地域に根差した空手道場から全国へ──武道空手信龍会が育む、技と心の「強さ」

空手を通して礼節と人間性を磨く——。仙台市を拠点に長年地域に貢献し続けている「武道空手信龍会」。
今回は、平成元年から続くその歩みと、教室に込められた思いに迫りました。

初心者も経験者も、誰でも挑戦できる場所

この教室は、少年部と一般部に分かれており、少年部は4歳から中学生まで、一般部は高校生以上を対象にしています。

稽古は、伝統空手四大流派の一つである「剛柔流」をベースに行っており、誰でも無理なく始められる内容になっています。やる気さえあれば、初心者でも上級者でも問題なく取り組める稽古内容です。

通い方も非常に柔軟で、月謝は7,700円と定額制。月曜日から土曜日まで毎日稽古を行っており、通いたい放題というスタイルです。週1回でも、毎日でも、月謝は変わりません。空手を生活の一部として取り入れやすい環境が整っています。

再び空手に導かれた運命と、教室の誕生

私自身が空手に出会ったのは高校時代のことでした。3年間続けて二段を取る手前まで行きましたが、就職などの事情で一度空手から離れ、8年のブランクがありました。

ある日、家に入ってきた1枚のチラシがきっかけで再び道場の門を叩くことになります。近所にあったその道場の師範が、なんと日本剛柔流の五代目宗家でした。

私は、身体が弱かったので母の影響もあり、「もう一度空手をやってみよう」と思ったのが、復帰のきっかけです。

当時は「生計を立てる」といった意識はまったくなく、ただ「自分がどこまでやれるか挑戦したい」という思いだけでした。その後、平成元年に許可を得て「信龍会」を立ち上げ、今に至ります。

技と心を育む、独自の稽古スタイル

信龍会の稽古は、まず礼に始まり、礼に終わります。これは武道の基本であり、大切な所作です。

道場では「空手道十訓」という言葉の唱和から始まり、茶帯になったら一人ずつ前に出て発声を行います。

準備体操のあとは、体力づくり。スクワットや腹筋、腕立て伏せなどを行い、黒帯になると拳立ても取り入れます。その後、基本稽古、型の練習、ミット打ち、組手(約束組手・自由組手)へと進みます。

毎回の稽古が「強くなるための手段」であると同時に、「心を育てる場」であるように心がけています。

一人ひとりと向き合う指導

稽古では、技の上達だけを追い求めるのではなく、「分からない子どもたち」にこそ丁寧に指導をしています。

うまくなる子は放っておいても成長していきますが、できない子や覚えが遅い子を支えることが、私自身の修行であり、信念でもあります。

空手の強さを競技成績で測るのではなく、人間性を重視した指導を行っています。礼儀・作法・言葉遣いといった、日本人としての基礎をしっかり伝える。

古い考えかもしれませんが、それが武道の本質であり、空手を通じて社会性も育んでほしいという思いがあります。

全国大会で門下生同士が決勝戦へ——感動の瞬間

これまで多くの門下生を見送ってきましたが、一番印象に残っているのは、全日本硬式空手道連盟の全国大会で、うちの門下生同士が決勝戦で対戦したことです。

指導者としてこれほど誇らしい瞬間はありませんでした。

努力を重ねて成長してきた子どもたちが、全国の舞台で堂々と戦う姿を見て、これまでの指導が実を結んだと感じました。

今後の課題は「集客」——もっと多くの人に空手の魅力を

現在の課題として感じているのは、門下生の減少です。辞めていく人がいても、新しく入ってくる人が少ないのが現状です。私自身、この教室で生計を立てているため、継続的な集客は非常に重要です。

今後は、生徒数を倍に増やすことを目標に、地域に向けた広報活動にも力を入れていきたいと考えています。稽古の中身や指導方針は大きく変えるつもりはありません。

これまで培ってきた教室の信頼と雰囲気をそのままに、より多くの方に信龍会を知っていただきたいと思っています。

興味があるなら、まずは体験を

空手が好きな方、少しでも興味をお持ちの方には、ぜひ一度体験に来ていただきたいと思います。

怖いというイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際にやってみると、きっとそのイメージは変わるはずです。

空手を通じて楽しさや充実感を味わい、人としても成長していく——。それがこの教室の願いです。

だまされたと思って、一度来てみてください。お待ちしております。