高齢者施設で10年以上の経験を持つ尾山さんが主宰する『やさしいごはん教室』。通常の料理教室とは一線を画す”見学形式”を取り入れ、料理初心者から経験者まで幅広い層から支持を集めています。忙しい毎日の中でも楽しく作れる家庭料理の魅力を伝え続け、生徒からは『家族に作って食べさせたい』という声が絶えないという同教室の取り組みに迫ります。
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初心者から経験者まで – 幅広い層に向けた料理教室の特徴
ー教室の特徴や対象とする生徒さんについて教えてください。
尾山さん:当教室は、日々の家庭料理に負担を感じている方、新しいレパートリーを増やしたい方、料理スキルに自信がない方など、幅広い層を対象としています。特に、毎日の食事作りに行き詰まりを感じている方や、マンネリ化を打破したい方に向けて、実践的で再現性の高いレシピを提供しています。
見学形式を採用しているのも大きな特徴です。通常の料理教室では生徒さんが実際に調理をする形式が一般的ですが、当教室では私が全ての工程をデモンストレーション形式で見せながら説明します。これには二つの理由があります。一つは、自分の担当作業に集中してしまうと他の重要な工程を見逃してしまうことが多いということ。もう一つは、人前で料理をすることに抵抗がある方への配慮です。『下手だと思われたくない』『切り方が下手だと言われるのが怖い』といった不安を持つ方も少なくありません。
料理教室を始めるまでの経緯と想い
ー料理教室を始めたきっかけを教えていただけますか?
尾山さん:2017年にやさしいごはん教室を始めました。それまでは高齢者施設で医療施設給食の仕事に10年ほど携わっていたのですが、施設での大量調理の経験を通じて、短時間でも美味しい家庭料理を作れることを多くの方に伝えたいと思うようになったことがきっかけです。
施設での食事提供は365日休みなく続き、時には味も画一的になりがちでした。その経験から、家庭料理の大切さを改めて実感し、美味しく心のこもった料理を広めたいという想いで教室を始めました。
日常に活かせる家庭料理のレパートリー
ー具体的にどのような料理を教えていらっしゃいますか?
尾山さん:私がお伝えしたいのは、あくまでも日常的に作れる家庭料理です。帰宅してすぐに『今日の夕飯にしてみよう』と思えるようなレシピを心がけています。スリランカカレーやロシア料理など、各国の家庭料理も取り入れていますが、それらも一般的な家庭の調味料で再現できるようにアレンジしています。
特にスリランカカレーは当教室の目玉メニューの一つです。現地では味噌汁のように日常的に食べられているカレーで、野菜もたっぷり取れて体に優しい料理です。このように、普段の食事として取り入れやすい料理を中心に、時にはおもてなしにも使える少し特別なメニューも織り交ぜながら指導しています。すべての料理は家庭の一般的な調味料で作れるよう工夫していますので、特別な材料を買い足す必要はありません。
アットホームな雰囲気づくりと充実のレッスン内容
ーレッスンの具体的な内容について教えてください。
尾山さん:レッスンは午前11時から始まり、約1時間半で6品ほどを作り上げます。その後は試食とデザートを楽しむ時間が設けられており、全体で3時間半程度のプログラムとなっています。料金は通常レッスンが6,000円、特別なリクエストに応えるリクエストレッスンは7,000円です。定員は6名で、アットホームな雰囲気を大切にしています。
レッスン中は常に説明を心がけ、質問があればその場で調理を止めて丁寧に答えるようにしています。『これは今何をしているんですか?』『なぜこの切り方をするんですか?』といった質問も大歓迎です。調理器具についての質問も多く、使い方や購入場所まで詳しく説明しています。また、混ぜ方を実際に体験したい方には、その工程だけ参加していただくこともあります。
生徒さんへの細やかな配慮とサービス
ー生徒さんへの配慮として特に気を付けていることはありますか?
尾山さん:食べきれない量の場合は、最初からタッパーのお持ち帰りができる旨をお伝えしています。『残すのが申し訳ない』と思われる方もいらっしゃいますので、遠慮なくお持ち帰りいただけるよう配慮しています。
また、レッスン中は和やかな雰囲気を心がけ、料理が出来上がっていく過程を楽しんでいただけるよう工夫しています。野菜を茹でる基本的な工程でも、『こういう風にやるんですね』と興味を持って見てくださる方が多く、その関心に丁寧に応えるようにしています。
今後の展望と目指す方向性
ー今後の展望についてお聞かせください。
尾山さん:遠方からも来てくださる方が多いので、時間をかけて来ていただく価値のある内容を提供し続けたいと考えています。そのために、新しい調理法や食材の研究も日々続けています。マンネリ化を避け、常に新鮮な発見のある教室であることを心がけています。
特に力を入れているのは、家庭料理の楽しさを伝えることです。料理は決して難しいものではなく、ちょっとしたコツを知るだけで、誰でも美味しく作れるようになります。そういった『気づき』や『発見』を提供できる教室でありたいと思っています。
参加を検討されている方へのメッセージ
ー最後に、参加を検討されている方へメッセージをお願いします。
尾山さん:日々の家庭料理に行き詰まりを感じている方、マンネリ化を感じている方に、ぜひ来ていただきたいです。見学だけで十分学べる環境を整えていますし、和やかな雰囲気の中で楽しく料理を学んでいただけます。『家族に作って食べさせたい』と言ってくださる方も多く、そういった声を聞くのが何よりの喜びです。
料理教室というと敷居が高く感じられるかもしれませんが、当教室では気軽に参加していただける雰囲気づくりを心がけています。料理の楽しさ、作る喜びを一緒に感じていただければ嬉しいです。ぜひ一度、お気軽にご参加ください。