「物作りを通じて感性を育む場所に」アトリエTecoTecoが目指す造形教室のカタチ

千葉県茂原市に広大な敷地を構える「アトリエTecoTeco」は、従来の絵画教室の枠を超えた、独自の造形教育を実践する教室。

幼稚園での指導経験を持つ松本龍介さんご夫妻が運営する同教室では、決められた作品づくりではなく、素材との出会いから始まる創造的な活動を大切にしています。

豊かな環境を活かしながら、子どもから大人まで、それぞれの感性を育む場として展開する取り組みについてお話を伺いました。

教室概要

ー どういった方を対象に、どのようなレッスンをされていますか?

松本さん:幼稚園生から上限なく大人の方まで幅広い年齢層を対象に、4つのクラスを設けています。

幼稚園生と小学生のクラスでは、こちらで用意したカリキュラムに沿って進めています。

絵を描いたり、工作をしたり、素材遊びをしたりと、バランスよく活動を取り入れています。

例えば、「今日はこんな絵を描いてみよう」「この道具を使って工作してみよう」といった具合です。

一方、中高生と大人のクラスは、より自由度の高い形式で運営していて、生徒さん自身が何を作りたいか、どんな画材や道具を使って制作するかを1から考えていただき、それを一緒に検討しながら進めています。

製作期限を設けず、納得いくまで何週間、何か月かけても制作を続けられる環境を整えています。

設立の経緯ときっかけ

ー この教室を始められたきっかけについて教えていただけますか?

松本さん:私たち夫婦は以前、会社組織の絵画造形教室に所属し、千葉県内の幼稚園や保育園で長年指導をしていました。

その経験を活かし、独立を決意したのですが、ちょうどこの茂原という場所で理想的な環境に出会うことができました。

最初から造形教室を始めることを決めていたわけではなかったのですが、この場所には大きな魅力がありました。

音を気にせず制作できる環境、作品を大量に保管できる広いスペース、そして千葉県の中心という立地条件です。

東西南北どの方向からもアクセスしやすく、より多くの方に楽しんでいただける可能性を感じ、教室をスタートすることを決めました。

特徴とアピールポイント

ー 教室の特徴やアピールポイントについて教えていただけますか?

松本さん:最大の特徴は、恵まれた環境にあります。

物作りの過程では、どうしても音が出てしまうものですが、金槌を使ったり、電動工具を使ったりする際も、この場所なら気兼ねなく活動できます。

また、子どもたちが制作途中の作品をいくらでも保管しておけるスペースがあることも大きな強みです。

さらに、木材や竹といった材料を自分たちの敷地内で調達できることも、物作りの場としてのポテンシャルを高めています。

加えて、私たち夫婦が様々な幼稚園での指導経験を持っているため、豊富なカリキュラムのストックがあります。

どうすれば面白い活動になるか、長年の経験を活かせることも強みだと考えています。

指導への想い

ー レッスンで大切にしていることはありますか?

松本さん:カリキュラムを考える際に特に意識していることがあります。

学校の図工や美術の授業では、「今日はこれを作ろう」という形で、全員が同じ作品を作ることが多いと思います。

それ自体が悪いわけではないのですが、場合によっては作品が画一的になってしまったり、「もっとこうしたら面白くなるのに」という想いがあっても実現できなかったりすることがあります。

そこで私たちは、1つのゴールに向かって何かを作るのではなく、逆のアプローチを取っています。

例えば、穴開けパンチという道具を渡して、「これを使って何ができるかな?」と考えてもらったり、黄色い丸い画用紙を渡して、それを使って自由に絵を作ってもらったりします。

その丸が月になるかもしれませんし、全く違うものに変化するかもしれません。

このように、何かのきっかけを与えて、そこから生徒さんに考えてもらうという「逆ピラミッド」的な方法を意識しています。

同じ素材や道具を使っても、できあがる作品は皆違うものになっていきますし、また、同じ空間で制作することで、お互いのアイデアに刺激を受け合える環境も大切にしています。

コースと料金体系

ー レッスンプランについて教えてください。

松本さん:幼稚園生クラスは毎週木曜日に1時間のレッスンを行っています。

最も生徒数が多いのが小学生クラスで、火曜日、木曜日、金曜日、土曜日の午前・午後と、1回1時間半のレッスンを計5クラスを展開しています。

中高生クラスは土曜日の夜に2時間のレッスン、大人クラスは火曜日と木曜日の午前中に2時間のレッスンを実施しています。

今後のビジョンと展望

ー 今後、新たに取り組んでみたいことはありますか?

松本さん:特に小学生の生徒数が増えてきたことで、新しい取り組みを検討しています。

例えば、来年から小学生を対象とした造形活動をメインとした2泊3日のキャンプの実施を考えています。

また、敷地内にもう1つ建物があるので、そちらに新しい教室を増設する計画も進めています。

土曜日の午前中など、お子さんが授業を受けている間、待合室で過ごされている保護者の方々に向けて、その時間に大人クラスを開講できればと考えています。

お母さんやお父さんも、子どもたちが制作している間に、もう1つの教室で絵を描いたり創作活動を楽しんだりできる環境を作りたいと思っています。

興味をお持ちの方へのメッセージ

ー 教室に興味を持たれた方へメッセージをお願いできますか?

松本さん:私たちは「絵画造形教室」という名称を使っていますが、一般的な絵画教室とは少し異なります。

絵を描くだけではありませんし、絵が上手くなるための教室でもありません。

結果として絵が上手くなることはあるかもしれませんが、絵の技術やテクニックを教えることを目的とはしていません。

むしろ、子どもたちが「こういうことをやってみたい」「これをしたらどうなるんだろう」という気持ちを大切にし、それを一緒に実験していく場所です。

指導というよりも支援に近い形で、子どもたちと一緒に様々なことにチャレンジしていきます。

塾のように点数が上がるとか、スポーツ教室のように技が習得できるといった、目に見える形での結果は出にくいかもしれません。

しかし、作品に対する感じ方や、素材・物に対する感じ方という「引き出し」を増やしていくことで、いつか大人になった時に何かの形で役立つものになればと考えています。

本当に「作りたい」「やってみたい」「表現してみたい」という気持ちをお持ちの方に来ていただければ、私たちも一緒に楽しみながら活動を進めていけると思います。そういった想いを持つ方々との出会いを楽しみにしています。