札幌市で25年以上にわたり障害者支援を行うNPO法人札幌チャレンジド。パソコンスキルの習得を通じて就労支援や放課後等デイサービスを展開し、障害のある方の可能性を広げています。今回は、同法人の特徴的な支援方法や、設立からの歩み、そして今後の展望について、児童発達支援管理責任者(児発管理)の飯村さんと児童指導員の金村さんにお話を伺いました。
サービス概要
ー御社のサービス内容について、改めて教えてください。
飯村さん:当法人では、大きく分けて3つの事業を展開しています。一つ目は就労継続支援A型事業で、企業から受託した様々なIT関連業務を通じて、障害のある方の就労を支援しています。二つ目は就労移行支援事業で、一般就労に向けた訓練と支援を行っています。そして三つ目が2017年にスタートした放課後等デイサービスです。
全ての事業において、パソコンスキルの習得を基本に置いているのが特徴です。特に放課後等デイサービスでは、学齢期の子どもたちに対して、パソコンを通じた学びの機会を提供しています。利用定員は1日10名で、指導は1対1を基本とし、きめ細やかな支援を実現しています。
また、札幌市からの委託事業としてICTサポートセンターも運営しており、障害のある方へのパソコンボランティア派遣や技術指導なども行っています。これらの活動を通じて、障害のある方々の社会参加と自立を総合的に支援しています。
設立の経緯とビジョン
ー御社の設立背景と歩みについて教えてください。
飯村さん:当法人は2000年に、障害のある方々のパソコン技術習得を通じた社会参加と就労支援を目指して設立されました。設立当初はボランティア団体として、事務局長1名と運営委員会による運営体制でスタートしたのですが、その後、札幌市からICTサポートセンター事業を受託。
障害のある方へのパソコンボランティア派遣や技術指導なども手がけてきました。現在では職員約20名体制となり、就労継続支援A型、就労移行支援事業、そして2017年からは放課後等デイサービスも展開しています。
事業内容と特徴
ー具体的な事業内容についてお聞かせください。
飯村さん:当法人の全ての支援事業において、パソコンの活用を基本コンセプトとしており、就労支援においては、企業からの多様な業務を受託し、利用者の方々の適性に合わせて作業を提供しています。データ入力だけでなく、旅行予約システムのデータベース構築や動画投稿サイトの監視業務など、IT技術を活かした幅広い業務を展開しています。
特に注力しているのが、就労支援と次世代育成の両輪での支援です。働く世代への支援に加えて、学齢期の段階からパソコンスキルを習得できる環境を整えることで、将来の社会参加への架け橋を築いています。
放課後等デイサービスの運営体制と特徴
ー放課後等デイサービスの具体的な運営方法について教えてください。
飯村さん:開所時間は学校終了後の14時30分から18時30分までで、1時間単位での柔軟な利用が可能です。定員は1日10名で、週に延べ約50人の方々にご利用いただいています。
当施設の最大の特徴は、指導形態が1対1を基本としていることです。一般的な放課後等デイサービスでは1対多の指導が主流ですが、当施設では意図的にマンツーマンでの指導を採用しています。これにより、きめ細やかな指導を維持しながらも、子どもたち同士の自然な交流が生まれ、社会性の育成にもつながっています。
独自のコミュニケーション支援方針
ー利用者との関わり方で特に意識されていることはありますか?
飯村さん:発達障害や自閉症のある方々は、コミュニケーションに苦手意識を持つことが多いため、特に配慮が必要です。当施設では、コミュニケーションを強制するのではなく、パソコンという共通の興味を軸に、自然な対話が生まれるよう工夫しています。
利用者の中には、プログラミングや動画制作など、明確な目的意識を持って来られる方もいれば、漠然とした興味だけを持って来られる方もいます。そのため、まずは様々な活動を体験していただき、その反応を丁寧に観察します。例えばScratchなどのプログラミングツールを使用して、個々の興味の方向性を探りながら、柔軟に支援内容を調整しています。
金村さん:指導の際は、「できない」という否定的な表現を使わないよう特に注意を払っています。できないのではなく、まだやり方が分からないだけだという前向きな視点で接し、一緒に解決方法を考えながら成功体験を積み重ねられるよう心がけています。
制度に基づく料金体系
ー利用料金について詳しく教えてください。
金村さん:利用には区役所発行の通所支援受給者証が必要となり、受給者証によって9割が自治体負担となり、1割が自己負担となります。負担額は世帯の所得に応じて月の上限が定められていて、月額として37,200円、4,600円、非課税世帯の0円の三つの区分があります。多くの方は月額4,600円以下での利用ですね。利用を検討される方には、まず無料体験をご利用いただき、サービスの内容を実際に体験していただくことをお勧めしています。
今後の展望と課題
ー今後の事業展開についてお聞かせください。
飯村さん:今後は二つの方向性で支援の充実を図っていきたいと考えています。一つは、最新のIT技術やトレンドを積極的に取り入れた柔軟な支援の継続です。もう一つは、パソコン検定対策など、体系的な学習機会の提供です。
特に検定対策については、決められた型の中で学習を進める必要があり、得意な方とそうでない方の差が顕著に表れます。しかし、これは逆に個々の特性を理解する良い機会となっています。今後は、それぞれの特質を活かした支援方法をさらに研究し、より効果的な支援プログラムの開発を目指していきたいと考えています。
メッセージ
ー最後に、サービスの利用を検討されている方へメッセージをお願いします。
金村さん:パソコンに興味があるけれど、どう始めればいいか分からないという方は少なくありません。当施設では、そうした初心者の方でも安心して学べる環境を整えています。経験豊富な指導員が、一人ひとりの興味や適性に合わせて丁寧にサポートしますので、まずは無料体験からお気軽にお越しください。
飯村さん:私たちは、明確な目標を持っている方はもちろん、漠然とした興味だけをお持ちの方も歓迎しています。パソコンを通じて新しい可能性を見つけ、それぞれの方に合った形での成長を支援していきたいと考えています。無料体験を通じて、私たちの支援の特徴を実際に体験していただければ幸いです。ご興味のある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。