江東区大島にあるピアノ教室「CRECER Piano Lessons」を主宰する山下まや氏にインタビュー。単なるピアノ指導にとどまらず、目標設定と実践プロセスの徹底指導により、音楽コンクールでの受賞者を多数輩出。さらに小学校・中学校・大学受験にも強いという特色ある教室の取り組みについて伺いました。

教室概要と生徒層について
ーまず簡単にどういった方を対象にされていて、どういった指導を行っている教室なのか、教室の概要について詳しくお伺いさせてください!
現在私達はピアノ教室が始まってちょうど今、9年目に入り、第8回の発表会を企画しているところでございます。現在のところほとんどの生徒さんが未経験でいらっしゃって、小さいお子様ですと3歳から、ボリュームゾーンは小学生。そして大人の方々が通われています。ピアノと勉強を両立するようなお子さんが非常に多く通ってくださっております。
教室設立の経緯とユニークな背景
ー御自身がこの教室を始められた経緯だったり、きっかけについて教えてください!
私自身、子供が4人いるんですが、上から下から3番目の息子が生まれつき難病を抱えて生まれてきたこともあり、それまで会社員でずっと働いていたんですけれども、急に家庭に入って在宅医療ケアをしなくてはならなくなりました。
当時はコロナの前でしたので、在宅勤務という概念がなく、会社を辞めるしか選択肢がありませんでした。
そのとき看護で家から出れない状況でしたので、「お客さんを家にいらしてもらって仕事ができないか」と考えました。一番上の双子がピアノを習っていて、たまたま家にピアノがありましたので、その設備と、子どもたちが学校に行っている時間を活用し、先生と契約して、生徒さんを私が集客して、そこでマッチングをさせるという仕事として始めたのがきっかけです。
他の教室にはない特徴とアピールポイント
ー他の教室にはない特徴であったりや、教室としての一番のアピールポイントについて教えてください!
「上手になります」というのも当たり前なんですけど、私達の教室はほとんどが初心者で、他の教室から移ってくるという子が少数派です。その子たちが1から私達の教室でピアノのレッスンを始めて、去年は22名がコンクールで受賞しました。
みんな未経験からのスタートで、初めて小学生から始めたお子さんもいらっしゃるんですけれども、やはりちゃんとした目標の設定、それに対してどうやって家でプロセスとして練習をしていくかをお伝えしています。お子さんだけに伝えてもなかなか難しいので、親御さんも含めて、その目標に近づくためには1日どのくらい練習しなければいけないのか、どんどんブレークダウンをして目標とプロセスを策定していきます。
目標設定とプロセスの策定という考え方は中学受験、小学校受験に挑むためにも非常に大きな要素で、そこと親和性が非常に高いと感じています。ピアノと学業、両方を頑張るお子さんを応援しているというのが私達の特徴ではないかと思っています。
やはり能動的に動く子というのはいきなり能動的に動くわけではないので、お母さんも含めて何かのきっかけややり方を教えてあげるだけで、自発的に行動できるようになります。親子の関係性も含めて、それを一番応援したいと思って声かけをしています。
指導における特別な配慮と工夫
ー指導する際に特に注意していることであったりとか、工夫している点などあれば教えてください!
特にお母様、お父様を孤独にさせないというのを大切にしています。1人で悩むのではなく、みんなで悩む、喜ぶときはみんなで喜ぶというのを大事にしています。
特に習い事は生徒さんは先生がしっかり付いているので良いのですが、お母様やお父様は一歩離れた輪の中にいらっしゃるので、「家に帰ってどうしたらいいのかわからない」とか、「こんなに苦労しているのは私だけなのだろうか」という思いを抱えがちです。横のつながりがあるとモチベーションが上がり、続けることが楽しくなるというのが私自身の経験でもあります。
講師は生徒さんを、そして私はお父様お母様のフォローという部分を大事にしていて、生徒さんだけが孤独に頑張る、お母さんお父さんだけが孤独に頑張るというわけではなく、みんなで頑張るという環境を整えて調整しているというのは、一つの工夫としてあります。
多様なコースとカリキュラム
ー今提供されているコースだったりプランなどがあれば、詳しくお伺いさせてください!
未就学児の3歳から年長さんまでの初めての方のコースから、小学生、中学生、高校生、そして社会人の方までのコースを用意しております。
特に小学生に関しましては非常に心も体も成長する時期でございますので、皆さんの進度、学年、スタートされた時期に合わせて柔軟性を持ったカリキュラムをいくつかご用意しております。
今後の展望と強化したい取り組み
ー今後、強化していきたい点や新しく取り組んでいきたいことはありますか?
ピアノと一言言っても、皆さんほとんどの方々が「演奏すること」というのを想像するかと思います。ただ、演奏するには楽譜を読めなければならず、楽譜を読むにはそれなりのトレーニングを積まなくてはいけません。
ほとんどのお子さんが楽譜を読むのが嫌いになってしまって小学校でやめてしまうというケースもあるかと思いますので、小さい頃からまずは楽譜を読む力、それから歌う力、そういったトレーニングを今後さらに強化していきたいと思っております。
私達の教室では実は毎月1回、全員が音楽のテストを受けるシステムがあり、それが18級+10段の28段階レベルになっていて、「あなたは何級ですよ」と自分でわかる形になっています。すごく小さい子も読める子はどんどん小学生を抜かしていきますし、小学生でも後から始めた子は、やはりみんなに追いつきたくて頑張ります。
子供たちが取り組みやすく、自分の実力が目に見えるような形で、弾くだけでなく読譜トレーニングというのを、特に今後さらに強化していきたいところです。
入会検討者へのメッセージ
ー最後に入会を考えられているお子様や保護者の方々にメッセージなどがあればお願いします!
子育てというのは本当にその子に対しては一度きりで、毎日お父さんお母さんが家事やお仕事などで時間がいっぱいいっぱい中で、さらにお子さんの将来を考えて何かしなくてはいけないという焦りや葛藤される時もあると思います。
そんな中で私達ができるのは、ピアノ教育を通じたお子さんの教育の長期目標と短期目標を一緒に作ることです。将来どういうふうな人物になってほしいのか、そのために今できることは何かというのを共に探していける、作っていけるようなパートナーを目指して私達は教室を運営しております。
ぜひピアノを習うということに付随した、先生との信頼関係、挨拶、言葉遣い、そこから発展した人間性の醸成までを、一緒に取り組んでいきたいと思っております。ピアノ教室の枠を越えて「教育」というものを一緒に行えるパートナーを目指して、これからも邁進してまいりたいと思います。