創立当初から帰国子女を受け入れ、多様なバックグラウンドを持つ生徒一人ひとりが歩みたい進路を実現できる教育環境を整える、茗溪学園中学校高等学校。
学力向上だけでなく、生徒の興味関心を引き出す豊富な課外活動と、個別性を重視した進路指導により、学校生活と受験対策の理想的な両立を図っています。
本校独自の取り組みについて、石澤裕佳先生と重光智章先生にお話を伺いました。
世界に羽ばたく人材を育成する教育理念と特色

ー茗溪学園中学校高等学校の教育理念と特色について教えてください。
石澤先生:本校の建学の理念は、「世界的な視野を持つ人材の育成」にあります。
この理念を具体化するため、私たちは「社会のウェルビーイングの実現」、すなわち、自分自身のみならず他者も含めた社会全体の幸福を追求し、多様化する社会で力強く柔軟に生き抜く人材の育成を目指しております。
学校創立当初から帰国子女を受け入れ、それぞれの生徒が持つバックグラウンドを生かしながら、歩みたい進路に進めるよう支援しています。
ー学力以外の面で重視されていることや、生徒の皆さんに身に付けてほしいとお考えのことはありますか?
石澤先生:学力以外では自分の好きなことを見つけてほしいと思っています。
勉強だけではなく、いろいろな経験ができる機会やチャンスを用意しているというところが本校の特徴です。
例えば、海外留学や、活発に活動している部活動もたくさんあります。
ラグビー部は花園に出場するほど強く、テニス部、バドミントン部、剣道部などもあります。
また、科学部だけでも100人ほど在籍しており、様々な興味関心を持った生徒がいますので、それぞれの生徒が好きなことが見つけられる環境を整えています。
生徒主体で盛り上がる学校行事の魅力
ー生徒の皆さんや先生方が力を入れていらっしゃる行事はありますか?
石澤先生:年間を通して一番盛り上がるのは、文化祭「桐創祭」です。
教員が力を入れているというよりも、生徒が非常に楽しんで取り組んでいる行事だと思います。
ー生徒さんは文化祭でどのような経験をされていますか?
石澤先生:中学1年生は合唱を行い、2年生は演劇を、3年生はダンスなどのパフォーマンスをします。
高校1年生、2年生になると、クラスごとに実施することを選べるようになり、飲食やゲームなど、クラスごとに楽しんでいます。
また部活動で企画を立てたり、ダンス部であればショーのようなものを行ったり、吹奏楽部は演奏会に取り組んでいます。
さらに、有志でバンドを組んで発表する生徒もいます。
この桐創祭は、生徒たちが主体となって作り上げる行事であり、大きな達成感を得られる一方で、意見の衝突や葛藤を経験することもあります。
しかし、それらは協働の中で避けては通れない、貴重な学びの機会でもあります。こうした経験を通して、生徒たちが他者と協力して物事を成し遂げるために必要な姿勢やスキルを育んでくれることを願っています。
生徒の主体性を重視した受験指導の基本方針
ー御校における受験指導の基本的なお考えを教えてください。
重光先生:本校は、進学校にありがちな、国立大学に行けといった指導は行っていません。
高校1年生の時から進路行事のような形で、自分の本当にやりたいこと、将来どのように社会貢献をしたいか、今どのようなことに興味を持っているかを探ることから始めます。
自分のキャリアを考えながら進路を決めていき、最終的に大学で何を学びたいかということを明確にした上で、次のステップとしての進路指導を心掛けています。
各学年毎に、毎年大きな宿泊行事を必ず組み込んでいますので、様々な経験、人と人との関わりや、高校生の研修旅行で海外に目を向けるということも含め、日本で活躍するのか、世界で活躍するのかという、大きな広い視野を含めながら最終的に進路を選んでいきます。
多様化する受験制度への対応と個別サポート

ー生徒一人一人の進路希望にどのように対応されていますか?
重光先生:世の中の動きと同じように、本校でも総合型選抜を考えている生徒や、公募推薦を考えている生徒が徐々に増えているのは事実です。
子どもたちのニーズに合わせて、高校3年生の担任だけでなく、全専任教員が何人かずつを担当し、総合型選抜の志望理由書や面接練習をサポートしています。
ー受験に向けた具体的なプログラムや特徴的な取り組みについて教えてください。
重光先生:特徴的なのは、高校2年生に行われている個人課題研究です。
この研究を通じて、この学部に進みたい、この大学でこの先生に学びたいといった気持ちを育て、高校2年生の後半から受験にシフトしていく流れができています。
当然、春期や夏期も含めて補習を校内で実施しておりますが、そこから順次個人面談を実施していきます。
本校は国際バカロレアコースもありますので、海外受験や国内受験、両方の対策など、生徒に合わせて多種多様に受験のサポートを行っています。
生徒の心理的サポートと複数担任制による手厚いケア
ー受験生の生徒さんの特有の不安やストレスに対してケアされていることや工夫されている方法はありますか?
重光先生:メンタルサポートに関しては、私たちも臨床心理士などの研修を受け、コントロールについて学年やクラス単位で学ぶ機会を持っています。
二者面談の機会をできるだけ増やし、生徒の本音や今悩んでいること、困っていること、希望といったことをできるだけ丁寧に聞くことを意識しています。
本校は担任制ではなく、複数担任制を取っておりますので、面談の回数を増やしたり、個別に話を聞く機会を増やすことができます。
保護者との多面的な連携と信頼関係の構築
ー保護者様との連携について工夫されていることはありますか?
重光先生:例えば、中学生の行事は保護者もボランティアとして一緒に参加できる形で実施しています。
進路の行事では、保護者の方に職業について話をしていただいたり、一緒に作業する機会も設けています。
各学年の父母会はありますが、地区にもそれぞれ父母会があり、同じ地区の人達と上下の繋がり、保護者同士の繋がりを持っています。
部活動もそれぞれ保護者会があり、そこに教員が参加することもあります。
行事と課外活動を通じた成長とモチベーション向上

ー生徒の皆さんがモチベーションを保つために、意識していらっしゃることはありますか?
重光先生:好きなことを見つけると強いなと感じています。
今もちょうど文化祭の準備を一生懸命行っていますが、何かイベントがあると、そこへ向かっていくエネルギーやパワーは、私たちが普段見ない姿を見ることができます。
宿泊行事もそうですが、そういった機会に彼らは新しいことに積極的にチャレンジし、私たちは本当に驚きます。
学年の大きな行事が終わる度の子どもたちの成長は凄まじいものがあります。
中学3年生の修学旅行に行って帰ってきた後の彼らの姿は非常に大きく感じますし、高校2年生の海外研修旅行、修学旅行が終わった後は、大人にもう一歩近づいたと感じます。
このように大きな行事を経験しながら、彼ら自身も自信がついていき、それがエネルギーとなり、最終的にやりたいことを見つけられたり、受験にぐっと踏み込んでいくことができます。
石澤先生:課外活動にも積極的に参加しており、例えば福島県でボランティアをしたり、自分達でテーマを立てて、実際に調査に行ったりしている子達もいます。
また模擬国連など外部の活動に参加することで、学校以外の人と関わる機会がたくさんあります。
違う学校のすごい生徒や、すごい大人など、いろいろな人と出会うことが、モチベーションに繋がっていると感じています。
中高一貫の強みを活かした縦のつながり
ー中学生と高校生は交流があるのですか?
重光先生:部活動も中学1年生から高校3年生まで同じ場所で活動しておりますので、かなり交流はあります。
グローバル教育の展望と個別支援の充実

ー今後、御校がどのような展望を想定されていらっしゃるのかお聞かせください!
重光先生:年々海外に進学、海外大学に進学する子が年々増えていますので、多様な社会の中で海外を視野に入れながら、学校の理念でもある世界で活躍する国際人を育てるための支援になっていくと思います。
そういった支援をできる限り続けていきながら、一人一人の個性やニーズに合わせてきめ細やかに寄り添っていきたいと思います。
多様な才能を育む環境で新たな可能性を発見
ー最後に入学を希望されていらっしゃる生徒さんや、保護者の方にメッセージをお願いします!
石澤先生:冒頭に申し上げた通り、いろいろなチャンスがある学校ですので、スポーツが好きな子も自分にあった部活動が見つかると思いますし、芸術が好きな子には美術部や写真部もありますし、サイエンスに興味がある子も活躍できる部活があります。
部活以外にも、個人課題研究や、留学、様々な課外活動などに参加できるチャンスがあります。
この学校に来たら何か好きなことが見つかると思いますので、ぜひ、色々な生徒さんに来てもらいたいと思います。