発達障害を持つ子どもたちとその家族のために、20年もの間支援活動を続けているNPO法人CASE Japan。代表の吉田氏に、支援活動への思い、現場で感じる課題、そして発達障害を持つ子どもたちとその家族への熱いメッセージを伺いました。
「すべての子どもたちの未来のために」20年の歩みが紡ぐ支援の物語
ー吉田さん、まずは団体の概要についてお聞かせください。
吉田:私たちNPO法人CASE Japanは、千葉県流山市を拠点に、流山・我孫子・柏・松戸・野田といった地域で活動しています。約20年前に発達障害を持つ子どもたちとその関係者の支援を目的として設立しました。支援対象は主に子どもたちですが、保護者の方々、学校の先生方、教育委員会、医療機関など、子どもたちを取り巻く全ての関係機関と連携しながら活動を行っています。
「30歳までの伴走支援」一人ひとりの人生に寄り添う支援の形
ー具体的な支援内容と対象年齢について教えていただけますか?
吉田:私たちの支援は、実に幅広い年齢層に及びます。小学生から支援を開始するケースが多く、現在では30歳近い方まで継続的に支援しています。支援内容も多岐にわたり、学習支援から就労支援、障害者年金の取得支援まで、一人ひとりに合わせたオーダーメードの支援を心がけています。
また、他のNPO法人とも協力して未就学児の支援も行っています。20歳以上の方々は、多くが学生時代から継続して支援を受けているケースが多く、カウンセリングや就労支援など、それぞれのライフステージに応じた支援を提供しています。
「点から線へ、線から円へ」支援の輪を広げる挑戦
ー発達障害支援において、現在どのような課題を感じていらっしゃいますか?
吉田:最も大きな課題は、支援窓口の少なさと各機関の連携不足です。現状では、学習支援、教育相談、医療機関など、それぞれが点として存在しているものの、それらを線で結び、円として子どもを包み込むような支援体制の構築がまだまだ不十分です。
例えば、小学生の場合、学校に馴染めない、登校を渋る、学習面での極端な得意不得意があるなど、様々な課題を抱えています。しかし、子どもの問題だけでなく、家庭環境や他の要因が絡み合っていることも少なくありません。そのため、医療機関との連携や学校での合理的配慮の調整など、複合的な支援が必要になってきます。
「我が子との出会いが教えてくれた使命」NPO設立への想い
ー団体設立のきっかけについて、お聞かせいただけますか?
吉田:実は私の息子が軽度の知的障害と学習障害があり、それが設立のきっかけとなりました。30年前は特殊教育の時代で、発達障害という概念自体がまだ確立されていない時期でした。息子が通っていた言語通級指導教室でのマンツーマン指導が非常に効果的だったことから、「いつか自分の子どものために何かできないか」という思いが芽生えました。
その後、特別支援教育を大学で教えている方との出会いがあり、NPO法人という形で支援活動を始めることになりました。20年前から走り始め、今日まで学びながら活動を続けてきました。
「違いは個性、支援は権利」発達障害を持つ子どもたちへのエール
ー最後に、発達障害をお持ちのお子さんやご家族へメッセージをお願いします。
吉田:一番大切なのは、子どもたち一人ひとりが幸せに生きていけることです。同じ子は二人といません。頑張っても難しいことがあるのは、誰のせいでもありません。今は様々な支援の手立てがありますので、必要な情報をしっかりと集めて、お子さんのために活用していただきたいと思います。
特に中学生は受験が目前に控えていますが、現在は合理的配慮による受験時の配慮申請も可能です。早めに準備をすれば、別室受験や読み上げ、時間延長など様々な支援を受けることができます。そして、その支援は高校、大学、就職後も継続していくことができます。
小さい頃から少しずつでいいので、「違うことが悪いのではなく、何かをすることで上手くいく」という成功体験を積み重ねていってほしいと思います。私たちは、そのお手伝いを今後も続けていきたいと考えています。