茨城県を拠点に運営するオーボエ教室「オーボエルームmit;ume(みつめ)」。プロ奏者による本格的な指導で、地域でオーボエに取り組む方々をあたたかくサポートしています。
リード製作や楽器メンテナンスといった専門的なサポートから演奏機会の提供まで、オーボエの学びを総合的にバックアップする「mit;ume」の魅力について、川澄さんにお話を伺いました。
茨城に根差したオーボエ&ソルフェージュの教室

ー教室の概要について教えてください。
川澄:茨城県つくば市と茨城町の2つの地域で、オーボエ教室を運営しています。
現在は大学生から大人まで、アマチュア奏者の方を中心にレッスンを行っています。今後は、音大受験を目指す中高生など、若い世代の指導にも力を入れてゆきたいと考えています。
また、オーボエ以外の楽器の方にもソルフェージュを指導し、基礎的な音楽の読み解き方を教えています。
ー教室を始められたきっかけや経緯について教えてください。
川澄:私自身が茨城出身です。中高時代に東京で活躍されている先生が、月に一度地元で教室を開いてくださったおかげで、上京せずに指導を受けることができました。
その経験から、茨城でオーボエを習いたい方々の力になりたいと思い、2024年2月に教室を開設しました。ホームページからのお問い合わせのほか、友人の紹介などで生徒さんが集まり、今に至ります。
つくば教室の近くには、梅の名所「梅園公園」があります。そこから『ume(梅)』という言葉を選びました。さらに、ドイツ語で「〜と一緒に」を表す『mit』を組み合わせ『mit;ume』という名前に。生徒さんの音楽人生を大切に「見つめ」、ともに歩む──そんな想いが込められています。
プロの技術と経験を活かした本格的な指導
ー他のオーボエ教室にはない特徴や、一番のアピールポイントを教えてください。
川澄:まず、茨城ではオーボエ専門の教室自体がほとんどないため、身近な場所でオーボエを習えるという点が最大の特徴です。
また、生徒さんには多くの演奏の機会を提供するようにしています。まだ単独での発表会は開催していませんが、私の音楽仲間が主催する教室の発表会や、アマチュアファゴット奏者である私の夫が主催する、よりカジュアルな発表の場などに積極的に参加を募り、人前でのオーボエ・ソロの舞台を経験してもらうよう努めています。
夫は、アマチュアの音楽仲間を集めてレストラン等で毎月コンサートを開いているので、少人数での室内楽に興味のある生徒さんには率先して紹介しています。
それから、私自身が東京藝術大学を卒業後も演奏活動を続けているため、現役のプロから直接、指導を受けられることも強みです。
20代の頃に東京で、プロのオーケストラの中で吹いていた経験から、より深い音色で、明確な指針を持って演奏にあたっているという自信があります。
実は、30代で一度音楽から離れ、一般の仕事をしていたこともありました。30代半ばで再びオーボエを手に取り、必死にリハビリを重ねた結果、プロとして再び活躍できるまでに実力を取り戻しました。
そのリアルな経験から、「人は、何歳からでも成長できる」という強い信念を持って指導しています。40代や50代の生徒さんたちにも、自己肯定感を高めてもらい、オーボエを通じてそれぞれの音楽人生がより豊かになるよう、高い意識でレッスンをしています。
オーボエは、楽器の状態を整え、自分に合ったリードを使わなければ、どれだけ練習しても上達することはなかなか難しいものです。
まず楽器に関しては、長年お世話になっているリペアマンを紹介し、質の高いメンテナンスを受けられるよう、サポートしています。
オーボエの音色を左右するリードは、講師が手作りし、手頃な価格で提供しています。少しでも生徒さんの悩みや迷いを減らせるように、という想いで丁寧に製作しています。また、使用中のリードの調整にも対応しており、いずれはご自身で調整や作成ができるよう、細やかに指導しています。
何歳からでも成長できる、ポジティブなレッスン
ー生徒さんに指導する際に、特に意識していることや方針を教えてください。
川澄:「何歳からでも成長できる」という考えのもと、ポジティブな指導ができるよう心がけています。
たとえば、学校で音楽の先生をされている方が、進学の際にはピアノは習わせてもらえたけれども、長年続けているオーボエは習う機会がなく、音楽を改めて学び直したいと教室に来られたケースがあります。
彼女はこの教室に来て発表会に参加し、人生で初めて、オーボエ・ソロの舞台に立ちました。貴重な経験をし、とても喜んでいただけました。日々成長されている姿を見るのはとても嬉しいことです。
また、音楽的な理解を深めるために、ピアノを使った指導も取り入れています。オーボエは一度に一つの音しか出せません。周囲の響きを感じ取り、イメージしながら吹くことが求められます。実際にピアノで和音を鳴らし、その場で響きを感じて吹いてもらうことで、豊かな音楽性を育てています。
私自身、幼い頃からピアノやアコーディオンなどの鍵盤楽器に親しむことで、ハーモニーへの感覚を磨いてきました。管楽器の指導は、ともすると技術的なアドバイスだけで終わってしまうこともありますし、音楽の構造についての説明も、表面的になってしまうことがあります。
和音の流れを意識すると、音楽の組み立て方が大きく変わり、より説得力のある表現が可能になります。
抽象的なアドバイスで生徒さんが迷ってしまわないよう、音楽をかみ砕いて具体的なイメージまで伝え、よりよい演奏ができるよう、誠実にサポートしています。
自分のペースで通える、柔軟なレッスンプラン
ー提供しているコースやプランについて教えてください。
川澄:オーボエレッスンは60分コース8,000円、30分コース5,000円で提供しています。学生の方は、それぞれ5,000円、3,000円の割引料金で受講できます。受講料はすべて1回ごとの都度払い制です。
オンラインレッスンも可能で、こちらは学生さんのコースと同じ料金設定(60分5,000円、30分3,000円)で受講いただけます。
オーボエだけでなく、「ソルフェージュ」という演奏の土台を築くための、基礎的なトレーニングができるコースも用意しています。こちらは学生さんと同じ料金で受講可能です。
つくば市・茨城町に教室があるので、県内各地から、無理のない範囲で通っていただける環境です。
イベントや交流で、オーボエの輪を広げる
ー今後より強化していきたい部分や、取り組んでいきたいことを教えてください。
川澄:どの年代の方も大歓迎ですが、今後はさらに若い世代の方々にも来ていただきたいと思っています。ひとりひとりに寄り添いながら、楽しく、のびのびとオーボエが演奏できるようサポートしてゆきます。
また、「オーボエ・カフェ」というイベントを企画中です。中高時代に、本場ドイツのオーボエ奏者の指導を受けられる合宿に何度も参加したことが、その後の私の演奏や生き方に大きな影響を与えました。たとえば公開レッスンなど、気軽にオーボエについての学びを深めることのできる場をつくってゆきたいと考えています。
現在、その第一弾として、リード講習会を計画中です。茨城でオーボエを演奏している方々の横のつながりを作ることも大切にしたいと思っています。
ー最後に、この記事をご覧の方に向けたメッセージをお願いします。
川澄:「一緒に、少しずつ成長していきましょう」。そんな気持ちで、みなさんをお迎えしています。ずっとオーボエに憧れていながら、なかなかはじめるきっかけが見つからなかった……という方も、実は少なくありません。大人になってからでも、オーボエに挑戦することはできます。
フルートなどの他の管楽器と比べて、入門用の楽器もやや高価なので、たしかに、はじめるハードルは少し高めかもしれません。それでもオーボエは、とても魅力的な楽器です。
オーケストラや吹奏楽で、仲間とオーボエを吹く経験も、人生をより豊かにしてくれるはずです。楽器選びからしっかりサポートいたします。一緒に、オーボエのある人生を楽しみましょう!