『聴く・歌う・動く・見る』という4つの要素を大切にし、子どもたちがピアノを通して社会で役立つ力を身につけられるよう導いているめぶきピアノ教室。子どもたち一人ひとりに寄り添った指導を実践する脇屋先生に、教室の特徴や音楽教育に対する思いについてお聞きしました。

教室概要と指導方針
ー めぶきピアノ教室様の概要について教えてください。どのような方を対象に、どのような指導を行っているのでしょうか?
脇屋さん:主に初めてピアノを始めるお子さまや大人の方も含めて、生活を豊かにするスキルの1つとして音楽を取り入れていただきたいと考えてピアノ教室を運営しています。
レッスンは基本的に1対1の個人レッスンで、時間は30分が基本です。お子さまの成長に合わせて、演奏する曲数や内容が増えてきた場合は、45分に延長することもあります。
教室設立の経緯
ー めぶきピアノ教室を始められたきっかけや経緯について教えてください。
脇屋さん:教室を始めたのは2024年4月からですが、それまでは大手楽器店で講師として13年ほど働いていました(現在も並行して勤務しています)。大手の音楽教室ではシステム化されているため、全員が同じテキストを使用し、レッスン内容や進度も方針によって決められていることが多いです。
13年働く中で、子どもたち一人ひとりに合わせてレッスン内容を変えたり、時間の組み合わせを調整したりするなど、大きな組織ではできないことがたくさんあると感じていました。
子どもたちはみな個性が異なり、家庭環境も違います。そこで一人ひとりにより密に関わり、個人のペースに合わせた指導をしたいという思いから教室を始めました。
2段階導入法による独自の指導法
ー めぶきピアノ教室様の特徴や強み、他のピアノ教室との違いについて教えてください。
脇屋さん:基本的には「ピアノランド」というテキストシリーズを使用していますが、「2段階導入法」という方法を取り入れているのが特徴です。これは、いきなりピアノを弾くのではなく、その前段階として重要な基礎力を身につける方法です。
子どもたちの運動機能を考慮すると、突然ピアノの前に座って弾くよう指導するのは難しい面があります。そのため、ピアノを弾く前に大切なこととして、楽譜の見方や指の動かし方、普段しない指の動きを感覚的な部分からアプローチします。また、聴く力も非常に重要で、これはピアノを弾く際にも役立ちます。
さらに、自分の声を出して歌うことは、小さな子どもでもできることです。このように感覚的な部分と、自分の感情を外に表現することが、ピアノ演奏におけるイメージ力につながり、音楽的な演奏ができるようになります。
ピアノを弾く前段階で養う力として、「聴く・歌う・動く・見る」という4つの要素を一つずつ丁寧に強化しています。これらの力がしっかり身についてからピアノ演奏に移ると、悪い癖をつけないで始めから上手に演奏できるようになり、成長も早くなります。一気に詰め込むのではなく、子どものキャパシティに合わせて一つずつ丁寧に焦らず進めていくことが大切です。
この2段階導入法は大人の初心者の方にも有効で、ピアノランドというテキストの中で使われる手法です。教室を始めるにあたり、どのようなテキストが良いか探していた時に、自分の考えとぴったり一致するようなテキストシステムを見つけ、それを応用して指導しています。
指導において大切にしていること
ー 実際に指導される際に意識されていることはありますか?
脇屋さん:教えるという行為において、私が大切にしていることは「教える」というよりも「導く」という考え方です。レッスンの中でも「これをやってね」と直接指示するのではなく、まずは質問から入ります。「ここはどう思った?」「どう感じた?」「どのように聞きたい?」「どう弾きたい?」など、子どもの考えを引き出すようにしています。
もし子どもが言葉にできない場合は、「先生はこう思ったけど、どう思う?」というように問いかけ、自分で考える力を養ってほしいと思っています。現代の子どもたちは受け身になりがちで、自信を持って自分の考えを発信することが苦手な子も多いと感じます。ピアノのレッスンを通して、自分の考えを自分の言葉で表現する力も身につけてほしいと考えています。
ピアノ学習による子どもの成長
ー ピアノをやると頭が良くなるとよく言われますが、実際はどうなのでしょうか?
脇屋さん:あると思います。ただし、知識的な部分での「頭が良くなる」というよりは、脳が活性化されるというイメージです。ピアノを弾く時は楽譜を見て指をコントロールして弾き、自分のイメージ通りになっているかを耳で聞きながら、また次の楽譜上の情報を理解して体の各部に指令を出すため、頭から足先まで全身を使います。
記憶力の面でも、楽譜を読む時は次の部分を見ながら、既に見た部分を覚えて弾くという作業を一瞬で行わなければなりません。これは無意識のうちに行っていますが、実は難しいことです。先ほど説明した2段階導入法は、このような複雑な作業を一つずつ慣らしていくためのものでもあります。
ピアノ演奏では両手の指を全部使い、目も耳も脳も使うという複合的な活動を行うため、脳の活性化につながると考えています。
コース体系と料金について
ー めぶきピアノ教室のコースや料金体系について教えてください。
脇屋さん:比較的シンプルな構成にしています。基本的に月3回、30分のレッスンで、レベルによって金額は変えていません。30分でいくら、45分でいくらという形です。
コンクール前など追加レッスンが必要な場合は、単発で1回入れることもできます。レベルの判断は教師側になりますが、レベルが上がれば自然とレッスン内容も増え、必要な時間も増えてくるので、時間単位の料金設定がわかりやすいと考えています。
今後のビジョン
ー 教室を開いて約1年が経ちますが、今後のビジョンはありますか?
脇屋さん:個人教室を始めて1年経ち感じることは、一人ひとりに合わせた指導ができることの大切さです。大手の教室ではシステム化されている事がメリットな為、講師によって指導内容の違いが出ないように統一されていなければなりません。
しかし個人の教室であれば一人ひとりに合わせて柔軟に、より密なレッスンをする事ができると考えています。
また当教室ではあえてレッスンとレッスンの間に10分の余裕を持たせています。一般的には30分の中に入退室も含まれることが多いですが、そうすると実質20〜25分のレッスンになってしまいます。
そのため10分の余裕を設けることで、保護者の方と子どもの家庭での変化や悩みについて話す時間を作ることができます。「先週は体調を崩していたんですね」「学校で悩んでいるんですね」など、家庭での状況を把握することで、レッスンにも活かせますし、長くピアノを続けることにも繋がると考えています。
「めぶき」という教室名には、ここで習うことをきっかけに、それぞれの個性を外に出して芽吹いていってほしいという思いを込めています。皆が同じではなく、いろいろな形があっていいこと、正解は一つではないことを大切にし、子どもたちが自由に積極的に芽吹いていってほしいと願っています。
保護者へのメッセージ
ー 無料体験や入会を検討している保護者の方へのメッセージをお願いします。
脇屋さん:お子さまを習わせることに不安を感じている保護者の方は多いと思います。「落ち着きがないけど大丈夫かな」「ピアノに座っていられるかな」と心配されるケースもよくあります。そのような心配は持たずに、ぜひ一度体験にいらしてください。ピアノを弾くだけではない指導を知っていただきたいと思います。
また、ピアノを上手に弾くことだけがピアノを習う目的ではないと思っていただけると嬉しいです。音楽を通して様々な力を育むことが、当教室の大切にしている考え方です。