スズキ・メソード八丈島教室を運営する松本有希子さんは、東京から八丈島へ移住し、島の子どもたちにバイオリンを教えるという使命に取り組んでいます。スズキ・メソードという「母語教育」の考え方を取り入れ、耳から音楽を覚えるように楽器を習得するスタイルで指導。特に転勤の多い島の環境に合わせた音楽教育を提供しています。

教室の概要
ー今の教室がどういった方を対象にされていて、どのような教室なのか、ベースの概要について教えてください。
現在八丈島に住んでいて、以前は横浜にいました。八丈島の子供たちにバイオリンを教えたいという思いで島に移住しました。オンラインレッスンでは、他の先生に習っている方で、違う角度から意見を聞きたい方や、これまでレッスンしていた生徒さんを継続して教えています。
スズキ・メソードは、日本語を耳から覚えるプロセスと同じように楽器を習得するスタイルで、世界中にある教育法です。一度離籍してしまった、2011年から2018年まで在籍していたスズキ・メソードの指導者への復帰手続きが完了し、これから指導していきます。
子供たちが音楽を習得するのにとても良いと思っています。耳から音楽を覚えるのが一番良い方法で、特に9歳くらいまでの子どもたちに効果的です。この時期にCDを聞いて耳から楽器を覚え、負担なくバイオリンが弾けるようになることを目指しています。日本語を話せるようになるときに負担を感じないのと同じように、バイオリンが弾けるようになることを目標としています。
設立の経緯ときっかけ
ーご自身がこの教室だったりを始められた経緯とかきっかけについて、改めてお伺いさせていただいてもよろしいですか?
私は指導者になるための学校に2005年から2011年まで6年間通っていました。卒業後は才能教育研究会で指導者として所沢などで教えていましたが、自宅が横浜で距離が遠かったこともあり、会議の参加も大変でした。交通費もかかりましたが、今はZoomなどでオンライン会議ができるようになり、復帰しやすくなったと感じています。
当時は生徒さんも集まりにくく、特に横浜は競合も多かったです。八丈島に移住したのは去年で、仕事の関係で移住しました。住んでみるとバイオリニストが私しかおらず、需要があるかもしれないと思いました。
島のコミュニティは狭く、口コミの広がり方も早いです。一度島のライブハウスで演奏した時、その評判が爆速で広まりました。「バイオリンが上手い人がいる」という噂がすぐに広がったので、この環境での可能性を試してみたいと思っているところです。
特徴やアピールポイント
ー他の教室にはない特徴であったりとか、教室としての1番のアピールポイント強みの部分について教えてください。
島にバイオリン講師が私しかいないというのがまず一つの特徴です。また、音楽院で6年間教え方を学んできたことも強みだと思います。
私の教え方の特徴として、型も大事にしていますが、それ以上にその人にとって一番楽に持てる姿勢や、その人にとって一番良い音が出る方法を重視しています。子供も大人も同じように考えています。
以前、実家にいた時に近所の弦楽団のお手伝いをしていましたが、生徒さんが無理している様子が見られました。「こう持たなければいけない」という固定観念を一度外すような指導が私は得意だと思います。
生徒に指導する際に意識していること
ー受講されている方を指導する際に意識していることであったりとか、教室としての指導方針などあればお伺いさせて下さい。
誰でも必ず弾けるようになるということを意識しています。才能や能力は育てるものだと思っていますし、負担なく「ついつい出来ちゃう」というところを目指しています。もちろん頑張って出来るようになるという方法もありますが、私自身も努力して弾けるようになった経験があるので、「気づいたら弾けていました」というような自然な習得を目指しています。
コースや料金体系について
ー今提供されているコースだったりとか、プランがあれば、それぞれお伺いさせてください。
特別なプランはないのですが、まずオンラインコースがあります。15分1000円と他より安い価格設定で、すでに他で習っている方が気軽に受けられるようにしています。
オンラインレッスンの良さは、見てほしい部分を映せることです。例えば小さい子のレッスン中に左手の形を見てほしい時、対面だと違うところを見ていることがありますが、カメラを使えば左手だけや右手だけを映したり、視点を切り替えやすいという利点があります。画面全体を見るのもやりやすいので、以前は対面レッスンとオンラインを併用していたこともあります。
もう一つは通常の対面コースで、子供から大人まで同じ内容です。スズキ・メソードの教科書を使用し、その人のレベルに合わせてレッスンしています。基本的にはCDをたくさん聞くことから始め、楽譜も教えますが、特に保育園児や小学校低学年の子どもたちは耳からの習得が強いです。子どもたちは音を聞いてすぐに真似できますが、大人の生徒さんには難しいこともあります。そのため、年齢によって教え方は変わりますが、基本はスズキ・メソードの教科書を使用し、大人に対してはより論理的に教えています。
今後のビジョン・展望
ー今後こういった点をより強化していきたいだったりとか、こういう取り組みを新しく始めていきたいってことがあれば教えてください。
現在八丈島では生徒さんが3人しかいませんが、グループレッスンをもっと充実させたいと思っています。月に3回の対面個人レッスンと1回のグループレッスンという形式を取っていますが、3人だとできることが限られています。また生徒のレベルもバラバラで、始めたばかりの2人がいるため、演奏できる曲も限られています。もっと上達すれば色々なことができるようになりますし、他の楽器も加えてアンサンブルもやっていきたいと考えています。
入会を考えている方へのメッセージ
ー今後ご入会を考えられている生徒さんであったりとか、保護者の方々にな、何かメッセージ等あれば、ここでお伝え頂ければなと思います。
わたしがヴァイオリンの指導を通して最も育ってほしいと願っているのはヴァイオリンがうまくなったり、弾けるということではなくて「非認知能力」で、その子の「人格的強み」です。わたし自身が現在ポジティブ心理学を勉強しており、八丈島に移住して環境が変わったことも影響してとても幸せな日々を過ごしています。心優しい子どもたちが大人になったときの優しさあふれる世界の実現が、わたしの願いです。