お子さまだけで参加し、自分の力で料理を作る。異なる年齢の子どもたちが教え合い、学び合う。そして作った料理は全てお持ち帰りして家族と分かち合う。子ども料理教室まろんずキッチンは料理の技術だけでなく、生きる力を育む場所として12年の歴史を持ちます。今回は代表の小栗さんに、創業の経緯から今後のビジョンまで、子ども料理教室に込めた思いをうかがいました。

3歳から小学6年生までを対象に、料理を通じて生きる力を育む
ー初めに、まろんずキッチン様はどのような方を対象に、どのような指導を行っているのか、サービス概要について教えていただけますか?
小栗さん:対象年齢は3歳から小学校6年生までという幅広い年齢層の子どもたちを、年齢を分けずに一緒に料理教室を開催しています。年齢を分けない理由は、異年齢交流を大切にしているからです。大きい子は小さい子に教えることによって自分自身の伝え方を学び、小さい子はお兄ちゃんお姉ちゃんのやっているのを見ながら学んだり、「教えてほしい時どうやって聞いたらいいの」といったコミュニケーションを学んだりしながら、料理の腕を磨いていきます。
私たちは料理を教えたいわけではなく、料理を通して(もちろん料理を好きになる、料理が楽しくなるは大前提ですが)生きる上で必要なコミュニケーション能力なども大切にしていきたいという思いで教室を運営しています。
ー教室の規模や開催時間について教えていただけますか?
小栗さん:最大人数は教室によって異なりますが、4人から多いところで1コマ8人までです。レッスン時間も教室によって異なり、1時間半から2時間程度です。
ーまろんずキッチン様はいつから始められたのでしょうか?
小栗さん:開業は約12年前に自宅教室から始まり、法人化したのが3年前です。
ー現在多くの教室がありますが、どのような形で拡大していったのでしょうか?
小栗さん:簡単に言えばフランチャイズ形式ですが、料理教室をしたいけど自信がない、集客の方法が分からないと悩んだり挫折する方も多いので、そういう方たちの力になれるよう、レシピ作成やご新規様の集客は本部が行い、『料理教室をしたい』という夢をかなえるお手伝いをする形で拡大してきました。
料理教室を立ち上げた理由と子どもだけの教室にする意義
ー約12年前に料理教室を開こうと思った動機や理由について教えていただけますか?
小栗さん:私には子どもが2人いるのですが、上の子が朝食を全く食べない子でした。親として栄養満点のものを工夫して作っても駄目だったので、栄養士さんに相談しに行ったんです。その時に「お子さん小学生なのに食べないのはおかしい」と言われ、それがすごくショックでした。
もう頼る人はいないと思い、自分自身で食について色々学んだりセミナーに行ったりする中で、「朝食を食べない場合は朝起きてすぐだと胃が動いていないから、十分早起きしてお手伝いをしてもらって胃を動かしてから朝食にすると食べる」と教わりました。それを実践したら本当に食べるようになったんです。
食ってこんなに簡単なものなんだというところからスタートしたのですが、食に悩んでいる人はすごく多いと思います。栄養面では栄養士さんという専門家がいるので、そこはお任せするとして、食で悩んでいる保護者さんたちを助けたいと思ったのが教室を立ち上げたきっかけです。その後親子教室などを経て、当時は子ども料理教室が少なかったので、子どもの料理教室に特化しようと決めました。
ー保護者の方は一緒に参加されるのでしょうか?
小栗さん:うちはお子様のみでやっています。親と子どもが一緒だとどうしても親が口出ししたくなってしまいますし、子どもも親の顔をうかがってしまうからです。子ども本来の力を引き出すという面では、親と別々にしてお子様だけお預かりするのが一番お子様の力を発揮できると考えています。
また、親は「うちの子はこれができない」と思っていても、実際にお子様だけお預かりするとすごくできることが多いんです。保護者さんたちも「うちの子こんなことができるんだ」という大発見をすることができ、お母さんにもお子様にもメリットがあります。そのため、親子分離という形でやっています。
ー子ども向けに特化した理由について、他にありますか?
小栗さん:保護者さん向けの教室をやっていく中で、保護者さんにいくら伝えたところで、子ども自身が「食って楽しいな」と思わないと先に進めないと分かったからです。また、今は様々な情報が流れすぎているがゆえに、お母さんたちが神経質になりがちな面があります。「これ食べちゃダメ」といった教育的なこだわりを持つ保護者さんたちも多い中で、子ども自身が食を楽しいと感じていない部分が多いのです。
かといって親に「やってください」と言っても、忙しくてできなかったり、親自身の考えが凝り固まっていて食の楽しさよりも栄養を重視する傾向があります。そこで、保護者さんのお手伝いをする意味で、お子様をお預かりして「食べること楽しいよね、作ること楽しいよね」というところから教えたいという思いがあります。
まろんずキッチンの特徴とレシピ作りの考え方
ーまろんずキッチン様の特徴や強みについて、他にありますか?
小栗さん:うちは作った料理を全てお持ち帰りしてもらっています。この取り組みはコロナ以前から行っているのですが、きっかけは私自身の子育て経験にあります。
息子が体験教室で作ってきたメロンパン1個を持ち帰ったとき、「息子が作ったメロンパン」というのはすごく特別で嬉しいものでした。「どうやって作ったの?」と会話も増えましたし、たった1個のメロンパンをわざわざ実家まで持って行き、おじいちゃんおばあちゃんと一口ずつ分け合って食べました。「美味しい」と食べる姿を見て子どもも嬉しそうだったという体験から、お父さん保護者さんにもお子様の頑張りを見てもらいたいと思いました。
ーレシピはどのようなものが多いのですか?
小栗さん:子どもが作りやすい、子どもが食べやすいというのは大前提としつつ、保護者さんに向けてレシピを作っています。レッスン自体は保護者さんはいらっしゃいませんが、「こんな作り方ですよ」「こういうポイントですよ」という動画をレッスン終了後にプレゼントしたり、写真付きのレシピを送って自宅でも作りやすいようにしています。
今は共働き夫婦が増えていて、夕食に時間をかけられない方がすごく多いです。そんな中でも「これなら作れる」と思えるようなものを提供したいと考えています。料理を作る親が疲れているようでは美味しい食卓、楽しい食卓はできないので、簡単に作れて日々の役に立つ料理を提供したいという思いで、保護者さん向けのレシピを考えています。
指導方針と教室の特色
ー生徒さんに指導する際の、指導方針などはありますか?
小栗さん:法人として定めている指導方針としては、一般的な料理教室は「次はこれを入れるよ」「次は小さじ1の醤油を入れるよ」というようにレシピ通りに進めていくものですが、うちは料理自体を教えたいわけではないので、先生の立ち位置は「一緒に料理をする仲間」という立場です。
例えば甘辛い味付けにしたい時、通常であれば「砂糖とみりんとしょうゆを入れるよ」と指導しますが、私たちは子どもたちに「甘辛くするにはどうしたらいい?」と質問を投げかけます。このように子どもたちに沢山質問を投げかけて、子どもたちから答えを導き出す形で進めています。教えるのではなく、子どもたちと一緒に考えて一緒に作っていき、正解へと導いていくようなレッスンを心がけています。
ーコースや料金体系について教えてください。
小栗さん:料金は地域によって異なります。都心と地方では全然違うので、東海地方だと3,500円が多く、名古屋市内だと3,500円〜4,000円というように、土地によって変わります。
ー「発達でこぼこちゃんクラス」について教えてください。
小栗さん:発達でこぼこちゃんクラスは元々講師さんからの提案で始まったものです。料理教室に行きたいけど人と関わるのが苦手なお子様や、じっとしていられないお子様がいても、通常は先生が1人なのでその子にかかりきりになれません。でもせっかく楽しみたいと思っているのなら、その子をケアしたいという思いから始まりました。
発達でこぼこちゃんや人と馴染めないお子様にも楽しんでもらえるよう、講師が2人体制で対応します。1人の先生がレッスンを進行し、もう1人の先生がその子のケアをしたり付きっきりで指導したりする形で、より通いやすい教室を目指しています。
今後のビジョンとメッセージ
ー今後のビジョンや方向性について教えてください。
小栗さん:全国的に教室を増やしていきたいというのは大前提としてありますが、特に力を入れたいのは発達でこぼこちゃんクラスです。今は発達でこぼこちゃんがすごく多いですし、そういったお子さんを持つ保護者さんたちは「習い事をさせたいけど受け入れてくれるか心配」と悩んでいらっしゃいます。
そんな方々に「いいよ、うちに来て」と言える受け皿になりたいです。同じ悩みを持つ人同士で話し合える場所を提供したり、私たちの講師陣も身内に発達でこぼこちゃんがいる方や保育士経験者もいるので、その悩みに共感できる環境を作っています。保護者さんとお子様に寄り添える教室をもっと作っていきたいと思います。
ー最後に、まろんずキッチンへの入会を検討している方へのメッセージをお願いします。
小栗さん:食に悩んでいる保護者さんがいらっしゃったら、ぜひお子様をまろんずキッチンに参加させてください。食の楽しみを体験できますし、自分自身が料理に自信がないと思っている保護者さんも、私たちの簡単なレシピを通して「料理ってこんなに簡単にできるんだ」と思ってもらえると思います。料理が得意ではない保護者さんにも、ぜひお子様に参加していただければと思います。
なお、私たちの教室は定期制ではないので、ご都合の良い時に来ていただければ大丈夫です。初回は体験として通常料金の4,000円で参加していただき、2回目から入会金をいただく形になります。ご予約は各教室のページにある予約ボタンか公式LINEからお願いいたします。