2022年から札幌で展開しているスポーツスクール「ファミスポ」。子どもたちが夢中になって楽しむだけで、自然と運動能力を高められる独自のプログラムが特徴です。
同スクールの浜田陽介さんに、プログラムの特徴や指導方針についてお話を伺いました。
子どもたちが未来で大きく活躍するための運動有能感育成の場

ー教室の概要についてお伺いさせてください。
浜田:年齢は、2歳から小学6年生までを対象にしています。多様なスポーツ動作や体をつくる基礎動作の組み合わせをベースにしたプログラムで、運動有能感を高め、体も心も育むスポーツスクールです。
スクールは2022年から始まり、現在は札幌市内の5か所で展開しています。広い空間で思いきり動く活動を大切にしているため、レッスンは各地区の体育館をレンタルして行っています。
ースクールを始めるに至ったきっかけについてお伺いさせてください。
浜田:元々、健康食品の会社にいた経験から、健康や運動への関心がありました。
自分の長男が小学生になり、宿題の様子を見たり習い事を探したときに、私の幼少時代とあまり変わり映えがないと感じ、「今」だけにフォーカスしているものが多いと感じました。
AIと共存する時代始まった今、長男が社会に出る10年後には、もっと大きく世の中は変わっているはず。主体性や、工夫力などを一番に伸ばす必要があり、子どもたちがまず行うべきは、夢中になって工夫を楽しみながらカラダを動かすことだと思ったのです。
大人でも時間を忘れて楽しんでしまうYOUYUBEやゲームに子どもがはまるのは当然だと思います。それを無理に制限するのではなく、それらと同じくらい夢中になって体を動かすコンテンツを作る必要があると考え、スクール運営を始めました。
夢中になって取り組める100種類以上の「スポーツあそび」メニュー
ー他のスポーツスクールにはない特徴や、一番のアピールポイントがあれば教えてください。
浜田:私たちは「スポーツ遊び」と呼んでいるコンテンツを主軸にしています。1日60分のスクール内で6~8種の活動を行いますが、単なる運動ではなく遊びの要素を加えています。
最大の特徴は、子どもたちが飽きずに夢中になれることです。技術向上だけを目指すのではなく、その時間が本当に楽しい60分になるよう設計しているので、子どもたちが「来週が待ち遠しい」と感じてくれます。
例えば幼児コースで人気の「アニマルものまね」では、ウサギやアヒル、クマなどになりきって移動します。これは基本動作の「しゃがむ」や「腰を上げる」といった動きが自然と含まれています。
コーチが行った動物動作を、瞬時に子どもたちに模倣してもらうバージョンもあり、脳の発達にも役立ちます。さらに「コーチが追いかけるから捕まらないように」というゲーム性を加えることで、楽しみながら運動能力が向上していきます。
私たちの目指すライバルはYOUTUBEやゲームですので、メニュー開発には大きな労力と時間をかけています。ボツになったり改修を繰り返したメニューを含めると数百ものメニューになると思います。
「認める」から始まる自己肯定感の育成
ーお子さんに指導する際に、特に意識していることを教えてください。
浜田:ファミスポでは指導という言葉はあまりそぐわないかもしれません。子どもたちの工夫力やチャレンジ精神、探求心を伸ばすため、「認める」ことを大事にしています。
例えば、説明と少し違うことをしても、メニューの意図から大きく外れていなければ許容し、「ナイスチャレンジ」「よく考えたね」と承認します。
技術的なアドバイスは提案として伝え、「こうしなさい」という指示は極力避けています。こうした関わりで自己肯定感を高め、子どもたち自身が考えて挑戦を楽しめる力を育んでいます。
成長に合わせた3段階のコース展開
ー提供しているコースについてお伺いさせてください。
浜田:年齢を目安として、2〜3歳コース、年少〜年長コース、小学生コースの3つを用意しています。小学生は1〜6年生まで一緒にすることで、先輩への尊敬や後輩への配慮といった、社会に出たら当たり前に起こる人間関係も学べます。
各コース内でも、子どもの成長ステージに合わせてメニューレベルを調整し、「ちょうど頑張ればできるレベル」を提供することを大切にしています。
簡単すぎても難しすぎても子どもはすぐに飽きてしまいますし、失敗から学ぶ体験もとても重要だと考えるからです。
クラスの定員は15〜20名程度に設定しています。人数を増やせば30人でも対応できますが、一人ひとりが思い切り体を動かせる環境を確保するため、適切な人数に抑えています。
未来を見据えた教室の拡大計画
ー今後の展望についてお聞かせください。
浜田:コンテンツ面では、コーチたちの意見を取り入れながら常にメニューを更新し、子どもとの関わり方もより洗練させていきます。
「こういうスクールを待っていた」という親御さんからの嬉しい声をいただいております。ファミスポをより多くの子どもたちに届けるため、施設数の拡大は優先して計画しています。
忙しい親御さんが通いやすいよう、徒歩や自転車でも来られる場所を増やし、現在の5か所の拠点からさらに10〜20か所へと拡大したいと思っています。まずは札幌中に広めて、ゆくゆくは北海道全域、そして全国へも増やしていきたいと考えています。
ー最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
浜田:私たちは「20年後に活躍できる人材を育てる」という理念のもと、常に未来から逆算してコンテンツを改善し、今提供すべきことを考えています。
子どもたちの笑顔と夢中になって真剣に工夫する姿を見れば、私たちの取り組みの価値がきっと伝わると思います。ぜひ一度、体験にいらしてください。