麹や発酵食品を取り入れた料理で体調が改善した経験から、「からだと心が喜ぶお料理」をコンセプトに料理教室を開いた早川さん。自家栽培の新鮮野菜を使い、3名限定の少人数制で丁寧に教えるコトコトキッチンの魅力に迫ります。

7年目を迎える発酵を使った料理教室
ーコトコトキッチンさんはどんな方を対象にどんな指導を行っていますか?
早川さん:年齢層は幅広く、20代から80代の方にご参加いただいています。料理教室自体は今年で7年目に入るのですが、発酵を取り入れた料理教室という形でずっとやってきました。
なるべく化学調味料を使わずに、発酵調味料である塩麹や甘酒、お味噌などを使って、体に優しくて美味しいお料理を作るというコンセプトです。暮らしに寄り添いたいという思いから、複雑にし過ぎず、おうちで簡単に発酵調味料を取り入れたお料理ができるよう、からだと心が喜ぶようなお料理を毎月提供しています。
ー和食が中心ですか?
早川さん:和食だけではなく、中華料理や洋食もあります。私自身が畑もやっているので、そこで取れた旬の野菜を使うことが多いです。例えば今月はウスターソースを手作りして、そこからメンチカツを作るといった洋食メニューになります。
ーレッスンは少人数制ですか?
早川さん:はい、少人数制で3名様までのレッスンです。
発酵調味料との出会いが教室開業のきっかけに
ー7年前にこの教室を始めようと思った理由を教えてください。
早川さん:元々は大手企業の料理教室で10年間講師をしていました。この家を建てるタイミングで独立したいと思ったのがきっかけです。その頃から約10年前くらいに麹を取り入れた料理をちょっとずつやり始めていました。
実際に自分が麹を取り入れることで体の変化がすごく見えて、それまで毎月風邪を引いていたのですが、麹を取り入れることによって体温も上がり、風邪を引かなくなりました。体が元気になったのがはっきりわかったので、これはぜひ皆さんに伝えたいと思い、大手の料理教室を辞めて独立する形でスタートしました。
ー発酵調味料というのは塩麹などでしょうか?
早川さん:塩麹や甘酒、味噌などです。他にも醤油麹やみりんなども発酵調味料に入ります。様々な発酵調味料を取り入れています。これらは1から手作りしています。醤油麹を作って生徒さんに使ってもらうのですが、塩麹の作り方も初回の生徒さんにはお伝えしています。来られている方は8割がリピーターさんで、皆さんご自宅でも発酵調味料を取り入れていらっしゃいます。
自家製野菜を使った新鮮さがアピールポイント
ーコトコトキッチンさんの他の教室との違いやアピールポイントを教えてください。
早川さん:3年前から私自身が畑を始めているのですが、自分で育てた野菜をそのまま料理教室で使うというところは他ではあまりやっていないと思います。不作な時もありますが、なるべく新鮮な無農薬の野菜を教室では使うようにしています。
ーご自身で野菜を作るということは元々やりたいと思っていたのですか?どんな野菜を育てているんですか?
早川さん:タイミングがありまして、3年前に近所のお爺ちゃんが引っ越すことになり、「早川さん、ここ見せするから畑やってみないか」とお声がけいただいたんです。実はやってみたい気持ちはあったので、見学に行ったら180坪もある広い土地だったんです。一人では無理だと思い、他の2人のお爺ちゃんとシェアして、3人で今やっています。
畑では季節のお野菜で、今なら大根や白菜などが沢山採れます。これからはジャガイモの植え付けが始まり、6月には新ジャガが採れるので、6月はジャガイモを使った料理をする予定です。秋にはサツマイモなど、季節ごとに旬の野菜で調理しています。
もうひとつのアピールポイントは「超腸活メニュー」です。発酵調味料を使った腸に優しいお料理を提供しています。あまり味付けも濃くなく、コンソメや本だしは使わないので、たくさん食べても全然もたれません。先月は酢豚をしましたが、醤油麹ベースで味付けをして、皆さん「いくらでも食べられる」と喜んでくださいました。
少人数制だからこそできるアットホームな指導
ー生徒さんに料理を教える際に意識していることや工夫していることはありますか?
早川さん:3名様という少人数制なので、色々な質問にすぐ答えられますし、大人数ではなかなか聞けないようなことも気軽に質問できる環境です。フレンドリーでアットホームな雰囲気を心がけていて、「すごく話しやすい」「何でも聞きやすい」とよく言っていただいています。
ー献立をそれぞれ1人が1つの料理を作るような分担制ですか?
早川さん:分担作業は私も好きではないので、例えば「今から皆で肉じゃがを作りましょう」と言ったら、皆さんで一緒にジャガイモを切ったり、ニンジンを切ったりします。よくある料理教室では分担制で、サラダを作っている間にメインの作り方が分からなかったりして、家で実践できないということがあります。それがないように、家でも実践しやすいように全員で同じ工程を行います。皆さんメモを取りながら学んでいます。
ー材料はどのように分担しますか?
早川さん:使う野菜の量にもよりますが、「この方はジャガイモ、こちらの方はニンジン、あちらの方は玉ネギ」というように分けることもあります。材料が多い時は「皆さんでジャガイモを切ってください」ということもあります。
レッスン料金と予約状況
ーレッスンの料金はどのようになっていますか?
早川さん:7年前と比べて物価が上がっているので値上げしました。基本的にはワンレッスン6,000円からで、作るものによって変わります。例えば今月はウスターソースを作るのですが、ドライフルーツや野菜、果物、スパイスなど材料をたくさん使うので7,000円いただいています。平均して6,000円から7,000円の間です。
メニューは月ごとに設定しています。例えば3月であれば「ウスターソースの会」とパンのレッスンもやっています。料理とパン両方受けられる方もいれば、料理だけの方、パンだけの方もいて、好きな方を選べます。
ーレシピについても教えてください。
早川さん:「レシピ便」というサービスもあり、これはコロナ禍からスタートしました。忙しくて来られない方や、四国や九州など遠方の方のために、レシピとその時使った調味料をセットにして配送しています。オンラインショップでレシピ便を販売していて、コロナ禍の時は動画も付けていました。
今後の展望と参加者へのメッセージ
ー今後取り組んでいきたいことや展望を教えてください。
早川さん:今後はコースを増やすことを考えています。例えば、レベルアップの会があってもいいかなと思っています。今までは米麹を使っていましたが、みりんかすなど他の発酵素材も取り入れて、もっと高度な発酵を学びたい方向けのレッスンができたらいいなと考えています。また、予約がすぐに埋まってしまうので、人数も増やせたらと思っています。
ー予約状況はどうですか?
早川さん:予約開始と同時に1分くらいで全部埋まってしまうほどで、キャンセル待ちも増えています。毎月来られている生徒さんを優先していますが、新規の方のお問い合わせも増えているので、3人から4人に増やすことも検討中です。ただ、駐車場の問題など様々な課題があって悩んでいるところです。月に10回以上開催していますが、それでも予約が取れない状況です。休みたい日も予約でいっぱいになってしまうほどです。
ーコトコトキッチンさんに参加したいと思っている方へメッセージをお願いします。
早川さん:料理教室に来るきっかけは様々だと思います。旦那さんが病気になった、自分自身の体調のため、お孫さんに美味しいご飯を作ってあげたいなど、理由は人それぞれです。でも、皆さん「来て良かった」「ここを知れて良かった」と言ってくださいます。
料理ができないという不安があっても、最初の一歩を踏み出す勇気を持っていただければと思います。ここで少人数で体に優しいお料理を学んでいただけたら、食卓も笑顔になりますし、皆さんが美しく食べてくださるのが私もとても嬉しいです。それを家族や大切な人に届けられたら良いなと思っています。ぜひ気兼ねなく、気負うことなくご参加ください。