「平和社会に貢献できる力を育てる」佼成学園女子中学高等学校の6年間教育とは

中高6年間を通じて人間力と学力を両立する教育を実践する、佼成学園女子中学高等学校。

その根底にあるのは、「平和社会の繁栄に貢献できる人材」を育てたいという強い想いです。

グローバル時代を生き抜く力、そして他者と円満に関わる力を育む学校生活について、楓淳一郎先生にお話を伺いました。

教育の出発点は「平和社会に貢献できる人間」を育てること

ー御校の教育理念とその特色について教えてください。

楓先生:
本校の建学の精神は、「平和社会の繁栄に貢献できる人材の育成」です。

そのために、体験と学問のバランスを大切にする「行学二道」の精神を掲げています。

これは、いわば“文武両道”を現代風に解釈した考え方で、知識だけでなく行動力や人間性も兼ね備えた生徒を育てたいという想いが込められています。

円満な人間関係が、世界の平和に通じていく

ー学力以外に、生徒にどのような力を身につけてほしいとお考えですか?

楓先生:
「笑顔」と「円満な人間関係」、これがすべての土台だと考えています。

隣の人と円満な関係を築くことができる——それが少しずつ広がって、家庭、地域、社会、ひいては国と国の関係にもつながっていきます。

例えば、隣のクラス、隣の友達、隣の国…。この「隣」という距離感で、まずは目の前の相手としっかり向き合うこと。笑顔で日常を過ごすこと。それが本校の人間教育の根本です。

学力だけでなく「非認知能力」も伸ばすための仕組み

ー精神的な成長や学校生活でのサポート体制について教えてください。

先生
数値で測れる「認知能力」だけでなく、粘り強さ、人間関係構築、問題解決能力といった「非認知能力」をバランスよく育てることが重要だと考えています。

そこで、本校では行事・部活動・海外プログラムの3つを大きな柱としています。

また、本校の特徴的な取り組みとして「チーム担任制」があります。

3クラスを4〜5人の教員でチームを組んで担任し、曜日ごとに先生が変わるスタイルです。

行事前などは固定担任の期間もありますが、基本的には月曜はA先生、火曜はB先生…というように、日替わりで担任が変わります。

複数の大人の視点から生徒を多面的に見守ることができ、生徒にとっても多様な価値観に触れるチャンスになります。

進路指導のキーワードは「マッチング」

ー受験指導について、どのような方針をお持ちですか?

楓先生:
1人ひとりが「どう生きたいか」「どんな人になりたいか」という人生観に寄り添う「マッチング重視」の進路指導を行っています。

私たちは、「大型客船にみんなで乗る」のではなく、「1人ひとりが自分のヨットで、自分だけの航路を進んでいく」イメージで進路を描いています。

進路指導の役割は、コンパスを持って一緒に航海する伴走者であることだと考えています。

校内予備校と個別補習で、幅広いニーズに対応

ー学習面での具体的なサポート体制について教えてください。

先生
中学では「サポート講習」という指名制の補習を行い、苦手分野のフォローを徹底しています。

高校では「校内予備校」を30年近く前から導入しており、外部のプロ講師を招いて授業を行います。

費用も一般の予備校に比べて半額以下に抑えており、生徒にとっては非常に魅力的な仕組みです。

この講座は、中学2年生から高校3年生まで、希望者全員が受講可能です。

学校の中で、学校の教員とプロ講師の両方から学べる環境が整っています。

受験期を支える縦のつながり

ー受験期の精神的な支援について、どのような取り組みがありますか?

先生
「受験は団体戦」が本校の合言葉です。

勉強は一人でやるものと思われがちですが、教室の空気や仲間の声かけが大きな支えになります。

また、40名近くの卒業生チューターが大学生として在籍し、後輩の支援にあたっています。

教員や講師による指導に加えて、年齢の近い“お姉ちゃん”のような存在が、面談・質問対応・励ましなどを通してメンタル面でも強く支えてくれます。

保護者とも三位一体で進路戦略を描く

ー保護者との連携についてはいかがですか?

先生
年に1回の保護者面談や学期ごとの保護者会はもちろん、希望があれば随時面談も受け付けています。

さらに、校内予備校主催の保護者会も実施しています。

本校では一般受験は約2割で、残りは指定校推薦と総合型選抜での進学で、年内に8割の生徒が進路を決定しています。

保護者も含めた「戦略的進学」の相談を日常的に行っています。

探究・改革——生徒主体の「変化」が生まれている

ー最近の学校の取り組みや変化について教えてください。

先生
大きく2点あります。

まず、探究活動に力を入れており、高校生は全員が1本の論文を執筆します。

日本語・英語いずれかの形式で、外部発表の機会も多くあります。

もうひとつが「学校改革委員会」です。

生徒自らが学校生活の改善点を提案し、制服オプションの多様化や、アイスの自販機導入などを実現しています。

制服業者との交渉も生徒が担当し、まさにリアルな社会経験になっています。

6年間モチベーションを保つ鍵は「否定しない」対話

ー長期間モチベーションを維持するために意識されていることは?

楓先生:
「傾聴し、否定しない」姿勢を大切にしています。

まずは生徒の言葉を受け止め、一緒に考える。教員が上から教えるのではなく、伴走者として寄り添う。

そんな信頼関係を日々育んでいます。

これからの教育に求められるもの

ー今後、学校としての展望があれば教えてください。

先生
日本のグローバル化は止まりませんし、外国籍の方が職場の隣に座る時代です。

その中で必要なのは、語学力だけでなく、多様性を受け入れる力、探究心、そして人と協調する力です。

英語・グローバル・探究という3つの軸を、今後も教育の柱に据えていきたい。

そして、「生まれてきてよかった」と心から思える人生を送れる人材を育てたい。それが本校の目指す未来です。

受験生へのメッセージ

ー最後に、受験生や保護者へのメッセージをお願いします。

楓先生:
英語が得意な子も、苦手だけど必要性を感じている子も、どんな子にも自分の居場所があります。

本校には、英語のレベル別授業や海外プログラム、4つのコースから選べる学びの幅があります。

自分の力を伸ばし、自分の未来を切り開く6年間を、ぜひこの学校で一緒に歩んでみませんか。

まずは説明会で、雰囲気を感じてみてください。お待ちしています。