「子どもたちの気持ちに寄り添える居場所を作りたい」。そんな想いから生まれた「不登校支援団体よりどころ」は、オンラインを活用した新しい形の支援を行っています。ゲームやおしゃべりを通じて子どもたち同士のつながりを育み、年3回のオフ会で実際の交流も大切にしています。今回は「ゆるやかなつながり」を大切にした不登校支援団体よりどころの魅力について代表の篠田さんにインタビューしました!

サービス概要
ーまず、不登校支援団体よりどころの活動内容について教えてください。
篠田さん:私たちは小学1年生から中学3年生までの子どもたちを対象に、現在はオンラインをメインに活動しています。週に2回のゲーム大会では、「どうぶつの森」「スプラトゥーン」「フォートナイト」「エイペックス」「マインクラフト」の5つのゲームを通じて交流します。
特徴的なのは、ゲームの後に45分間の「おしゃべりZoom」の時間を設けていることです。ただし、ゲームの時はゲームのみ、おしゃべりの時はおしゃべりのみというルールを設けています。これは、ゲームを我慢してでも、ここで出会った友達と話したいという気持ちを育てたいという思いからです。
「不登校支援団体よりどころ」の立ち上げ背景と想い
ーどのような経緯で不登校支援団体よりどころを立ち上げられたのでしょうか?
篠田さん:私自身が6年間の不登校経験があります。23歳までは自動車整備士として働いていたのですが、ある時、自分がなぜ今楽しく生活できているのかを考え「不登校時代に支えてくれた人々の存在」に気づきました。その経験から、今の子どもたちに何か還元できることはないかと考えたことがきっかけです。
最初はTwitterで不登校時代の気持ちを発信していたところ、徐々に反響が増え、相談も寄せられるようになりました。そんな中、教育への強い思いを持つ1つ年下の男性から連絡があり、同じようなビジョンを持っていたことから、2020年12月に「不登校支援団体よりどころ」を立ち上げることになりました。
「不登校支援団体よりどころ」の特徴とアピールポイント
ーよりどころさんの特徴やアピールポイントを教えてください。
篠田さん:最大の強みは、私自身が6年間の不登校経験があり、子どもたちの心に寄り添える支援ができることだと考えています。塾でもフリースクールでもない、気軽に立ち寄れる居場所作りを心がけています。
また活動の中では何かを強制することはなく、ゆるやかなつながりを大切にしています。子どもたちと接する際は学校に関する話題は意図的に避け、学校を連想させるような黒板ではなくホワイトボードを使うなど、細かな配慮も行っています。
さらに子どもたちには「自分のペースでいいんだよ」というメッセージを常に伝えています。ここに来てくれること自体が大きな一歩だと考えており、居場所探しをする親子の勇気に感謝の気持ちを持って接しています。
支援における具体的な配慮と工夫
ー子どもたちと接する際に、特に意識されていることはありますか?
篠田さん:子どもたち一人一人の状況が違うので、まずは保護者の方からお話を伺い、その後にお子さんと会うようにしています。特に意識しているのは、学校に関する話題を出さないことです。「学校に行っているの?」「学校はどう?」といった質問は一切しません。
また、ここまでの道のりを「よく頑張ってきたね」と認める声かけを大切にしています。学校復帰を経験した子どもたちも多くいますが、そこに至るまでの過程では、一人一人のペースを大切にすることを心がけています。
段階的な関係作りと実際の交流へ
ーオンラインだけでなく、実際の交流も大切にされているのでしょうか。
篠田さん:年に3回ほど、大阪や東京でオフ会も開催しています。オンラインでの交流を経て、実際に会う機会を作ることで、より深い関係性を築けるようになると考え、オフ会を開いています。
参加者は北は北海道から南は九州までさまざまです。オフ会をきっかけに、同じ地域の子どもたち同士で自主的に集まって遊ぶようになるケースもあります。
学校に関しては、行く・行かないという話は一切せず、行ける時に行ければいいという考えを持っています。大切なのは、「不登校支援団体よりどころ」という居場所があり、1人じゃないということを実感してもらうことです。
保護者からの声と子どもたちの変化
ー活動を通して、子どもたちにどのような変化が見られますか?
篠田さん:保護者の方からは、「1年以上外出していなかった子が、自分から『買い物に行きたい』と言い出した」「2年以上人との関わりがなかった子が、今では不登校の会で200人規模の講演会の講師として話すようになった」といった声を頂いています。
よりどころではDiscordを活用して、子どもたち同士が日常的なコミュニケーションを取れる環境も用意しているのですが、お祭りで買ったものを共有したり、日々の出来事を報告したりと、SNSのような使い方をしています。こうした交流が、外出のきっかけになることもあります。
今後の展望
ー今後の活動についてどのようなビジョンをお持ちですか?
篠田さん:現在は約30世帯が参加していますが、将来的には100世帯が集まれるような大きなイベントの開催を目指しています。また、私自身が年齢を重ねていき、小中学生徐々に年齢が離れていくことから、年齢によるギャップを感じていきやすいと考えています。
そのため、「不登校支援団体よりどころ」に参加してくれた子どもたちの中から、次世代の運営者が出てきてくれた良いなとも思っています。
新規参加者へのメッセージ
ー最後に、参加を検討されている方へメッセージをお願いします。
篠田さん:ゲーム機を持っていない子どもでも、おしゃべりのZoomやDiscordでの交流に参加できます。また、高校生の新規参加も歓迎しています。声出しや顔出しは必須ではなく、緊張や不安を感じる方でも気軽に参加できる環境を整えていますのでご安心ください。
親御さんへのメッセージとしては、学校や親戚にも理解してもらえず、誰に相談したらいいか分からないという時は、ぜひお問い合わせください。私自身の不登校経験と、5年間の支援実績を活かして、子どもたちの気持ちに寄り添った支援を提供させていただきます。