幼稚園教諭・保育士の経験を持つ講師が、きめ細やかな指導で生徒一人ひとりの成長をサポートする「にじいろ書道教室」。
書道を通じて自己表現や内面の成長を支援する女性限定の書道教室として、地域で親しまれています。
今回は教室を主宰する島真游先生に、教室の特徴や指導方針についてお話を伺いました。
教室概要

ーどういった方を対象にどのようなレッスンをされていますか?
島さん:概ね3歳〜の女性を対象に、月2回のペースで書道のお稽古を行っており、現在81歳の方も通ってくださっています。
小学生から大学生までは男女問わず受け入れていますが、一般の方は女性限定としています。
これは、子ども達の安全面やトラブルにならないように安心してお稽古を受けられるようにするためです。
月曜日から木曜日まで、年齢に応じた時間でレッスンを実施しており、小学2年生までは60分、小学3・4年生以上は70分、中学生以上はかなも学べる体制を整えています。
大人の方は、月1回から受講可能で、「細く長く」書道に触れたいという要望にも対応しています。
設立の経緯ときっかけ

ー 教室を始めたきっかけや経緯についてお聞かせください。
島さん:私自身、小学2年生から高校2年生まで書道を習っていました。
自分の子どもが生まれたことをきっかけに、大好きだった書道の師範を取得し、教室を開くことを決意しました。
子どもたちが小学1年生の時に門を叩いて稽古を始め、師範を取得しました。
実は私自身、字の汚さにコンプレックスを持っていた経験があり、そういった想いから、「字の上手い下手」だけにとらわれない書道教室を作りたいと考えました。
最初は子ども向けの教室としてスタートし、現在の形に発展してきました。
特徴とアピールポイント
ー教室の特徴やアピールポイントについて教えてください。
島さん:幼稚園教諭や保育士、そして現在は東京都子育て支援員としての経験を活かし、保護者の方や子どもたちの心に寄り添った指導を心がけています。
個人差が大きいため、言葉がけや指導の仕方、筆の持ち方など、一人ひとりに必要なサポートを丁寧に行っています。
中には発達がゆっくりなお子さんや、左手でしか筆が持てないお子さんなど、様々な特性を持つ生徒さんもいらっしゃいますので、保護者の方と密に連絡を取り、お子さんと保護者の方、双方のニーズをヒアリングしながら、無理なく稽古に取り組める環境づくりを心がけています。
大人の生徒さんは、師範取得を目指す方、字を上手くなりたい方、趣味として楽しみたい方など、目標は様々です。
画一的な指導ではなく、生徒さん一人ひとりの目標に合わせた指導を行っています。
月刊誌を使用する方、教室独自のテキストではなく硬筆のテキストを用いて学ぶ方、千字文(書道で最も大切な1000文字を重複なく練習する)に取り組む方など、それぞれが2時間の中で達成感を持てるよう、柔軟に対応しています。
生徒指導で意識していること

ー指導する中で大切にしていることを教えてください。
島さん:書くことが好きな方もいれば、保護者の方の意向で始める方もいます。
特に子どもたちの指導では、「上手く書く」ことだけにフォーカスすると書くことが嫌いになってしまう可能性があるため、まずは書くことが好きになってもらえるよう心がけています。
例えば、筆で丸を描くところから始めて、そこからアンパンマンやドラえもん、熊やウサギなどの絵を描く活動を取り入れています。
大人から見ると落書きのように見えるかもしれませんが、これは手を動かす上での筆圧のコントロールの練習になり、苦手意識の軽減にもつながっています。
大人の方には、それぞれの癖を丁寧に見直し、基本的な筆の持ち方や姿勢から指導します。
子どもが多い教室なので子ども目線になりがちですが、大人の方にも同様に、形にとらわれすぎず、一人ひとりの良い持ち味を見つけ、言葉で伝えることで自己肯定感を高められるような指導を心がけています。
今後のビジョンと展望

島さん:より多くの方に書道の魅力を届けたいという想いは変わりません。
にじいろ書道教室のにじいろは「書と人、人と自分」そんな架け橋になれればと屋号をつけたので、こういう機会を今後増やしたいと思います。
篆書体や金文と言った古い文字(象形文字に近い)を使った一字書を書き、そこから文字を発展させ文字の持つ意味を知り、言葉を加えて表現の自由さ、そして自分の内観を見つめ直す機会にしていきたいと思います。
また、書道に対する間口を広げ、裾野を伸ばしていただけるような、開かれた教室にしていきたいと考えています。
難しさや苦手意識だけが先行しないよう、地域に開かれた、親しみやすい稽古の場を目指しています。
教室の様々な取り組み

当教室では、「にじ文字レッスン」「にじ文字親子レッスン」「にじいろ書道教室冬休み書き初め会」など、お稽古イベントを行なっています。
にじ文字レッスンは、コロナ禍になってから規模を縮小してまいりましたが子育て支援センターにて年に一回のペースではありますが開催しています。
お名前書きレッスンをした後、好きな書体を選び好きなペンを使ってお子様のお名前をキーホルダーに書き裏面にお子様の指スタンプで花束を作って完成させる親子での取り組みです。
こちらは人気の講座で、参加された方にとって、特にママにとっては心地よい時間となっているようです。(スタッフの方の見守りあり)
キーホルダーは実用性があり、今も大切につけてくださってるママもいます。
にじ文字親子レッスンは昨年度もお問い合わせがあり、日程を調整して開催しています。
共働きの方が増え親子で書道に通いたくても通えないという方もいらっしゃり、育児休暇中にお子様と来られる方が多いです。
「子どもと一緒に書道をするのが夢でした」とお声をいただき、とても嬉しくなりました。
読者へのメッセージ
ー教室に興味を持たれた方にメッセージをお願いいたします。
島さん:小学校以来、筆を持っていないという方も多いと思いますが、「また始めてみよう」と思った気持ちを大切にしていただきたいです。
書道は形が決まっているため、どうしても上手い下手に目が向きがちですが、実は子どもでも大人でも、静かに自分と向き合って書く時間は、自己内観を見つめ直す大切な機会であり、内面の成長にもつながるものだと考えています。
教室に通うのが難しい方は、まずはペン字でも構いませんし、自宅でひらがなを書くところから始めてみるのもよいかもしれません。
そこから新しい気づきが生まれることもあります。
もちろん、教室に来ていただければ、全力でサポートさせていただきます。
一人ひとりのお声に耳を傾け、心を寄せながら、共に成長できる書道教室であり続けたいと思っています。