NPOみらいの森で切り拓く子供たちの生きる力 ― 児童養護施設の子供たちの心の中に希望の種を蒔く

私たちの社会には、様々な背景を持つ子供たちがいます。その中でも、児童養護施設で生活する子供たちは、家庭環境や社会的な要因から多くの課題を抱えています。そんな彼らに対して「生きる力」を育むことを目的に活動しているのが、NPOみらいの森です。この団体は、自然を舞台にしたアウトドアプログラムを通じて、子供たちに自信や仲間との絆、そして社会で生き抜く力を育むことに取り組んでいます。

このインタビューでは、NPOみらいの森のプロジェクトマネージャーである塩津萌々夏さんにお話を伺い、スタッフがどのような理念のもとで活動しているのか、実際のプログラムが子供たちに与える影響、そして今後のビジョンについて深く掘り下げていきます。みらいの森が描く、子供たちの明るい未来と、その実現に向けた挑戦の数々をぜひご覧ください。

NPOみらいの森の概要について

ーまず、どういった子供を対象としている団体なのか、そしてどのような指導を行っているのかお聞かせ頂けますでしょうか?


塩津萌々夏さん: 私たちは主に児童養護施設で暮らしている子供達を対象にした活動を行っています。具体的には、アウトドアプログラムを通して彼らに「生きる力」を伝えることを目的としています。児童養護施設の子供達は、様々な事情により家庭を離れて生活していますが、彼らは18歳で自立しなければならないという厳しい現実があります。みらいの森では、社会がまだ彼らを受け入れる体制が十分に整っていない中でも、少しでも彼らが自信を持って自立できるよう、さまざまなプログラムを提供しています。

私たちの活動の大きなコンセプトは、「体験型」と「継続型」というものです。体験型を重視している理由としては、実際に体験して学ぶことが生きる力を養う重要なポイントだと考えているからです。たとえば、失敗や挫折も経験することで、挑戦することの大切さを学んでもらいたいと思っています。次に継続型の説明ですが、毎月、そして毎年参加できるプログラムに継続的に参加することにより、子どもたちは前回のプログラムの経験をもとに学びをさらに積み重ねることができますまた、何度も参加している子どもたちは、馴染みのある環境に安心感を持ち、普段はやらないようなことや、新しいことにも挑戦していくことができるようになるのです。

さらに、私たちが重視している”3つの道具”というものがあります。「アウトドア」「ダイバーシティ(多様性)」「ロールモデル」です。

1つめのツールである「アウトドア(自然)」という環境は全員が平等に体験できる場であり、文化や価値観に縛られずに様々な経験をしてほしいと願っています。たとえば、山登りやキャンプを通じて、他者と協力し合う大切さを学び、さまざまな背景を持つ仲間とのコミュニケーション能力を高めることができると考えています。

そして2つめのツールの「ダイバーシティ」ですが、馴染みのない文化や言語・世界に存在する多様な生き方や価値観に触れることにより、子どもたちはさらに視野を広げ、その中で新たな自分を見つけることができます。また、普段の「常識」が通じない相手と交流することで、新たな表現方法などを学び、コミュニケーション力を高めます。

最後3つめの「ロールモデル」もとても大事ですね。子どもたちは、親でも、先生でも、職員さんでもない、様々な背景を持つスタッフやボランティアと出会います。多様な形で活躍している大人たちと交流し、将来の仕事やライフスタイルの選択肢に気が付き、可能性を広げていくのです。

NPOみらいの森が考える「生きる力」とは?

ー生きる力というお話があったと思うのですが、みらいの森が考える生きる力とはどのようなものでしょうか?


塩津: 施設に住むほとんどの子どもたちは高校を卒業すると同時に、完全な自立を強いられます。それまでの守られた施設での生活から一変し、周りからのサポートがほぼなくなってしまう中で子どもたちは、今まで経験したことのない問題や状況に直面します。みらいの森では、例え見たことや聞いたことのないことでも、それに対してきちんと考えることができ、自ら解決方法を見つけ出し、困難を乗り越えることのできる力のことを「生きる力」と呼んでいます。

生きる力」は、レジリエンス(逆境に適応する力)やコミュニケーション能力、そして自分が困っているときに助けを求める力など、さまざまな要素から成り立っています。これらの力を育むために、私たちは5つのバリューと呼ぶ「思いやり」「尊重」「責任感」「勇気」「リーダーシップ」をプログラムの中で大切にしています。これらのバリューは、子供達が今後の人生を歩んでいく中で必要な基盤となると信じています。

少しわかりづらい具体例かもしれませんが、プログラムの一つである登山中に水筒を持つのが重たくて諦めてしまいそうな子に「責任感」を意識させて、自分の力で頑張ってやり遂げさせるようにしています。少々かわいそうに思えるかもしれませんが、責任を最後まで自分で持つことの重要性を身をもって理解してもらうためです。そのうえで、仲間と協力して課題をクリアすることで、勇気やリーダーシップなども学ぶことができます。

また、私たちのプログラムは、子供達が自分自身を知り、他者との関係を築く力を育むことを重視しています。自己理解が深まることで、将来的に自分がやりたいことや目指すべき方向性を見つける手助けをしていきたいと思っています。

NPOみらいの森の活動はどのように始まったのか

―みらいの森を設立した経緯やきっかけについて、教えて頂ければと思います。


塩津: みらいの森の設立には、カナダ人の副理事が関わっており、彼の母親が里親経験を持っていたことが大きなきっかけとなっています。彼は常に「ギブバック」をしたいという思いを持っており、その思いが法人設立に繋がっています。私たちの活動は、彼の母親の経験から生まれたものであり、彼女の思いを受け継いでいます。

みらいの森設立当初は、ボランティアで活動を始めていたのですが、次第に参加する子供達が増え、ニーズも多様化していきました。それに応じて、プログラムの内容を充実させる必要があると感じ、現在のような形に発展しました。

私自身の経歴は、もともとアメリカのカリフォルニアで表現活動、具体的にはダンスや歌を通じて、子供達に夢や希望を与える活動をしていました。そこでの経験を通してみらいの森を知り、共通の目的を持っていることを感じました。アメリカでの表現活動を通じてさまざまな子供達が自分の夢に向かって挑戦する姿を見て、自分の人生にも大きな影響を与えられたと思っています。今度は日本の子供たちの夢や希望を応援したいと考えるようになり、みらいの森のプロジェクトマネージャーとして活動しています。

―実際のプログラムの具体的なプログラム内容についても教えて頂けますでしょうか?


塩津: 私たちのプログラムは、アウトドアを中心にした様々な体験型アクティビティを提供しています。具体的には、キャンプ、ハイキング、料理、農業体験などを行っており、これらの活動を通じて子供達は自然との触れ合いを楽しむだけでなく、チームワークやリーダーシップを学ぶことができます。

たとえば、キャンプでは、テントの設営から料理、火起こしまでの一連のプロセスを経験します。これにより、協力して一つの目標を達成する楽しさや、責任感を育むことができると考えています。また、ハイキングでは自然の美しさを感じることで、心を豊かにする体験を提供しています。

プログラムは、子供達が自身のペースで参加できるように工夫されており、特に子供達が自分の成長を実感できるような内容を心がけています。また、参加した子供達がその後も継続して参加できるように、リピート参加ができる仕組みを作っており、長期間にわたって支援を行うことが可能です。

さらに、各プログラムには専門のインストラクターがつき、子供達が安全に楽しめる環境を整えています。インストラクターは、子供達が自信を持って挑戦できるよう、サポートを行っています。私たちは、子供達が学びながら成長できる環境を提供することに全力を尽くしています。

まだまだ知られていない…活動内容をもっと知ってほしい!

―今後の展望や目指していることがあれば教えてください。


塩津: 今後は、より多くの児童養護施設と連携し、全国にプログラムを広げていくことを目指しています。具体的には、地域の特性に応じたプログラムを展開し、地域の子供達に合わせた支援を行っていきたいと考えています。また、私たちの活動を通じて、社会全体が子供達の自立をサポートする意識を持つようになってほしいと願っています。

さらに、アウトドア活動だけでなく、心のケアを行うプログラムの拡充や、子供達の進路支援を行うための活動も検討しています。特に、自立後の子供達が社会でどのように生活していくかを考え、就職支援や生活技能の教育にも力を入れたいと考えています。私たちの活動が、子供達の未来に少しでも役立つことができればと思っています。

また、私たちの活動を広めるために、地域の企業や市民と連携し、ボランティア活動の場を提供することで、地域全体で子供達を支える環境を整えていくことも重要だと考えています。私たちの活動が広がることで、より多くの子供達に希望を与えられるよう、今後も努力を続けていきます。

―ありがとうございました。最後に何かメッセージがあればお願い致します。


塩津: ぜひ、私たちの活動に興味を持っていただき、広めていただければ嬉しいです。特に、子供達の未来に向けて何かアクションを起こしたいと考えている方々がいれば、ぜひ一緒に活動をしていただきたいと思います。私たちの活動が、多くの子供達にとって明るい未来を創る手助けになることを願っています。

♪NPOみらいの森がお届けするチャリティイベントのご紹介♪

NPOみらいの森では、参加者の皆様に楽しく、そして意義のある体験を提供するために、いくつかのイベントを企画しています。少しでも興味のある方は、気軽に参加して頂けると嬉しいです!

1. ウィンターパーティー

日程: 2024年11月29日(金曜日)
場所: 新橋
概要:
ウィンターパーティーは、年に一度のNPOみらいの森の公開イベントです。このイベントでは、1年間の活動報告を行い、様々なコミュニティの横のつながりを深める機会を提供します。軽食をご用意し、参加者がリラックスしながら今年の活動を振り返ることができる場となります。卒業生のスピーチや、キャンププログラム内でのミニ体験アクティビティ、さらにはラッフルくじの抽選などもあり、皆様にとても喜ばれているイベントです!

※ラッフルとは・・・慈善などを目的としたくじ

詳細はこちら https://mirai-no-mori.jp/ja/mirai-no-mori-winter-party-2024-2024/

2. チャリティ ラン

日程: 2024年11月10日(日曜日)
場所: 多摩川
概要:
このチャリティランでは参加費のご協力をいただき、運動をとおして社会貢献を行います。参加者にはこのプログラムに参加する高校生がデザインしたオリジナル手拭いをプレゼント予定です。真剣に走りたい人は、ガジェットを使用してスピードの計測も出来るので、運動が好きな経験豊富なランナーさんにも参加して頂けるようなイベントとなっております。

詳細はこちら https://mirai-no-mori.jp/ja/kiwl-charity-run-2024/

3. バーチャル チャリティ ラン チャレンジ

日程: 2024年11月1日から11月30日まで
概要:
チャリティラン当日に実際の参加が難しい方でも、運動しながら社会貢献ができるイベントです。ストラバというアプリを使用し、1か月間で42.195キロを走る、もしくは歩くというイベントを開催します。このバーチャルチャリティランは、世界中のどこからでも参加可能です。”ストラバ”というアプリをダウンロードし、期間内に自分のペースで走ったり歩いたりして、距離を達成してください。参加者にはラッフル景品も用意しており、運が良ければ素敵な賞品をゲットできるチャンスがあります。

詳細はこちら https://mirai-no-mori.jp/ja/kiwl-virtual-charity-run-challenge-2024/

みらいの森の活動に少しでも興味を持った方は、ぜひこれらのイベントに参加してみてくださいね。