子どもたちが生きるこれからの時代は、「正解のない問い」に向き合う連続です。
情報があふれ、価値観が多様化する中で、求められるのは、自分の頭で考え、正しく判断し、行動に移せる力です。
神奈川大学附属中・高等学校では、創立者・米田吉盛先生が掲げた三つの建学の精神を軸に、こうした「ぶれない力」を育む教育を実践しています。
建学の精神に基づく教育理念と「ぶれない力」の育成

ー御校の教育理念や特色についてお聞かせください。
横内先生:本校では創立者・米田吉盛先生が掲げた「質実剛健」「積極進取」「中正堅実」という建学の精神に基づき、自ら考え判断し、行動できる人を育成する教育活動を行っております。
質実剛健
飾り気がなく、まじめでたくましく、自らを律すること。流行に左右されず、本質を見極める力。―「自分の軸」を持って生きる。
積極進取
困難なことに対して積極的にチャレンジする精神を持つこと
新しいことに挑戦し、時代を切り拓いていく力。―恐れず、変化の中に飛び込む勇気。
中正堅実
偏らず、誠実に物事を見つめ、対話と協調を大切にする力。―正しく、まっすぐに、新しい価値を創造する。
ー生徒の皆さんにはどのような力を身につけてほしいとお考えでしょうか。
横内先生:「情報過多の時代だからこそ、生徒たちには『自分はこう思う』『自分はこう生きる』と、はっきりと言えるようになってほしいのです」
この想いは、まさに米田吉盛先生が戦後の混乱期に「人間としての力」を育てようと建学した原点とつながっています。
中高の6年間の可能性
横内先生:本校は中高一貫6年間の中で、じっくりと生徒の「自分らしさ」と向き合います。
急がず、慌てず、丁寧に育むからこそ、知識だけでなく、自律心や責任感、そして世界を見据える広い視野が自然と根づいていきます。
生徒主導の学校行事と成長の機会

ー生徒の皆さんや先生方が力を入れていらっしゃる行事はありますでしょうか。
横内先生:生徒たちは「くすのき祭」と呼ばれる学校祭と体育大会、この2つの大きなイベントにかなり力を注いでいます。
生徒たちにとって成功することもあれば、失敗もありますが、失敗から学ぶことも多く、達成感を味わえるような場面が常にそこにはあります。
この2つの行事が、生徒たち一人ひとりが輝き、そして自分を表現できる行事になっています。
一人ひとりの幸せを重視した受験指導
ー御校における受験指導の基本的なお考えについてお聞かせください。
横内先生:基本的な受験指導の考えは、それぞれが思い描く進路の実現です。
生徒たちには「こういうことをやりたい」という希望があり、その希望を私たちがいかに実現をサポートできるかが、進路指導の肝になっています。
生徒たちが「自分の幸せってなんだろう」と考え、「こういう幸せを目指していきたいから、こういう大学に入りたい」「こういうところで学びたい」ということを口に出し、それを元に私たちは最大限サポートをしていきます。
本校には「生徒が主役の3者面談(SSS)」という特徴的な取り組みがあります。
これは生徒それぞれの自分軸作りに非常に役立っています。
通常の3者面談では保護者と教員が話し過ぎてしまい、生徒が置いてけぼりになることがありますが、それは人生の主人公に主導権を与えないこととおなじです。
本校では生徒自身が保護者と担任に、1年間の進捗や自分を振り返りプレゼンテーションを行い、自分という人間を削り出してもらいます。
大人たちが「○○大学に行きなさい」ということは当然なく、自分のことを知り、自分で「この大学で学びたい」と気持ちが固まったら、私たちがサポートする、これが本校の進路指導です。
効率的な学習時間確保を目指した自習室プログラム

ー自習室の学習支援プログラムを始められたきっかけについて伺えますか。
横内先生:以前は通塾する生徒が高2から見受けられ、その理由の多くが「最寄りの駅・沿線での自習スペースの確保」であったため放課後自習室プログラムを始めました。
部活動に力を注ぐ生徒たちにも効率的に学習時間が確保できるようにしているのももう一つの理由です。
きめ細やかな面談による精神的サポート
ー受験期特有の不安やストレスに対して何か工夫されていることはありますか。
横内先生:受験期の不安やストレスを無くす方法はなかなか無いものですが、緩和する方法はあります。
それはきめ細やかに面談をすることです。
本校は担任と生徒の面談が非常に多く、3者面談以外にも、担任と生徒の1対1の面談を密に行っています。
面談を重ねることで、不安なことがあれば話をしてくれますし、そこで解決しなかったら、次回話をしようとか、来週話をしようといったように、サポートしています。
生徒の主体性を重視した最近の取り組み

ー学習面や生活面の取り組みで最近変化があったことはありますか。
横内先生:先ほどお話しした面談のスタイルが変わった点は、一つ最近の変化です。
また、探究活動でも一つの変化として、生徒主体で進めてもらうことが増えました。学校紹介のフライヤーについても、生徒たちがコンペをして、デザインを採用し、作成しています。
密な情報共有による保護者との連携
ー保護者様との連携について工夫されていることはありますか?
横内先生:保護者の方への情報は密に発信しており、保護者会も数多く行っています。
また、進路や海外研修、探究についての説明会も行っていて、今学校で何を行っているのか、どういった方向で私たちが動いているのかをお伝えしています。
学ぶ意義を伝えることによるモチベーション向上

ー学校生活において、生徒の皆さんがモチベーションを保つために、先生方が意識していらっしゃることはありますか?
横内先生:やはり学ぶ楽しさを感じること、なぜ学ぶのか、どうして学ばなければならないのかという部分をよく伝えています。
毎年全学年で学校評価アンケートを取るのですが、その中で生徒たちの評価が高いのが、教員たちからの「なぜ学ぶのか」という項目。
教員の学びへの思いがしっかりと伝わっているという反応がありました。
チャレンジ精神を持った生徒への期待

ー最後に入学を希望されていらっしゃる生徒さんや、保護者の方にメッセージをお願いできますでしょうか。
横内先生:本校は様々なことにチャレンジできる学校です。
小学校時代は塾に時間をとられ、色々なことにチャレンジできなかった方がたくさんいるかもしれません。
そのような生徒さんはぜひ本校に入学していただき、本校で色々なことにチャレンジして、そして自分軸を作りあげ成長してもらえたらと思います。