函館の地で40年以上にわたり探究的な学びを実践してきた北海道教育大学附属函館中学校。1983年に始まった「フリータイム」は、現在では地域課題の解決に取り組む本格的な探究活動へと発展しています。体育祭での「MUKADE競争」や市民会館での合唱コンクールなど、伝統行事も大切にしながら、2012年からはICT教育にも着手し、全校生徒への1人1台端末環境をいち早く実現しました。温故知新の精神で、新しい教育の形を追求し続けています。

学校概要と特色
ー御校の教育活動の概要、他校にはない特色やアピールポイントを教えてください。
黒田先生:本校は昭和22年4月1日に開校し、現在は常勤教員18名と非常勤講師8名の計26名の教員体制で、3学年各3クラス、合計9クラス315名(定員)の生徒が学んでいます。北海道教育大学の附属学校として、「研究×実践」を核とした基本理念に基づいて運営しています。
特色として、大きく2つの柱があります。1つ目はICTの利活用です。2012年度からスマートフォンを活用した教育実践を開始し、2013年には全校生徒分のタブレット端末を導入。2014年には持ち帰り学習を実施するなど、GIGAスクール構想に先駆けて1人1台端末環境を実現してきました。
2つ目の柱は、総合的な学習の時間(本校では「探究」と呼称)の充実です。1983年から「フリータイム」という名称で、現在の総合的な学習の時間に通じる独自の教育実践を展開してきました。東京への修学旅行での調査研究や、札幌での企業訪問、函館の地域学習など、古くから探究的な学びを実践しています。
入学試験の特徴
ー受験指導への取り組みについて教えてください。
黒田先生:募集定員は1学年35名程度で、函館市内で通学可能な範囲に在住していることなどが応募の条件となります。入学試験は学力検査(国語・社会・理科・算数各25分)、作文(30分)、面接(15分程度)の3つで構成されています。
特徴的なのは、学力検査では特別な受験対策は必要とせず、小学校の教科書で12月までに学習する内容を確実に身につけていることを重視している点です。
作文では「集団生活の充実」「人との関わり方」「未来」といったテーマで出題し、面接では2分程度の自己PR時間を設けています。自己PRでは楽器演奏や英語スピーチ、歌唱、スポーツの実演など、生徒の個性を活かした表現を認めています。
特色ある教育活動
ー特色ある教育活動について教えてください。
黒田先生:本校の特色ある教育活動として、地域課題解決型の探究学習があります。函館という地域を足掛かりとして世界を見据えた学びを展開しており、この取り組みの一部は北海道教育大学と共同で作成したワークブックにまとめられています。
また学校行事では、5月の体育祭と学校祭(梧桐祭)が2大イベントとして挙げられます。特に体育祭での「MUKADE競争」は40年以上の歴史を持つ伝統種目で、1クラス男女それぞれが縄で繋がってゴールを目指す競技です。学校祭では市民会館のステージで合唱コンクールを実施し、全学級が力を合わせて取り組んでいます。
保護者との連携
ー保護者との連携において工夫されている点を教えてください。
黒田先生:体育祭や学校祭などの行事運営を中心に、PTAの5つの部会(事務局、広報部、研修部、生活環境部、学級部)と連携しています。広報部による行事写真の撮影や、学級部による協賛Tシャツの斡旋など、様々な形でご協力いただいています。
また、「開かれた教育課程」の実現に向けて、例えば交通安全教室、人権教室、思春期教室などを実施する際に、保護者の方々にも参加を呼びかけています。地域人材の活用と保護者との連携を重視し、教育活動への理解と協力を得ながら学校運営を進めています。
時代の変化への対応と今後の展望
ー時代の変化に対応した取り組みや今後の展望について教えてください。
黒田先生:教育活動の更新として、国立教育政策研究所の研究指定を受けるなど、常に新しい教育の実現を目指しています。令和6年4月からは時代に即したスタイルと機能性を追求し、学ラン・セーラー服型の制服をブレザー型に一新しました。
また、校舎の全面改修も進めており、令和6年度には普通教室棟の改修、令和7年度には校舎の一部増築と体育館への冷房導入、令和8年度には管理棟・特別教室棟の改修を予定しています。
今後の展望としては、「21世紀に世界で活躍する人材の育成」を目指し、探究活動における地域との連携強化や、北海道教育大学・教職大学院との連携を深めていく方針です。
保護者・受験生へのメッセージ
黒田先生:本校が目指すのは、21世紀の世界で活躍できる人材の育成です。函館という地域に根ざしながら、より広い視野を持って世界に羽ばたける人材を育てていきたいと考えています。
令和7年度は、皆様に本校の教育活動をより深く知っていただくため、2回のオープンスクールを開催いたします。1回目は7月5日(土曜日)に授業見学を中心としたプログラム、2回目は10月4日(土曜日)に授業体験を中心としたプログラムを用意しております。実際の学校生活の様子をご覧いただき、本校の教育活動について理解を深めていただければ幸いです。
函館の地において、歴史と伝統のある本校で共に学び、共に成長できることを、教職員一同、心より楽しみにしております。皆様とお会いできる日を心待ちにしています。