失われつつある“書”の本質を伝える、田畑書道教室の挑戦

全国どこからでも学べる通信制の書道教室、田畑書道教室。筆の線一本に宿る哲学や、文字に込める思いを伝える田畑先生の教えは、一般的な書道教育とは一線を画します。その熱量と構想、教室に込めた想いを伺いました。

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オンラインで広がる、通信添削という新たな書道の形

この教室は、作品の写真を提出していただき、それを動画で添削してお返しするという通信制のスタイルをとっています。現在は月に2回ほど、5名程度の方とやり取りをしています。

対面での指導は行っておらず、オンラインを中心に活動しています。私自身は京都から鹿児島に移住し、現在は鹿児島を拠点に活動していますが、今後は対面での教室も開設できるよう準備を進めているところです。

YouTube(https://www.youtube.com/playlist?list=PLzeUCyCv3Xmff2uID4LOhXvHYM99-W-gb)では書道に関する疑問を解消する動画も配信しており、そこから教室を知ってくださる方も多くいらっしゃいます。そうした方々から、添削だけでも受けたいというお声をいただくこともあり、少しずつ受講者が増えている状況です。

書道の本質を見失わないために、立ち上げた教室

私自身、書道を幼少期から続けてきました。多くの書道書や歴史書を読み解く中で、戦後日本の書道が大きく方向性を変えてしまったことに疑問を持つようになりました。

日本の書道文化の中で、現在の書道教育は形の美しさに偏りすぎており、書が本来持つべき魂や意味が見失われているように思います。

そうした背景から、伝統の書をただ模倣するのではなく、その本質を伝えたいという思いでこの教室を立ち上げました。書道団体や競書誌の評価だけに頼らない、自分の目と感性で学ぶ書道のあり方を模索し、提案することがこの教室の原点にあります。

学校では教えてもらえない“線”の感覚を伝えたい

この教室では、線の引き方を徹底的に指導しています。筆の軌道が文字の中心を通る“中鋒”の概念は、現代の教育現場では十分に教えられていないように感じています。

学校の書写授業は形を整えることに重点が置かれ、本来大切にすべき筆の動きや線の力が伝えられていません。私はYouTubeでもこの点をしつこいほどに強調しており、筆運びの感覚を言語化して伝えることを意識しています。

また、漢字の成り立ちや意味まで掘り下げて解説することで、なぜこの形になるのかという理解が深まります。こうした根本的な指導は、他の教室ではなかなか得られないものだと感じています。

文字に思いをのせる“書”を教えたい

私自身が大切にしているのは、書道を単なる習字ではなく“書”として捉えることです。字形の美しさを追求するだけでなく、自分の思いを込めた言葉を作品として表現することが書道の本質だと考えています。

だからこそ、生徒さんにもいずれは自分で漢詩を作り、それを筆で書き上げる、思い・想いを形にするという段階を目指してほしいと思っています。書は文字の造形であると同時に、言葉の表現であり、自分自身を映す鏡のようなものです。

私は篆刻も行っており、印を含めた一つの作品として完成させる“トータル書道”の指導を志しています。自らの感性を文字に投影することが、本当の意味での“書道”だと思っています。

書を人生の一部に、未来への構想

今後は通信指導の質をさらに高め、いずれは対面での教室も開講し、掛け軸や表具にまで踏み込んだ“総合的な書道体験”を提供していきたいと考えています。

最終的には、生徒一人ひとりが自分の言葉で詩を綴り、それを自らの手で形にしていくような学びの場を作っていきたいです。たとえば、季節の行事に合わせた漢詩を創作し、1年かけて仕上げた作品を額装して部屋に飾る、そんな文化的で創造的な学びが理想です。

この教室に興味を持ってくださった方には、文字の形を真似るだけで終わらない、本質に触れる書の世界を体験していただきたいと思っています。

田畑書道教室のHP:https://kyoshitsu.tabata-syodo.com/

美文字ブログ:https://syoka-koyoblog.com/

深掘り書道サロン(登録無料):https://salon.tabata-syodo.com/