創業50年の老舗そろばん教室が明かす人間性がインプットされる秘密

創業50年を迎える宮本そろばん教室は、算数教室が母体という珍しい特徴を持っています。そろばんで培った計算力を算数・数学に活かす独自の指導法で、三鷹・千葉で人気を集めています。代表の宮本さんに、そろばん教育に込める想いと、従来のそろばん教室とは一線を画す指導法について伺いました。

宮本そろばん教室について

ー宮本そろばん教室の特徴について教えてください。

宮本さん:当教室の最大の特徴は、算数教室が母体となっていることです。一般的なそろばん教室では計算力の習得が主な目的となりますが、私たちは「数学・算数にどう活かすか」という観点を重視しています。

例えば、中学受験算数の内容で考えると、珠算により高度な計算力が身についた場合、算数を学んでいくにあたり、線分図、面積図の教え込みをしないまま本人の取組・気質に合うやり方、感性を活かした本人独自の解法が完成していきます。いわゆる考える力がそろばんを通して培われていきます。

アピールポイント

ー宮本そろばん教室様としてのアピールポイントを教えていただけますでしょうか。

宮本さん:一般的には算数を学ぼうとすれば、まず面積図や線分図などのメソッドを身につけ、それを上手に使えると効率よく回答できるという形になりがちです。多くの中学受験塾はその形です。そして講師はその途中経過をチェックする役割を担うことになります。

当教室のそろばん教室の生徒は、五感(視覚、触覚)を活かして高度な計算力を身につけ、その次にやり方が分からないまま自分の力量を超える算数の問題にチャレンジして、自分の感性と計算力を活かしながら回答を試みます。

解き方・やりかたより「気づき」、模範解答ではなく「問いの設定」(どこにフォーカスしたら、設問や解答の全体像をつかめるか)という方向に子供の意識はむいています。

小学4年生でそろばんと算数を併用している生徒は、通常中学受験塾の小学4年から5年の2年間で学ぶカリキュラムを1年間で終えることができます。

しかも、過度な宿題も出していません。これは、そろばんで培った計算力が、学習効率の向上のみならず考える力を培うという大切なセッションの礎になっているからです。

生徒に指導する際に意識していること

ー実際の指導の中で特に意識されていることはありますでしょうか。

宮本さん:まず大切にしているのは、「これを身につける意味、意義は、こんなところにある」という見通しを示すことです。子どもたちの動機づけの方法に正解はありませんが、当教室ではこういう取り組みを大切にしています。

次に小学生の習い事であれば、どの習い事も同じかと思いますが、人間性をインプットできるかどうかが肝になります。私たちは「陰徳の心」、数字で評価できない子供たちの⾧所を周りの大人がしっかり評価できることを大切にしています。

例えば、仮に検定試験合格を目標としていて親主導で検定試験を 次々とクリアしていった場合、目標の「級」あるいは段位まで到達した時、親の目が離れた時に技が錆びついていくことが多いです。誰も期待していない状況を子どもに与えてしまいます。

一方で努力を習慣づける取り組みに対して周りの大人が適切な評価や言葉を子供に向けていた場合、その子は本当に大切なものを手にできることになります。


当教室はそろばん教室として差別化は充分にできているかと思います。広告に載せるストロングポイントはいくつかあります。でも、子ども達に本当に伝えたいことは、高度な技を身に付けることや難しい問題に回答する知性ももちろん大切ですが、「周りに気を配れる思いやりは一段上の頭の良さだ」ということです。

コースや料金体系

ー料金体系について教えていただけますでしょうか。

宮本さん:週1回のコースで6,000円となっています。現在、三鷹市と千葉市に教室を展開しており、オンラインでの指導も実施しています。

今後のビジョンと展望

ー今後の展開についてお聞かせください。

宮本さん:私たちの目標は、中学受験算数のスタンダード、カリキュラムを変革することです。現時点でのカリキュラムを子供たちにとって優しく役に立つものに変えたいと思っています。そろばんの技量はそれが可能です。

また、計算力で数学・算数の全体像を把握する力を子供たちの中に育てたいと考えています。

例えば、高校数学では様々な分野が混在して難しく感じられますが、計算力があれば各分野の本質を理解し、全体像を見極めることは可能だと思っています。

記事を読んでいる方へのメッセージ

ー入会を検討されている方へメッセージをお願いいたします。

宮本さん:そろばん教室で見るべきポイントは「空気感」ではないかと私は思っています。そこの講師に「活気」があるかどうか、その場にいる子供たちの「気を活かす」ことができるかどうかが肝だと思います。この業界は高齢化が顕著で、いわゆるおばあさん先生といわれる人たちも多いですが、その方達には若い人にはない「活気」があります。

実はこのそろばん教室は苦労し通しで他界した母の家業です。母の晩年はパーキンソン病で歩くことも立つことも食べることもできなくなりました。それでも今の私より教えたり導いたりするのは上手で、子供たちはプラスに転じていました。

40歳を超えるような働き盛りの男性がお盆や師走になると教室を訪れ、母と話をしていました。そしてこんな言葉をよく耳にしました。

「あの頃、教えていただいて有難うございました」

今の私にはその力量はありません。でも、なんとか少しはやれるんじゃないかと思ってて努力をしています。そんな教室をぜひ一度見に来てください。「活気」があるかどうかジャッジしてください。少しはお力になれるのではないかと思います。