創立134年を迎える神田女学園中学校高等学校は革新的な教育プログラムを展開している伝統校。
「楽しくなければ学校ではない」という学校長の理念のもと、生徒たちが自らの可能性を追求できる環境づくりに注力されています。
今回はグローバル教育を軸に生徒一人一人の夢の実現をサポートされている内容について、奥田先生にお話を伺いました。
「楽しさ」を大切にした教育理念
ー貴校の教育理念や特色についてお聞かせください。
奥田先生:神田女学園は134年の歴史を持つ伝統校ですが、実際の教育内容は非常に革新的です。
学校長が掲げる「楽しくなければ学校ではない」という教育理念のもと、生徒全員がこの考えを共有しています。
ただし、ここでいう「楽しさ」とは単なる賑やかさだけではありません。
自分のやりたいことを実現できる本質的な楽しさを実感してほしいというのが、私たちの基本的な教育方針です。
グローバルマインドを目指す特色ある言語教育
ー生徒の皆さんにはどのような力を身につけてほしいとお考えですか?
奥田先生:最も重視しているのはグローバル教育です。
私たちが目指したい「グローバルマインド」とは、生徒たちが将来やりたいことを見つけた時に、日本国内だけでなく、世界を視野に入れて考えられる力です。
例えば、日本では需要が少なくても海外では大きなニーズがあるかもしれない、あるいは、世界では当たり前のことが日本ではまだ普及していないかもしれない、そういった視点を持てる人材を育てたいと考えています。
本校は東京にありますが、生徒たちには東京という枠に収まらず、より広い視野を持ってほしいと考えています。
そのために、英語教育はもちろん、中学3年生からは中国語、フランス語、韓国語の中から1つを選択して学習し、言語学習を通じて、その国の文化も同時に学ぶことで、より幅広い視野を養うことができます。
個々の希望を重視した進路指導
ー受験指導についての基本的なお考えを教えてください。
奥田先生:当校の特徴的な点は、第一志望合格率を重視していることです。
生徒が「ここに行きたい」と決めた大学への合格率が73%、第二志望まで含めると88%に達しています。
偏差値だけで進路を決めるのではなく、本人の意思を最も重視しているのです。
特に総合型選抜での進学が多く、約8割の生徒が年内に進路を決定します。
生徒数が学年あたり約180人と比較的少人数であることを活かし、面接指導や小論文対策も徹底的にマンツーマンで行っています。
きめ細かな受験サポート体制
ー受験期の生徒さんたちの成長をどのように支援されていますか?
奥田先生:小論文や面接は多くの生徒にとって初めての経験となるため、基礎から丁寧に指導しています。
面接では入室の仕方から細かく指導し、一人の生徒に2時間かけて指導することもあります。
特に面接に苦手意識を持つ生徒も多いので、複数回の練習を通じて自信をつけられるよう支援しています。
女子校ならではの成長環境
ー学力以外の面で特に重視されていることはありますか?
奥田先生:女子校ならではの特徴として、生徒たちが自分の意見を躊躇なく発言できる環境があります。
共学校では男子生徒が率先して発言する傾向があるかもしれませんが、本校では全ての生徒が積極的に自己表現できます。
「やってみたい」と思ったことに一歩踏み出すことの大切さを常に伝えており、それが実践できる環境こそが女子校の魅力だと考えています。
豊富な大学との連携プログラム
ー受験に向けた特徴的な取り組みについて教えてください。
奥田先生:全国約70校の大学と教育連携を結び、学内での進路ガイダンスを実施しており、生徒たちは学校にいながら様々な大学の情報を得ることができます。
特に、同じ分野の複数の大学に同じ質問をすることで、各大学の特色を比較検討できるようにしています。例えば「グローバル教育とは何か」という質問に対する各大学の回答を比較することで、自分の考えに最も合った大学を見つけることができます。
デジタル時代に対応したコミュニケーション
ーコロナ禍での変化について教えてください。
奥田先生:コロナ禍を機に、教員とのコミュニケーション方法が大きく変化しました。
Gmailを活用した質問が増え、従来の職員室での対面式に加えて、オンラインでも気軽に相談できる環境が整いました。
これはコロナ収束後も継続している取り組みです。
手厚い精神的サポート
ー受験期特有の不安やストレスへの対策はありますか?
奥田先生:特に女子校ということもあり、必要以上に不安を抱える生徒も少なくありません。
私たちが最も重視しているのは、生徒の話をじっくりと聞くことです。
すぐに解決策を提示するのではなく、まず生徒の気持ちに寄り添い、一緒に解決策を探っていく姿勢を大切にしています。
探究活動を通じたモチベーション維持
ー受験までのモチベーション維持のために工夫されていることは?
奥田先生:10年以上前から探究活動に力を入れており、これが受験期のモチベーション維持にも繋がっています。
なぜその大学に進学したいのか、その目的を明確にすることで、学習へのモチベーションを保つことができます。
目的を見失いそうになった時には、改めてその志望理由を一緒に確認し、モチベーションの回復を図っています。
未来への展望
ー今後の展望についてお聞かせください。
奥田先生:今後も引き続きグローバル教育を主軸に据え、生徒たちの視野を広げていきたいと考えています。
特に「やりたいことを見つけたい」「挑戦してみたい」という生徒たちの思いに寄り添い、それをサポートできる学校であり続けたいと思っています。
探究活動を通じて課題解決能力を養いながら、生徒一人一人の夢の実現を支援していきます。