環境

皆清館では、空手だけでなく、日曜日には居合道の指導も行っており、さらに空手の稽古時間にはトンファーや杖などの武器術も学ぶことができます。

清心流はもともと多様な武道を体系に取り入れている流派であり、空手にとどまらず、武器術など幅広い武道に興味を持つ方にとって非常に魅力的な環境が整っています。

空手を入り口に、さまざまな武道の世界に触れ、より深く身体と精神を鍛えていきたいと考える方にとって、最適な学びの場となることでしょう。