2024年2月、渋谷区に新しい放課後の居場所「こどもリビング渋谷・桜丘」がオープンしました。発達障害やグレーゾーンのお子様を中心に、すべての子どもたちがアートを通じて自分らしく過ごせる場所を目指しています。今回は、代表の萩原さんに、設立の経緯や想い、特徴的な取り組みについてお話を伺いました。
対象と活動内容
ーどのような方を対象に、どんな活動をされているのでしょうか?
萩原さん:私たちの施設では、発達障害やグレーゾーンのお子様を中心に受け入れていますが、健常児の方も含め、保護者の方が子育てで少しでも心配や不安を感じている部分があれば、どなたでもご利用いただけます。実際に、通常学級に通われているお子様も数多く来られています。
メインとなる活動は、アートを軸とした様々な創作活動です。絵画だけでなく、お料理や工作など、幅広い活動を通じて子どもたちの可能性を広げていくことを大切にしています。
対象年齢は、リビング会員が5歳から小学6年生まで、アトリエ会員は年齢制限を設けていません。また、夏休みや冬休み、土日祝日にはワークショップや子ども食堂など、会員以外の方も参加できるイベントを開催しており、施設の雰囲気を知っていただくきっかけとなっています。
設立の経緯と想い
ーこどもリビング渋谷・桜丘を立ち上げられた経緯について教えてください。
萩原さん:設立のきっかけは、私自身の経験にあります。娘に障害があり、小学校入学時に放課後の居場所探しで悩んでいました。また、周囲の友人にも発達がグレーゾーンのお子様を持つ方が多く、そういった子どもたちが安心して過ごせる場所が、特に渋谷の南側エリアに見当たらなかったのです。
そんな中、アーティストでデザイナーの友人ママと相談を重ねていく中で、私たちの経験が活かせる場所を作りたいと考えるようになりました。実際に、多くの子どもたちが習い事を断られたり、学童で居づらい思いをしたりする現状を見てきました。そこで、先生からも子ども同士からも認め合える、温かい場所を作りたいという想いで立ち上げに至りました。
特徴
ーこどもリビング渋谷・桜丘の特徴について教えてください。
萩原さん:私たちの施設の最大の特徴は、発達障害やグレーゾーンのお子様も積極的に受け入れながら、アートを通じた豊かな経験を提供していることです。すべての画材を施設で用意しているため手ぶらで通えること、初めてアートに触れるお子様でも安心して参加できることも特徴の一つです。
施設では、児童発達支援士の資格を取得している経験豊富なスタッフが3名常駐しています。お子様への支援はもちろん、保護者の方からの相談にも丁寧に対応しています。特に、私自身も障害のある子どもの親として経験してきた立場から、共感的な支援を心がけています。
サービス概要
ー提供されているコースについて具体的に教えてください。
萩原さん:主に「リビング会員」と「アトリエ会員」という2つのコースを提供しています。リビング会員は平日13時から17時までいつでも利用可能で、アート活動だけでなく、お料理や様々な制作活動を体験できます。対象年齢は5歳から小学6年生までで、おやつや飲み物の提供、その日の活動内容を写真付きで記録する連絡帳もついています。
アトリエ会員は、絵画をより専門的に学べる教室形式のコースです。月4回、火・水・木曜日の17時半から19時に開催していて、年齢制限は設けていません。どちらのコースも、お子様の特性に合わせて柔軟に対応しています。
また、夏休みや冬休み、土日祝日には子ども食堂やワークショップなどのイベントも開催しています。これらは会員以外の方も参加いただける機会となっており、施設の雰囲気を知っていただくきっかけにもなっています。
子どもたちへのアプローチ
ー発達障害のあるお子様とのコミュニケーションで意識されていることはありますか?
萩原さん:日常的に注意や指摘を受けることの多い子どもたちなので、私たちは特に「できたこと」を認め、褒めることを大切にしています。悪いことを注意するのではなく、良いところを見つけ、伸ばしていく。自分から行動を起こせたときは、特に大きく認めてあげるよう心がけています。
アートの活動面では、決して上手い下手は問いません。点々だけの表現でも、その子なりの素晴らしいアート表現として認め、一人ひとりの表現方法を大切にしています。また、アクリル絵の具や油絵の具など、家庭や学校では普段使用する機会の少ない画材もすべて用意しています。これにより、子どもたちが新しい表現方法に自由に挑戦できる環境を整えています。
料金体系
ー料金体系について教えてください。
萩原さん:リビング会員は月額27,500円(サブスク式/月)で、保険料、おやつ、飲み物、連絡帳などがすべて含まれています。アトリエ会員は月額17,600円です。どちらのコースもスポット利用が可能で、まずは体験からお気軽にお試しいただけます。詳しい料金プランについては、お問い合わせいただければ丁寧にご説明させていただきます。
今後の展望
ー今後の展開についてお聞かせください。
萩原さん:私たちは、特性の有無に関わらず、すべての子どもたちが評価や成績を気にせずに、絵を通じて自分を表現できる場所を広げていきたいと考えています。その意味で近い将来には子どもたちの作品展も計画しており、より多くの子どもたちが絵を描ける環境を提供していきたいと思っています。
また現在開催しているワークショップも好評をいただいており、絵画だけでなく、小麦粉からうどんを作ったり、レジンでキーホルダーを作ったりと、様々な創作活動を提供しています。これらの活動を通じて、より多くの方にこどもリビング渋谷・桜丘の活動を知っていただき、子どもたちの可能性を広げる機会を増やしていきたいと考えています。
メッセージ
ー最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
萩原さん:お子様の発達の特性で悩まれている保護者の方、特にグレーゾーンのお子様をお持ちの方は、福祉サービスの対象にもならず、どこに相談したらよいか分からないことが多いと思います。同じ立場の親として、皆様のお話に耳を傾け、必要に応じて適切な相談先もご紹介させていただきます。
まずは体験にお越しいただき、お子様と一緒に新しい経験を重ねて頂けますと幸いです。のびのびと過ごせる環境の中で、もしかしたらアートが得意分野として見つかるかもしれません。私たちは、お子様一人ひとりの可能性を大切に育み、保護者の方と一緒に成長を見守っていける場所でありたいと考えています。