伝統と革新が融合する福島成蹊中学校・高等学校 – 東北から難関大学への進学を実現する教育プログラム

東北地方における教育格差の解消を目指し、首都圏型の中高一貫教育を実践する福島成蹊中学校・高等学校。

豊かな自然環境を活かした体験学習と、きめ細やかな進学指導により、少人数クラスから東京大学や京都大学などの難関大学への合格者を輩出しています。

同校の特色ある教育について、上埜先生と石澤先生にお話を伺いました。

教育理念と学校の特色

ー貴校の教育理念や特色についてお聞かせください。

石澤先生:「成蹊」という名は、司馬遷が「李将軍列伝」(史記)において李廣の人物を述べるため引用した諺「桃李不言下自成蹊」(桃李もの言わざれども下おのずから蹊を成す)から採ったものです。

福島市に位置する本校では地域における教育格差の解消を目指し、首都圏型の中高一貫教育を実践しています

例えば、福島県の東京大学合格者数は12名程度で、他県の進学校と比較すると少ない状況です。

この地域格差を埋めるべく、質の高い中高一貫教育を東北地区に普及させることを目的として設立されました。

本校には中高一貫コースと高校からの3か年コースがあり、それぞれ異なるアプローチで指導を行っています。中高一貫コースは高校入学組と交わることのない独自のカリキュラムで6カ年教育を推進しています。

中高一貫コースでは医学部や東京大学、京都大学を目指す生徒が多く、先取り学習を通じて一般入試での合格を目指します。

特筆すべき点として、2023年度は13名という少人数クラスから、東京大学理科三類1名、理科二類1名をはじめ、京都大学、一橋大学、東北大学などの難関大学に9名の合格者を輩出しています

また、慶應義塾大学医学部や防衛医科大学校など、医学部進学にも強みを持っています。

進学指導の特徴と実績

ー貴校における受験指導の基本的なお考えをお聞かせください。

上埜先生:生徒の第一志望校への合格を叶えるということを前提に、大学側が提示する合格者の平均点についても強く意識して指導しています。

本校では、教職員が大学入試の問題を長年にわたって研究し、生徒たちの習熟度や最新の入試トレンドを取り入れた「オリジナルテキスト」を作成し、指導にあたっています。生徒たちだけでなく、教員も共に学び、成長していくということが大切だと考えています。

過去問演習にしっかり取り組めるよう、高校2年生からはほとんどの科目で大学入試問題を練習に取り入れています

6年間の成長を支える教育プログラム

ー生徒の皆様にどのような力を身につけてほしいとお考えでしょうか。

上埜先生:生徒の成長支援において特に重視しているのが、基礎学力の確実な定着です。

東北地方では小学生時代の学習機会が限られているため、中学1、2年生では基礎学力の充実に力を入れています。

その上で、高校2年生後半からは自学自習能力を重視し、大学入試問題に取り組みながら、学問的な探究も深めていきます。

個々の生徒に合わせて教材を変えることはもちろんですが、我々が目標としているのは、高校2年生の後半から、特に高校3年生では自学自習がしっかりとできるようになることです。

過去問を自分で解いたり、そこから学問的内容に照らし合わせて、より深い内容の学習に取り組めるよう指導しています。

豊かな人間性を育む自然体験学習

ー学力面以外で特に重視されていることはありますでしょうか。

石澤先生:本校の特徴的な取り組みとして、福島県の豊かな自然を活かした体験学習があります。

太平洋側の海での臨海教室、会津地方での尾瀬国立公園での学習、スキー教室、キャンプなど、多彩な自然体験プログラムを実施しています。

また、6学年合同で行う「強歩」(20数キロの歩行)や登山などの行事を通じて、学年を超えた交流も活発に行われています。

これらの活動を通じて、人間としての成長と、自然の中で生きる生物としての視点を育んでいます

きめ細やかな生徒・保護者サポート

ー生徒一人一人の進路希望にどのように対応されていますか。

石澤先生:去年高校3年生担任していたのですが、生徒もしくは、保護者さんが志望校を変えたいと相談されることもありました。

そういった時は第1志望校に自信が持てなくなっていたり、成績に表れず悪い結果を考えてしまうことがありますが、冷静に取り組めるよう、模擬試験を一緒に考えたり、密な面談を大切にしています。

志望校に向け頑張ってきた生徒さんを最後まで応援したい、また最後まで折れずに頑張れるようサポートするのも我々教師の役目だと感じています

ー保護者様との連携について、工夫されている点はございますか。

定期的な面談に加え、放課後の自習時間などを利用して、ほぼ毎日生徒とコミュニケーションを取っています。

また、大学入学共通テスト直前の年末合宿では、保護者の方々からの差し入れやお守りなど、アットホームな雰囲気の中で受験に向けた最終準備を行っています。

今後の展望

ー受験を控えた生徒や保護者の方々へメッセージをお願いします。

上埜先生:本校の教育プログラムがここ数年で大分仕上がってきました。

来年度からは寮を整備し、全国からの生徒受け入れを本格的に開始します。

ぜひ他県からも生徒さんに入学頂いて、素晴らしい教育を提供するとともに、本校の教育が卒業生の将来に役立つことができればと考えております。