4カ国語で学べるピアノ教室「Sushiana International Music Class」~横浜発、国境を超える音楽教育

言葉の壁を超えて音楽を学ぶ」をモットーに、日本語、英語、中国語、インドネシア語でレッスンを行うピアノ教室SIMC」。周辺のインターナショナルスクールに通う子どもたちや、日本語が得意でない外国人の方々も安心して通えるこの教室には、今まで10カ国以上から生徒が集まっています。スシアナ先生が語る、多言語教室ならではの魅力と工夫をお届けします。

ピアノ教室「Sushiana International Music Class」の特徴

ー対象年齢を教えてください。

スシアナさん:基本的には5歳からを対象としていますが、「3歳から始めたい」というご要望をいただくこともあります。その場合は、まず体験レッスンでお子さんの様子を見ます。例えば、3歳でまだお母さんから離れられない場合は、同年代のお子さんが集まるヤマハのグループレッスンをおすすめすることもあります。成長に合わせて、少し大きくなってから個人レッスンへ移行することも可能です。

私自身、ヤマハで約30年間指導してきた経験があるため、そのような対応も柔軟にできます。実際に、これまで3歳から始めたお子さんが2人いて、現在も続けています。

インターナショナルな環境と多言語対応

ー「International」という名前がついていますが、英語がメインなのでしょうか?

スシアナさん: はい、そうです。自宅の一室を教室として使っているのですが、周辺にはアメリカ系や中華系のインターナショナルスクールがいくつかあります。

そのため、生徒の半分が外国籍で、これまでに約10カ国から生徒が通ってきました。SIMCでは、日本語・英語・中国語・インドネシア語のいずれかを話せる方であれば、ピアノを学ぶことができます。

ー教室はいつから開始されたのですか?

スシアナさん:教室は2009年から少しずつ始めましたが、本格的にホームページを立ち上げたのは2012年です。その後、PTNAの指導会員に入ったり、生徒さんからの紹介が増えたりしました。レッスン時間を有効に使うために、ホームページを立ち上げて、コミュニケーションや支払い方法など、すべての説明をそちらでできるようにしました。

教室設立の経緯

—ヤマハで30年の経験をお持ちとのことですが、もともと自宅で教室を開こうと考えていたのですか?

スシアナさん:いずれはそうしたいと思っていました。私自身、参加型リトミックコンサートの出張イベントを行っており、特に子どもが生まれてからは本格的に考えるようになりました。

子どもをプリスクールに通わせるようになった頃、そこで出会ったママたちから「教えてほしい」という依頼を受けたことがきっかけで、自宅でのレッスンを始めました。最初は1、2人からでしたが、少しずつ生徒が増えていきました。

子どもがいると、予期せぬ出来事が起こることも多く、自分の都合に合わせて休みを調整できる環境が必要だと感じました。しかし、ヤマハでは振替制度がなく、休みの調整が難しい点が課題でした。また、自分の裁量ではレッスンの進め方を決められず、調整が必要な時に教室が空いてないこともありました。そうした経験を通じて、「自分のシステムで、自分のやり方で教室を運営したい」と思うようになり、自宅でのレッスンを始めることを決意しました。

英語とピアノのバランス

—周辺にインターナショナルスクールがあるとのことですが、日本人でも「英語でピアノを教えてほしい」という方はいらっしゃいますか?

スシアナさん:はい、いらっしゃいます。ただ、「英語と同時にピアノを学べる」と誤解されることがよくあります。最初はそのような形も受け入れようと考えましたが、実際に「レッスンはすべて英語でお願いします」と言われると、コミュニケーションが難しくなる場合があると感じました。

あくまでもメインはピアノ教室ですので、英語が分かる方が「レッスンでも英語を使いたい」という場合は対応しています。一方で、インターナショナルスクールに通っているお子さんの中には、「日本語で教えてほしい」というリクエストもあります。どの言語であっても、生徒とのコミュニケーションを大切にすることを最優先にしています。

また、保育園では英語でリトミックのグループレッスンを行っています。英語の歌を歌ったり、簡単な挨拶をしたり、同じ単語を繰り返し使って覚えてもらうことを重視しており、ピアノの個人レッスンとは異なるアプローチを取っています。

SIMCの特徴とアピールポイント

ーSIMCの特徴やアピールポイントを教えてください。

スシアナさん:アピールポイントの一つは、当日急に来られなくなった場合や、うっかり忘れてしまった場合でも、すぐにオンラインレッスンに切り替えて対応できる点です。これはコロナをきっかけに始めた取り組みですが、今では柔軟なレッスン体制として定着しています。オンラインが難しい場合でも、せっかく練習したのであれば、その日の演奏を動画で送ってもらい、後ほどフィードバックをすることも可能です。

また、オンラインレッスンのみで受講している生徒もいるため、日本全国どこにいてもレッスンを受けることができます。ただし、直接来ていただいた方が、より細かい指導ができることをお伝えしています。

ピアノだけでなく、エレクトーンや鍵盤ハーモニカのレッスンも行っています。また、「Tanto Tanto Music Score」で楽譜の編曲を担当しており、生徒のリクエストに応じて、弾きたい曲をレベルに合わせて編曲することも可能です。

さらに、コンサートやコンクールでの演奏記録についても、希望があれば動画を編集し、教室のYouTubeチャンネルに掲載するなど、生徒の成長を形に残せる工夫をしています。

指導方針と大切にしていること

ー生徒さんを指導する際に意識していることはありますか?

スシアナさん:まず、生徒の良いところを見つけ、「もっとこうすると良くなるよ」と前向きに伝えることを大切にしています。生徒が努力してきたことをまず認めることで、自信につながるからです。

また、基礎をしっかり身につけることを重視しています。「ピアノが弾ける」と言っても、姿勢が不安定なまま弾いていることもあります。ピアノは鍵盤を押せば音が出ますが、ただ音を出すのではなく、音楽的に表現できるよう指導することを大切にしています。

小さな子どもにとって、最初から楽譜を読むのは難しいですが、少しずつ取り入れていくことを意識しています。というのも、小さいお子さんは耳が発達しているため、耳で聞いて真似する方が早いですが、この方法だけでは、ある程度のレベルに達したときに難しい曲に対応できなくなり、挫折してしまうことがあります。そこで、幼い頃から音符や楽譜に触れる習慣をつけ、将来読譜ができ、自分で練習できる力を育てることが大切だと考えています。

レッスン形態と料金について

ーレッスン時間や予約制について教えてください。

スシアナさん:レッスンは1回あたり30分が基本ですが、45分のレッスンもあります。毎週決まった時間・曜日に通いたい方には、月に3回または4回のコースを取っていただいています。

現在、不定期でレッスンを受けている生徒さんもいらっしゃいます。シフト制で働く大人の方や、遠方から通われる生徒さんもいるため、そのような場合は予約制を導入しています。小さなお子様の場合は、月3回または4回の固定制を推奨しています。

今後の展望と取り組み

ー今後どのようなことに取り組んでいきたいですか?

スシアナさん:生徒さんの習い方が変わってきているのを感じています。全員ではありませんが、ピアノを続けたいと思っていても、自宅での練習が難しいという状況が増えてきました。そのため、宿題だけを出すのではなく、教室で一緒に譜読みを行い、家で練習しやすいようにサポートする方法を取り入れています。また、自宅でも練習時間が取れない場合は、教室で一緒に練習しながら曲を仕上げていく工夫をしていきたいと考えています。

高学年になると、学校の勉強が忙しくなり、ピアノの練習も大変になります。ピアノは本当に忍耐力が必要なことですので、長く続けられるように、そして楽しく取り組めるように工夫していきたいと思います。

これからピアノを習いたい方へのメッセージ

ーSIMCでピアノを習いたいと思っている方へメッセージをお願いします。

スシアナさん:当教室では、さまざまなニーズに対応したレッスンを提供しています。コンクールに参加したい方や、学校で伴奏を担当したい方など、それぞれの目的に合わせてレッスン内容をカスタマイズできます。

ピアノを習うことで脳の発達が促され、心も大きく成長します。私が最も大切にしているのは、『生の楽器』を通じて音楽を感じてほしいということです。

現在、デジタル音楽が豊富で、YouTubeなどで簡単に音楽を聴くことができますが、やはり生の音を通して、自分の表現を大切にして演奏してほしいと思っています。また、発表会などの舞台に立つことで、日々の練習の成果を発表し、達成感を感じていただきたいです。日本語のピアノ教室は多いですが、英語や中国語、インドネシア語で学びたい方にとっては、選択肢が限られていることが多いです。「日本語は難しいけれど英語は話せる」「中国語は話せるけれど日本語は難しい」といった方にこそ、ぜひSIMCを利用していただきたいと思っています。実際に、ホームページでは楽典の一覧表や発表会の案内をさまざまな言語で提供しています。