南インドの癒しと学び – Haana旅行事業部の本場料理教室で体験する食の文化

インドと聞くと、スパイシーで重たいイメージのカレーを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実は南インド料理は野菜をふんだんに使い、さっぱりとヘルシーなのが特徴です。アーユルヴェーダの知恵と南インド料理の魅力を伝えるHaana旅行事業部 南インド料理教室」の取り組みをご紹介します。

南インド料理教室の概要

ーサービス概要について教えて下さい

竹下さん:私たちのサービスは、主に日本から南インドを訪れる旅行者を対象とした料理教室です。

料理教室は大きく分けて2つのスタイルで提供しています。1つ目は、南インドの一般家庭を訪問して家庭料理を学ぶスタイルです。現地の家庭を訪れることで、レストランでは味わうことのできない家庭ならではの料理法や、日々の食事に関する知恵を直接学ぶことができます。

2つ目は、アーユルヴェーダのトリートメント施設に滞在しながら料理を学ぶスタイルです。この場合、専門医師による体質診断を受けた上で、自分の体質に合った食材や調理法を教わることができます。トリートメント(マッサージなど)の合間に料理教室が組み込まれており、理論と実践の両面から健康的な食事について学べるプログラムになっています。

料理教室の運営方法とターゲット層

― 日本人が参加する場合は、旅行とセットになるのでしょうか?

竹下さん:そうですね。ただ、私たちは旅行会社ではなく、ランドオペレーターのような立場です。お客様が旅行の計画を持ってこられて、「その中で料理教室を受けられないか」というご要望にお応えしています。宿泊先などの案内はしますが、航空券の手配やビザのサポートは行っていません。あくまで現地でのツアー企画や通訳サポート、アテンドが主な業務です。

― 参加者の構成はどのようになっていますか?

竹下さん:日本から旅行でいらっしゃる方が多いですね。現地に住んでいる日本人の方もいらっしゃいますが、現地在住の方は自分たちで情報を得ていることが多いです。

基本的には個人向けのツアーが中心です。団体様も歓迎ですが、現在は個別対応が主になっています。

アーユルヴェーダ料理の効果と学び

― アーユルヴェーダ料理を食べることで体調が改善されるのでしょうか?

竹下さん:長期的なスパンで変化が見られることもありますが、基本的には簡単なことから心がけることができます。例えば、冷たいものを飲まない、食材の組み合わせに気を遣う、など口にするものを意識します。インドでは朝起きがけに白湯を飲む習慣があり、体内の臓器を目覚めさせる効果があると言われています。

また、スパイスにはそれぞれ効能があり、例えば消化を良くするものもあります。アーユルヴェーダの医師から、「あなたは冷え性だからこれを食べない方がいい」「ヨーグルトは夜に食べない方がいい」などのアドバイスを受けながら料理を学びます。

― 日本に帰っても実践できるものなのでしょうか?

竹下さん:知識として身につくので、自分にどんな食べ物が合っていて、何に気をつければよいかが分かります。日本にある食材でも料理を再現できることが多いです。にんじん、きゅうりなど共通の野菜はたくさんありますし、ココナッツミルクやココナッツオイルもカルディなどで手に入りますし、ネットでも購入できます。

最近は東京や大阪などの大都市では南インド料理レストランも増えていると思いますので、以前よりも手に入りやすくなっているのではないでしょうか。

南インド料理とアーユルヴェーダ料理の違い

竹下さん:前提として、南インド料理とアーユルヴェーダ料理は別物です。アーユルヴェーダ料理は治療や体質改善を目的としたものですが、南インド料理というのは南インド地域の人々が一般的に食べている料理全般を指します。

日本にあるインド料理店のイメージといえば、ナンとバターチキンだと思いますが、これは完全に北インド料理です。多くの日本人がイメージしているインド料理はほとんど北インド料理だと思います。実は私たちが住んでいる南インドでは、かなり違うものを食べています。

― 北インド料理と南インド料理の違いは何でしょうか?

竹下さん:大きな違いは、まず、主食が違います。北インド料理は全粒粉を使用した薄いパン、南インド料理はお米が主食です。また、北インド料理の方がバター、カシューナッツなどを使った濃厚なテイストであるのに比べて、南インド料理はココナッツミルクベースでさっぱりとしています。

これには地理的な理由もあります。北インドと南インドでは人種が異なり、北はアーリア系、南はドラヴィダ系の民族です。また気候の違いから、南インドではココナッツやバナナなどの食材が豊富に取れますが、北インドの寒い地域ではそういった食材が取れません。これは日本でいえば、沖縄と北海道の食の違いのようなものです。

料理教室の実際の様子

竹下さん:教室のスタイルは主に二つあります。一つは、現在料理を教えている講師の方、ヨガやアーユルヴェーダに興味がある方、南インドの文化が好きな方がインドの家庭料理を学びたいということで、インドの家庭を訪れ、そこで料理を教わるというスタイルです。

もう一つは、2泊3日や3泊4日などのツアーでアーユルヴェーダのトリートメント施設を訪れ、そこでドクターの監修のもと、施設内のキッチンスタッフから料理を教わるパターンです。これはトリートメント(マッサージなど)の空き時間に行われます。

― 料理教室の料金はどのくらいですか?

竹下さん:材料費込みで、日本円で3,000円から5,000円程度です。ただ、何を教えるかによって価格は変わりますので、3,000円から5,000円が目安となります。ツアーに組み込む場合は、初回は無料で、2回目からは料金をいただくこともあります。詳細については、お問い合わせいただければと思います。

今後の展望と取り組み

竹下さん:現在の課題はサイト運営や情報発信の強化です。新たに日本人スタッフと提携し、日本人ならではのニーズを理解した上でのサービス提供を目指しています。コロナの厳しい時期以降、発信が滞っておりましたが、最近たくさんの日本人観光客がインドに訪れていますので、これからはInstagramなどのSNSを活用して、積極的に情報発信していきたいと考えています。

また南インド料理とアーユルヴェーダの違いを理解していない方も多いので、正しい知識を広めながら、より多くの方にリーチしていきたいと思っています。

記事を読む方に向けたメッセージ

― 最後に、興味を持った方へのメッセージをお願いします。

竹下さん:インドは今、様々な意味で注目されています。インドに興味があるけれど、どんな所か分からないという方には、最初の目的地としてデリーではなく、南インドがおすすめです。南インドの人々は優しく温かく、自然も町の様子ものんびりとした雰囲気があります。

忙しい毎日を送る日本の方々にとって、南インドは忙しさを忘れてリラックスでき、ゆっくりと流れる時間の中で自分を見つめなおすきっかけをつくれるかもしれません。料理だけでなく、ぜひ南インドに興味を持っていただき、一度訪れてみてください。また旅慣れた方にも、いつか、又は再度インドに足を運んでいただけたらと思います。