大人のための柔軟なレッスンスタイルと現役プレイヤーならではの生きたジャズ理論をレッスンの中で提供する「田中裕士 Jazz Piano Class」。
忙しい社会人でも無理なく続けられる独自のスケジュール管理と、教則本だけでは学べない本物のジャズの魅力を伝える教室の活動について田中先生にお話を伺いました。
大人のためのジャズピアノ教室として

ーどういった方を対象にどのようなレッスンをされていますか?
田中先生:当教室はジャズピアノの教室として、垣根を越えて、ポップス全般のレッスンも行っています。
生徒さんは子どもさんだけではなく、お勤めの方や大人の方が中心で、「大人のためのジャズピアノ教室」ということをうたっております。
柔軟なレッスン体制を生み出したきっかけ

ー教室を始められたきっかけや背景について教えていただけますか?
田中先生:私が若い頃、楽器店や楽器店に併設の音楽教室で働いていたことがありました。
そこではレギュラーのレッスン、つまり月に2回や3回といった決まったスケジュールで、曜日と時間が固定されてしまいます。
生徒さん側としては「決まった曜日の決まった時間」というように予定がロックされ、お月謝も休んでも返金されず、お仕事をされている方にとっては継続が難しい状況でした。
どうしても欠席してしまったり、気分が乗らない時にお休みしたくても欠席扱いとなって、その分の返金はされないという現状の中で、生徒さんが辞めてしまったり、長く続かないという問題がありました。
当教室のレッスンはフレキシブルなスケジュールのブッキングをしており、生徒さんが受けたい時にブッキングできるシステムで、来月は1回のみ、時間があるので今月は3回など、大人の方がフレキシブルに自分でレッスンを受けていただけるような仕組みを取り入れています。
楽器店で働いていた時はこのような取り組みが叶いませんでしたので、自らの教室を主催しようという想いに至りました。
教室の最大のアピールポイント
ー教室としての一番のアピールポイントはどのようなことでしょうか?
田中先生:今申し上げた通り、仕事帰りにいらっしゃる生徒さんが約7割を占めています。
そのため、どうしても夕刻から夜にかけてや土曜日・日曜日のレッスンが多いです。
当教室は土日と平日の夕方以降の時間帯で、フレキシブルに自分のレッスンをブッキングできる、アポを取ることができるという特徴を売りにしております。
現役プレイヤーならではの指導法

ー先生のレッスンの一番のアピールポイントをお聞かせください。
田中先生:先生方にはいろいろなタイプがいらっしゃいますが、自ら演奏活動はされていないけれど、教えるレッスンプロとしての経歴をお持ちの先生もいれば、私のように自身がプレイヤーとして演奏活動を続けながらレッスンも行っている先生もいます。
私の場合は自分がプレイヤーなので、業界一線で活躍させていただいている中で培った音楽の実際の現場での経験が豊富です。
そして現在、桜美林大学 / 芸術文化学群で教員を務めておりますので、若手演奏家の育成や、プロミュージシャンを志す人たちに対する指導・メソッドにも日頃より慣れ親しんでおります。
ジャズ音楽の実際、つまり本に書かれたことだけの机上の空論で終わらない現実のテクニックであったり、現場の臨場感であったり、「ジャズという音楽は実際はこんな風な臨場感を持って現場では表現されているんだよ」といった、ライブシーンでの臨場感を生徒さんには伝えるように心掛けております。
生徒さんもそういったことを望んでいらっしゃる方がほとんどで、9割方そういう「現役で演奏活動をしている先生に習いたい」とおっしゃっていただいております。
一人一人に合わせたオーダーメードのレッスン
ーレッスンをされる際に大切にしていることや、特に意識されていることはありますか?
田中先生:一辺倒の教則法を順番にやっていくということではなく、一人一人に応じたオーダーメイドのメソッドを提供しています。
例えば、教則本があれば上中下と分かれていて、それを順番にやっていこうというのが一般的です。
しかし私はそういった画一的なレッスンではなく、その人のレベルに応じたオーダーメイドのメソッドを作って、その方の目的や目標、レベルに応じた教則本を使うようにしております。
そして先程申し上げた通り、「実際の音楽はこうなんだよ」ということを伝えています。
例えば「教則本にはこのように書いてあるけれども、実際はもっとフレキシブルなこともあるんだよ」とか、「逆に本には書かれていないけれど、こういう大事なこともあって、実際のジャズの現場ではこういうコミュニケーションが行われているんだよ」といったことを、生徒さんには温度を持って伝えるようにしております。
多彩なレッスンプランの提供

ー実際に提供されているレッスンのプランについて教えていただけますか?
田中先生:それぞれ始められる方の音楽的なレベルは十人十色です。
幼少の頃にピアノをやっていた方、現在もアマチュアとして自分自身でバンドを持って活動されている方、過去に経験があったけれどもブランクがあり再び始めようという決意のもとでいらっしゃる方、あるいは全くの初心者の方など、様々なレベルの方がいらっしゃいます。
そのため一人一人の身の丈に応じたメソッドを出すようにしています。
コースとしては初級コース、中級コース、上級コースの3つに分かれますが、メソッドは本当に何種類もあり、それらを混合したスタイルで使っております。
ジャズ理論のクラスでは、主にハーモニーを勉強し、鍵盤楽器の方だけでなく、他の楽器の方で音楽理論を勉強したいという方のために用意しています。
アンサンブルのクラスではピアニストだけでなく、ベース奏者、ギター奏者、時にはフルート奏者やバイオリン奏者といったフロント楽器の方が私と合奏しながら、アドバイスを受けられるという内容です。
レッスン時間も柔軟で、通常は70分のクラスを月2回をレギュラーにしていますが、ご要望に応じて調整しています。
例えば月1回で長く見てほしいという方は2時間のクラスを、地方から来られる方で2ヶ月に1回しか通えない方は、その代わり1回のレッスンを2時間半ほど見てほしいといった要望があります。
生徒さん一人ひとりに合わせて、臨機応変に対応させていただいています。
今後の展望と新たな取り組み
ー今後新たに取り組んでみたいことや強化したいと思っていることはありますか?
田中先生:現在ピアノの生徒さんはたくさんいらっしゃって、ほとんど満席状態なのですが、アンサンブルのクラス、つまり合奏を教えるクラスをもう少し増やしたいと考えています。
例えばピアノ以外の楽器の奏者の方が私と共演しながら音楽を学び、実際のジャズがどのように行われているかを音を出しながら、アンサンブルをやりながら現場で学びたいという方のクラスです。
また、ジャズボーカルを目指している方のクラスも何人か生徒さんがいます。
これは私が伴奏をしながら、歌を勉強するクラスで、歌の勉強自体は歌の先生に習うけれども、音楽面は一線で活躍しているピアノの先生に指導してほしいという生徒さんが通われています。
こういったボーカルクラスの生徒さんももう少し拡充させたいと思っています。
入会を考えている方へのメッセージ
ー最後に入会を考えていらっしゃる方にメッセージをお願いできますか?
田中先生:ジャズ音楽はクラシックの厳しいレッスンとは異なります。
クラシックは子供の頃からずっと音楽を続けないと演奏が難しく、レッスンも大変厳しく、練習とトレーニングを積まなければ表現できません。
それに比べてジャズは、それぞれ個々を尊重した、その人の身の丈に応じたレベルで楽しむことができるインターナショナルなアートフォームです。
昔は欧米人だけがジャズを演奏するというイメージがありましたが、今は世界中の人がジャズを演奏する時代です。
人種や国籍に関わらず、インターナショナルなアートフォームとして、クラシック同様、皆さんが楽しむことができます。
自分自身の持っているスキルの範囲内で、もう少し拡張したレベルの中で楽しめるというのは大きな魅力です。
厳しい練習やレッスン、トレーニングを長年続けることは、現実的にはお仕事がある中で難しいことです。
そういった中で、趣味の延長として自分の身の丈に応じた範囲でジャズ音楽を楽しんでいただけるよう、教室を運営しております。