地域を支えるNPO埼玉ネットが描く未来とは?
埼玉県内でNPO支援と災害復興に取り組むNPO埼玉ネット。市民映画祭を通じた社会課題の発信や、災害支援の最前線での活動など、多岐にわたる取り組みを展開中。今後の展望や、市民が関われる方法とは?本記事では、その全貌に迫ります。
活動の概要について教えてください。
NPO埼玉ネットは、埼玉県内のNPO法人や市民活動団体を支援し、地域社会の発展に貢献するために活動している特定非営利活動法人です。私たちは、NPOの設立や運営をサポートする中間支援組織として、資金調達や運営相談、会計支援など、多岐にわたる業務を行っています。
特に私が担当しているのが、「彩の国市民映画祭」の運営です。この映画祭は、市民の手による映画制作を支援し、多様な社会課題を映像を通じて発信する場として開催されています。第一回は2023年3月に加須市で開催され、第二回は埼玉県県民活動総合センターで行われました。2025年3月1日には第三回の開催を無事終了することができ、みなさまのおかげで大変盛況でした。
また、当団体は災害支援活動にも積極的に取り組んでいます。直近では、能登半島地震の際に物資の輸送や支援活動を行いました。さらに、福島県双葉町から加須市に避難している方々を支援するため、一時帰宅のサポートなども行っています。このように、私たちは映画祭を通じた社会課題の発信と、災害支援という二つの大きな軸で活動しています。
立ち上げたきっかけについて教えてください。
NPO埼玉ネットの設立は2006年に遡ります。元々、東京都港区六本木に「港NPOハウス」という施設があり、そこではNPO団体が共同でオフィスを運営しながら活動を行っていました。これを埼玉でも実現しようと考えたのが、NPO埼玉ネットの始まりです。埼玉県内で活動するNPOの支援を目的に設立され、当初は大宮でオフィスを構え、その後、さいたま市桜区の合同庁舎へと移転し、現在の東松山のNPOハウスに至ります。
私自身がこの分野に関わるようになったきっかけは、市民団体の活動をより広く支援したいという思いからです。特に災害支援については、市民の力で迅速な対応が可能であることを実感し、実際に様々な災害現場で支援活動を行ってきました。その流れの中で、市民キャビネットという政策提言組織に関わり、災害支援部会を設立。これが現在の活動の基盤となっています。
特徴・強みはどんなところでしょうか。
NPO埼玉ネットの最大の強みは、幅広いネットワークを持っていることです。私たちは、埼玉県内のNPO法人と密接に連携しており、各団体が互いに協力し合うことで、より効果的な支援が可能となっています。
例えば、防災関係の団体や、音楽・文化活動を行う団体など、多様な分野の組織とつながりを持っています。これにより、イベントやプロジェクトを共同で実施する際に、適切なパートナーシップを築くことができます。さらに、災害発生時には、迅速に支援の手を差し伸べる体制が整っているのも、私たちの大きな特徴です。
また、映画祭という形で、市民が主体となって社会課題を発信できる場を提供している点も、私たちの活動の独自性を際立たせています。単なる映像作品の上映に留まらず、作品を通じて問題提起を行い、社会的な議論を促す役割を担っています。
活動・指導方針について教えてください。
私たちの活動の根底には、「多様性の尊重」と「市民主体の社会づくり」という理念があります。現在の社会では、ジェンダー、年齢、国籍などの違いを超えて、すべての人が共に生きる環境を作ることが求められています。私たちは、そのための場づくりを積極的に行っています。
映画祭をはじめとするイベントでは、誰もが参加しやすい環境を整えることを重視しています。例えば、年齢や経験の有無に関わらず、作品を応募できる仕組みを設けたり、障がいを持つ方々が参加しやすいような配慮を行っています。
また、災害支援の現場においても、「困っている人を助ける」というシンプルな原則のもと、迅速かつ柔軟に対応することを心掛けています。支援の際には、単に物資を届けるだけでなく、現地のニーズに応じたサポートを提供することを大切にしています。
今後の展望についてお聞かせください。
今後の展望として、災害支援活動のさらなる充実を図りたいと考えています。現在、災害発生時の支援資金を集めるのが難しい状況ですが、将来的には「災害支援基金」を設立し、常に支援ができる体制を整えることを目指しています。これにより、災害発生直後から迅速に活動を開始できるようになります。
また、映画祭のさらなる発展も計画しています。現在は年1回の開催ですが、将来的には上映会の回数を増やし、より多くの人々に作品を届けられるようにしたいと考えています。さらに、映画祭の収益を災害支援活動へ還元する仕組みを作ることも視野に入れています。
メッセージ
最後に、私たちの活動に興味を持っている方へメッセージをお伝えしたいと思います。
特に若い世代の方々には、ぜひ防災や社会貢献に関心を持っていただきたいと考えています。東日本大震災から十年以上が経ち、当時の記憶が薄れつつある中で、私たちは次世代に防災の大切さを伝えていく責任があります。災害支援は、特別なスキルがなくても参加できる活動です。少しでも興味があれば、ぜひ私たちの活動に関わってみてください。
また、映画や演劇に関心がある方も大歓迎です。私自身も役者としての経験があり、映画祭を通じて、創造的な表現活動の場を提供することにも力を入れています。少しでも興味がある方は、ぜひ気軽にご参加ください。