指の温度で描く芸術 ー チョークアートスタジオSの魅力に迫る

指の温度で色を混ぜ合わせ、鮮やかなグラデーションを生み出すチョークアート。今回は大阪で人気のチョークアートスタジオSを主宰する井上さんにお話を伺いました。独学から始まり、プロの道へと進んだ経緯や、少人数制にこだわった指導方法など、チョークアートの魅力についてご紹介します。

サービス概要

ー まず、チョークアートスタジオS様はどんなサービスを提供されていますか?

井上さん:ブラックボードを用いたチョークアート教室を運営しています。

これは色と色をチョークで混ぜ合わせて、最終的には指の温度で柔らかいグラデーションを作っていくアートです。少人数制で、今のところ私しか教えられないので、マンツーマンに近い形になります。マックス4人同時進行することもありますが、皆さん速度や好きな分野が違うので、それぞれ違うものを描かれます。しっかり対応するためには、やはり少人数制が必要です。

オイルパステルというクレヨンに近いような画材で描いていって、指の温度で混ぜ合わせる感じです。完全手書きで、その温かみが特徴的です。

設立の経緯

ー どのような経緯やきっかけがあって始めようと思われたのですか?

井上さん:元々はプロのチョークアーティストをやっていました。初めてチョークアートに出会ったのは、まだ結婚していた頃です。当時飲食店を経営していて、町でおしゃれな黒板アートを見つけたんです。「自分のお店でも何か活かせないかな」と思い、独学で試してみました。

しかし、もっとリアルに上手く描きたいという思いや、お客さんに感動を与えたいという気持ちが強くなり、本格的に習いたいと思うようになりました。その後東大阪に引っ越してきて、チョークアートを本格的に始めようと決心。

教室を開く前には、プロのチョークアーティストとして6、7年ほど活動し、様々な場所に営業に足を運び、黒板アートを描かせていただき、作品を納品するような仕事をしていました。

特に店舗の方やそのお店を利用されるお客さんが、私の描いた作品を目にして癒されたり、「美味しそうだな」と思って入店してくれたりすることに、大きなやりがいを感じました。そういった経験の積み重ねが、教室を開くという決断につながりました。

ー 井上様は元々アートをされていたのですか?

井上さん:学校は特に専門で出ていないんですけど、若い頃にたまたま会社のメーカー立ち上げの時に応募して、絵は趣味で描いていたので、イラストが描けるということでイラストレーター、デザイナーとして採用していただいたのがきっかけでデザインの世界に入りました。現在も平日は会社員でデザイナーをしており、趣味と実益を兼ねています。デジタルで行うことをチョークアートでやったらどうだろうとか、いろんな観点で物を見られるので、手書きの良さも感じています。

特徴やアピールポイント

ー チョークアート教室は他にもあるのでしょうか?

井上さん:圧倒的に少ないと思います。私は一応MCAという協会に入っていて、そちらには生徒さんや先生がいらっしゃいます。大阪はまだ多い方だと思いますが、全国比率でいくと非常に少なく、都道府県に1人いたらいいかなくらいの感じです。

ー チョークアートスタジオSとしての強みやアピールポイントはありますか?

井上さん:現状、生徒さんにプロのライセンスを出すことができます。一応、民間ライセンスですが。また、私がデジタルにもたけているので、卒業の時に名刺なども一緒に打ち合わせして作成し、プレゼントしたりしています。

またチョークアートには特殊な技があり、透明感を出したりすることができます。ぱっと見た感じでは、チョークとは思えないような仕上がりになります。

ー 実際に書いた作品は持ち帰れるのですか?

井上さん:持ち帰れます。定着剤というものがあるので、落ちないようにすることができます。よほど雨風に当たりっぱなしでなければ、ご自宅で保管される分には半永久的に残ると思います。

ー 生徒さんは何か準備するものはありますか?

井上さん:手ぶらでも大丈夫です。自分でこだわって画材を揃えていらっしゃる方もいますが、基本的には教室にほとんど全て揃っていますので、手ぶらで来ていただいて、エプロンから全部お貸ししています。

ー どんな目的でチョークアートスタジオに通われる方が多いですか?

井上さん:中にはご自宅のわんちゃん猫ちゃんを描きたい方や、これを仕事にしたいと思っている方、趣味で絵が上手くなりたいという方が多いと思います。

生徒に指導する際に意識しているポイント

ー 生徒さんを指導する際に気をつけていることはありますか?

井上さん:光の当たり具合だったり、物の立体感だったりというのを、ただ描くことを教えるだけだったら、そこで描いて終わりになってしまいます。そのため「基本的にこういう図形だからこういう陰影があります」など、分かりやすくお伝えするようにしています。

また1回書いたものをインプットだけでなく、できればアウトプットしてほしいと思うので、「おうちでも良かったら書いてみてください。分からなかったらいつでも質問を受け付けています」という感じでサポートさせていただいています。

ー 絵を描いたことがない方でも大丈夫ですか?

井上さん:大丈夫です。最初に体験していただく時は下絵がありますので、下絵の塗り方を説明しながら塗っていってもらい、リアルな立体感のある絵に仕上げていきます。その中で様々なカリキュラムがあり、デッサンなども教えたりします。立体的に見せる方法や、美味しそうに見せる方法、可愛く見せる方法、リアルかつ生き生きとして見せるコツを最後までお教えしています。

コースや料金体系

ー コースと料金体系について教えてください。

井上さん:基本的には1時間2,500円前後です。コースによって異なりますが、大体2,500円でお教えしています。コースは基礎コースから始めて、基礎を作ってからプロコースに進んでもらっています。プロまでは目指さないという方は、趣味コースとして通っていただいています。趣味コースは60分2,000円です。

基礎コースは全30時間で、1回1時間ではなく、生徒さんによっては予約を2、3時間取っていただいたり、空いている時間に来ていただく形で30時間修了してもらいます。その中で決まったカリキュラムをクリアしていただきます。

ー プロ志向コースを受講して資格を取った場合、どういったところで仕事ができますか?

井上さん:お仕事の斡旋はしていませんが、私の実績や経験をもとに「こういうところに営業に行ったりして、パワードできるんですよ」という形でアドバイスしています。色々とポートフォリオを作ったり、「こういった感じのタッチの絵が描けます。もし良かったら看板を書かせていただけませんか」という形で営業し、お店の方に共感していただけたらお仕事をいただけるかと思います。

今後の取り組みや展望

ー 今後のビジョンについて教えてください。

井上さん:デザインの仕事も色々やってきたので、自分で営業するだけでなく、例えば教室主体で仕事を取って、皆で共同で制作するなど、そういう取り組みをしていって、皆さんと一緒に成長していけたらいいなと思います。

インプットだけでなく、やはりアウトプットしないと上手くならないし、やりがいがありません。生徒さんには輝いていてほしいと思います。実際に活躍されている方もいて、「忙しいけど先生のおかげでチョークアートと出会えて、こんなところで活躍しています」という話を聞くととても嬉しいです。皆さんにそういう活躍の場があったり、目標がたくさんできる方が人生楽しいと思うので、そのサポートをしていきたいです。

記事を読んでいる方に向けたメッセージ

ー 最後に、入会を検討している方へのメッセージをお願いします。

井上さん:興味を持ったら、ぜひ一歩踏み出してほしいと思います。私も臆病な方ですが、一歩踏み出して良かったと思うことの方が多いです。

一回きりの人生、やりたいことをやって楽しんでほしいと思いますので、それを一生懸命サポートできることがあるなら、自分の持っているもの以上にたくさん色々お伝えしたいと思います。何事も一歩踏み出さないと何も始まりません。

よく「私、下手なんですよね」とおっしゃる方がいますが、それは多分、1回か2回描いて下手で終わってしまっているだけです。本当に絵が描けない方でも、この教室に通うことで描けるようになります。「これどうやって描いているんですか?」「実はこんな裏技があるんです」という目から鱗の瞬間もあります。絵が描けなくても描けることもあるんだというところもあるので、自分の得意を増やして楽しい人生を送っていただきたいです。興味があれば、まずは体験しに来てください。