「オンラインこども書道教室」「ひだまり書院」の書道レッスン
静岡県で書道教室を開き、オンラインでも子どもたちに書道の楽しさを届けている「オンラインこども書道教室」(ひだまり書院)の代表にインタビューしました。
長年、小学校教員として子どもたちに寄り添ってきた経験を活かし、リアルとオンラインの両方で、一人ひとりに合わせた丁寧な指導を行っています。
作品展やパフォーマンス、お楽しみ会などを通じて、「楽しく学び、仲間と成長する」場として書道教室を育ててきた想いや、オンライン指導における取り組みや工夫、今後の展望についてお話を伺いました。

元小学校教員の講師による、生徒一人ひとりの学びと成長を支えるレッスン。対面とオンラインで全国から学べる書道教室
子どもたちの個性を尊重しながら、書を通じて“楽しい学び”を届けたい。私はそんな想いを込めて「ひだまり書院」を運営しています。
静岡県での対面教室と、全国から受講できるオンライン教室の両軸で、誰でもどこでも書に親しめる環境づくりに取り組んでいます。
地域に根ざした書道教室「ひだまり書院」
私が運営する「ひだまり書院」は、4歳のお子さまから大人の方までを対象にした静岡県の書道教室です。開講日は月曜・火曜・水曜の15時半から18時半。
学校が終わって元気に教室へ来てくれる子どもたちの姿が、私の原動力になっています。
もともと私は小学校の教員をしていました。退職後、「地域の子どもたちに書道の楽しさを伝えたい」という想いから、地元で教室を立ち上げました。
ただ字を書くのではなく、表現する楽しさや作品を仕上げる達成感を大切にしながら、指導を行っています。
書くだけではない‥「継続する力」や「仲間との関わり」も大切に
この教室では、書道を通じて「継続する力」や「仲間との関わり」も育んでいきたいと考えています。
子どもたちが仲間同士で切磋琢磨しながら、日々のお稽古や作品づくりに取り組む中で、人との関わり方や集中力も自然と養われていきます。。
毎年、教室独自の作品展も開催しています。
半紙や半切での伝統的な作品に加え、カラフルな紙や自由なレイアウトで、個性を生かした作品づくりにも挑戦しており、子どもたちは自分なりの表現を楽しんでいます。
また昨年は、書道パフォーマンスの場も設け、保護者や地域の方々の前で実際に書く様子を披露する機会をつくりました。
ほかにも、学年や学校の異なる子どもたち同士が交流できるよう、クリスマス会のようなお楽しみイベントも年に1回開催しています。
「書道を学ぶ場所」であると同時に、「仲間と楽しく学べる場所」でありたいと、いつも思っています。

一人ひとりに合わせた、丁寧で理論的な指導
私自身、指導において大切にしているのは、「どうしてこの字形になるのか」「なぜこの書き方なのか」といった理論的な説明です。
子どもたち一人ひとりのペースに合わせて文字の原理原則を丁寧に伝えていくことで、着実に上達できるような指導をモットーとしています。
また、子ども達自身にも考えさせたり、手を取って一緒に筆使いを確認したりしながら、より理解が深まるように指導を行っています。
そのほか、筆を持つことそのものが楽しくなるように書道を使ったゲームを行ったり、チームごとに競う形で活動したりと、遊び心のあるレッスンも取り入れています。
「書道=堅い、敷居が高い」と思われることもありますが、実際には楽しい時間もたくさんある教室です。

全国どこからでもzoomで参加できる「オンラインこども書道教室」
この数年で、新たにオンラインの書道教室も始めました。
きっかけは、親子で参加された保護者の方から「子どもにも継続してオンラインで学ばせたい」というご要望をいただいたことでした。
今は習い事に通う時間の確保が難しいご家庭も少なくありません。
また、現代の子どもたちは習い事や塾で忙しく、スケジュールの都合上、習いたくても通えないケースもあります。
そうした背景の中でも、オンラインであれば自宅で好きな時間に学べる利点が活かせると思い、開講を決意しました。
オンラインでも変わらない、対面以上の満足感を
オンラインレッスンでは、毛筆と鉛筆での硬筆指導の両方を行っています。実際に筆で書くことで文字への理解が深まり、硬筆の上達も早くなるという実感があります。
さらには、対面教室で行っているような一人ひとりに合わせたきめ細かな指導や、楽しく学ぶ工夫を取り入れながら、日本文化としての書道の魅力をこども達に感じてもらえたらと考えています。
また、オンラインならではの良さとして、送迎が不要であることも大きな魅力です。保護者の方が忙しくても、お子さまが1人で参加できます。
現在、東京、神奈川など関東圏を中心に、全国各地の生徒さんと毎月のレッスンを行っていますが、海外に住む方からのお問い合わせも増えており、「日本文化に触れたい」という声をいただくたびに、オンラインでの指導の可能性を実感しています。

子どもたちの“成長”と“つながり”が、私のやりがい
教室運営の中で特にうれしいのは、長いスパンに渡って子どもたちに携わり、間近に成長を感じていられることです。
これは学校の教員時代にはあまり経験できなかったことです。
小さな頃から通っていた子が教室を卒業しても、高校では書道部に入って頑張っていると聞いたとき、教室で学んできたことがその子の中にしっかり根付いていることを感じて、胸がいっぱいになります。
また、最近でも、地元を離れてもまた会いに来てくれる子がいたり、受験のためにお休みしていた子が、卒業式の日にお母さまと一緒に顔を出してくれたり、オンライン受講の生徒さんとお母さまが東京での作品展に来てくださったり‥‥
このように教室を卒業してもつながりが続いていくことは、本当にうれしいことです。
今後は、大人の方への指導や書を通した交流の場も広げていきたい
今後は、大人の方への指導にも力を入れていきたいと思っています。
親子で書道を学ぶ方や、お孫さんと一緒に参加される方など、さまざまな世代をつなぐ場としての可能性も感じています。
また、イベントで書道体験の場を提供したり、身近に書を感じてもらえるような取り組みもしていきたいと考えています。
春には、オンラインで、「お子さんへの文字指導のコツ」を伝える講座も予定しています。 書や文字に関する学びをサポートできる仕組みづくりも、これからの大切なテーマです。

教室の成長とともに、講師も募集中です
現在、オンライン教室や対面教室を継続していく中で、一人で全てを対応することに限界も感じています。
そこで、子どもが好きで人と接することが好きな方、子どもたちと丁寧に向き合える方、文字への学びに関心を持ち、私の想いに共感していただける方と一緒に、この活動を広げていけたらと願っています。
書道を通じて、“心”も育つ場所を届けたい
書道は、ただ字を綺麗にするための手段ではあありません。心を落ち着かせ、自分と向き合う時間も与えてくれます。
私は教室を通じて、子どもたちが心を成長させながら「書くことって楽しい」「筆を持つことが好き」‥そう自然と思えるような場や環境をこれからも作っていきたいと思っています。
体験してみないと分からない魅力が、書道にはあります。
オンラインでもリアルでも、書の世界に少しでも興味がある方は、ぜひ一度、その一歩を踏み出してみてください。
