「光る原石を見つけ育てる学校」をモットーに掲げる埼玉県立杉戸高校。穏やかで優しい生徒たちの中にある可能性を引き出し、彼らをリーダーへと育てる教育方針や特色ある取り組みについて、教頭先生と教務主任の齊藤友和先生にお話を伺いました。
一人ひとりの能力を伸ばし夢の実現を支援する教育理念
ー杉戸高校の教育理念について教えてください!

本校の目指す学校像は「一人ひとりの能力を確実に伸ばし夢の実現を支援する学校」です。学校案内の表紙には「共に目指そう、夢の実現」というキャッチフレーズがあります。これは7、8年前の卒業生に募集をして決まったもので、生徒たちはこちらの方が馴染みがあるのではないかと思います。
杉戸高校では「5つの力」として、主体性、発信力、協調性、共感力、継続力を育成することを目標にしています。これらの力を3年間で身につけて卒業させることが約束になっています。
例えば主体性を育てる取り組みとして、総合的な探究の時間があります。生徒の中には杉戸町や宮代町出身の生徒が3割近くいます。地元の杉戸町役場や商工会の方々にご協力いただきながら、生徒の目線で地域の問題点を見つけ、自主的に調査し、解決策を考えます。そして最終的には後輩たちに向けてプレゼンテーションを行います。問題点は「SDGs」に関連付けて考えます。
これまでは政策提案という形が主でしたが、今後は具体的な実践まで踏み込めないかという話をしています。まだ生徒たちから具体的な提案は上がってきていませんが、今頑張って取り組んでいるところです。教室の中でタブレットを使いながらの机上の理論や考え方になってしまうので、なるべく地域や現場に多く出してあげたいと思っています。
近くにある東武動物公園との連携もしています。地球温暖化などが続くと身近な動物たちも将来地球から消えてしまう可能性があり、そうならないために動物園がどのような取り組みをしているかを学び、大学とも連携して動物を守るために何ができるかを考える活動も行っています。
光る原石を見つけ育てる学校としての特徴
ー他の学校にはない特徴や、杉戸高校として一番のアピールポイントを教えてください!
杉戸高校は「光る原石を見つけ育てる学校」です。行事や部活動でもリーダー的な生徒も中にはいますが、平均的な杉戸高校生はリーダーを支えるポジションの経験を持つ生徒が多いんです。優しくて穏やかな生徒が多く、人前に出るのが苦手ですが、その一方で背中を押してあげると「やっぱりリーダーをやりたい」という生徒が多いんです。
世のリーダーになれるような生徒を育てたいという思いから、新入生が入学する金曜・土曜日に「スタートアッププログラム」を実施しています。その中の一つに「リーダーシップ論」があり、昨年はトヨタ自動車の役員や、今年は大学の学長をお招きして、「これから3年間、君たちがリーダーとして育って世に出ていくんだ」というお話をしていただいています。
グローバルな視点を育む教育
ーグローバルな視点や英語教育について、何か特徴的な取り組みはありますか?
1年生の1月には英検を校内で全員受験しています。また、「1日英語で過ごそう」という取り組みは1年生を対象に行っており、朝から丸一日英語漬けの日を設けています。この取り組みは4年目になります。最初の年は生徒たちも緊張していましたが、杉戸高校に入学するとこのイベントがあるということは、入学前から知っている生徒が多くなりました。
また、埼玉県教育委員会から「グローバルリーダー育成事業」の募集がありますが、こちらも募集人員よりも多くの生徒が立候補して今年も選考になりました。昨年はEUの事業「EUがあなたの学校にやってくる」という企画でルクセンブルクの大使館の方が来校され、1時間英語で講演していただきました。外務省の高校講座も毎年応募しており、定期的にグローバルなイベントに参加できるよう取り組んでいます。
生徒一人ひとりの可能性を引き出す教育
ー先生方が生徒に意識して伝えていることはありますか?

学校説明会などでは必ず「杉戸高校は生徒の中の光る原石を見つけ育てる学校です。君たちの中には何か光るものが必ずあります。自分で気づいていなくてもあります。そこを一緒に見つけて、3年間かけて磨いていきましょう」と伝えています。
例えば、普段の授業では目立たなくても、数学が抜群に好きな生徒がいれば、こちらから声をかけて数学検定準1級にチャレンジすることを提案したり、生徒の中に眠っている才能を引き出すようにしています。
「科学の甲子園」という大会には、普段は数学や理科が得意な生徒たちを集めて精鋭部隊を作り臨んでいます。去年は実技競技で県内約70チーム中4位となりました。彼らは自信をつけ、今年は全国大会を目指して準備を進めています。杉戸高校の生徒の中に眠っているものを引き出すような取り組みを教員全体で行っています。
ー杉戸高校創立50周年オリジナルキャラクター「すぎにゃん」
これは生徒が考えた学校のマスコットキャラクターなんです。応募と投票によって選ばれた「すぎにゃん」が今年の4月から活躍中です。ホームページにも載っています!

今後の展望と目標
ー今後強化していきたい点や新たに取り組みたいことはありますか?
広報活動に力を入れており、杉戸高校を目指して頑張ってくれる生徒が増え、偏差値が上がってきています。これからは進路実績を出していくことが課題だと考えています。現在、杉戸高校の生徒の約8割は大学に進学しており、中には慶應大学やお茶の水女子大学、国公立大学など有名大学に合格する生徒もいます。そういった生徒がさらに増えていけばと思っています。
杉戸高校からのメッセージ
ーこの記事を読んでくださる中学生や保護者の方へメッセージをお願いします!
杉戸高校は「生徒の中の光る原石を見つけ育てる学校」です。君たちの中には何か光るものが必ずあります。自分で気づいていなくてもあります。そこを一緒に見つけて、3年間かけて磨いていきましょう。
もう一つは「一味違う普通の学校」です。基本的に杉戸高校は昔からある普通の高校です。今となってはそれが唯一無二なんです。新しい学科などが流行る中で、光るものを見つけながら他校にない取り組みをして、一味違いを出しながら生徒たちを伸ばしていきたいと思っています。
ホームページはこちら https://sugito-h.spec.ed.jp/