元教員の経験を活かし、不登校の子どもたちへの支援に取り組む「おうちフリースクール ナチュラル」。
音楽と算数を柱としたフリースクールを通じて、一人ひとりの子どもたちに合わせた丁寧なサポートを提供されている岩間先生にお話を伺いました。
教育支援への想いと活動のきっかけ
ー サービス概要と、支援を始められたきっかけについて教えていただけますでしょうか?
岩間先生:不登校の子どもたちが最近増えてきていて、学校に来られない子や保健室登校の子がとても多くなっています。
私は音楽が専門で、以前に音楽を通じて子どもたちと関わった経験があり、そこで支援できる可能性を感じたことが始まりでした。
私にできることとして、音楽の楽しさを伝えることと算数の楽しさを伝えること、この2つを柱として活動を決めました。
不登校のお子さんが自分の好きなことを見つけたり、居心地の良い空間を見つけたり、家族以外の人や新しい空間に慣れていけるような場所を提供したいと考えています。
子どもたちに寄り添った柔軟な運営体制
ー フリースクールの運営体制について詳しく教えていただけますでしょうか?
岩間先生:現在、ピアノ教室と並行して週2日の午前中にフリースクールを開いており、自分自身も楽しみながら活動を続けていきたいと思っています。
活動場所としては、自宅の1階で、ピアノ教室とフリースクールの場をつくりました。
教員経験を活かした独自の支援アプローチ
ー フリースクールならではの強みや特徴についてお聞かせください。
岩間先生:最大の強みは、私自身が学校の教員としての経験があることで、生徒さんの気持ちや親御さんの思いについて、身近に感じることができる点です。
現在は、すぐにプログラムを提供するのではなく、まずはこの場所と人に慣れること、コミュニケーションが取れるようになることを重視しています。
不登校になると、家で1人で過ごしたりゲームが相手になったりすることが多いので、同年代の子どもたちとのコミュニケーションや家族以外の人との関わり、新しい場所での経験を大切にしています。
居心地が良いと感じ、楽しい時間が増えていくことで、また新しいことに挑戦してみようという気持ちが生まれてくると考えています。
子どもたちとの信頼関係づくり
ー 子どもたちと接する際に、特に意識されていることはありますか?
岩間先生:まずは「聞く」ということを最も意識しています。
子どもたちが何に興味を持っているのか、どのようなことを話すのかを知るところから始めます。
そこから見えてくる家族の背景やお友達のことなども含めて、こちらからいろいろ質問するというよりは、聞く姿勢を大切にしています。
そうすることで、子どもたちも徐々に心を開き、笑顔も増えてきます。
親御さんに対しても同じです。
手探りでどうしていいか分からない状態で来られることが多く、特に不登校になり始めの頃は、我が子が社会から遮断されたような気持ちになっておられます。
そういった中で、まずは家から出て人と接することができるようになることを願っておられる方が多いように感じます。
一人ひとりの選択を尊重する支援
ー 子どもたちの通学頻度についてはどのように決めているのでしょうか?
岩間先生:それぞれの子どもに合わせて柔軟に対応しています。
例えば、あるお子さんは、自分で「2週間に1回通う」と決めました。
お母さんとしてはもっと通わせたい気持ちもあるかもしれませんが、私はその子が自分で決めたということをとても素晴らしいことだと考えています。
一方で、開校日には必ず来るお子さんもいます。
このように、それぞれのペースやタイプが違いますので、一緒の活動をすることもあれば、個別の時間を過ごすこともあります。
今後の展望
ー 今後の活動についてのビジョンをお聞かせください。
岩間先生:音楽の楽しさや算数の面白さを伝えることに加えて、野菜を育てたり、物作りをしたり、料理をしたりといった体験活動も取り入れていきたいと考えています。
将来の自立に向けて必要なスキルを、自然な形で身につけられる場所にしていきたいですね。
ただし、何でも好きなことができる、わがままが通るような場所にはしたくありません。
駄目なことは駄目だと伝え、人への思いやりや気遣いの大切さも学んでほしいと考えています。
メッセージ
ー 最後に、記事を読む方へメッセージをお願いできますでしょうか?
岩間先生:なりたい自分を見つけてほしい。
楽しいことって沢山あるんだよということを知ってほしい。
そんな場所になることが私の願いです。