えほん楽団は、0歳から入場可能な「絵本と音楽のコンサート」を通じて、子どもたちや被災地の方々に音楽の力を届ける活動を行っています。2011年の東日本大震災をきっかけに設立され、全国各地で公演を実施。音楽を通じた支援活動の背景や今後の展望について、詳しくお話を伺いました。

えほん楽団の活動内容とは?
ー改めて、御社の活動内容について教えてください。
えほん楽団は「音楽で世界を元気に」をテーマに、0歳から入場可能な絵本と音楽のコンサートを開催しています。ただ楽しむだけでなく、より大きな目的があります。2011年の東日本大震災を機に、遠く離れた九州から何かできることはないかと考え、チャリティーコンサートを開催しました。そこから活動が広がり、現在では被災地支援をはじめ、全国のさまざまな地域でコンサートを行っています。
私たちのコンサートは、赤ちゃんや小さな子どもがいるご家庭でも気軽に参加できることが特徴です。通常のコンサートでは、小さな子どもを連れて行くことが難しいですが、えほん楽団のコンサートでは、赤ちゃんの泣き声も子どもたちの歓声も「音楽の一部」として受け入れています。そのため、親子で安心して楽しめる空間を提供しています。
また、単なる音楽鑑賞ではなく、ストーリー性のあるプログラムを通じて、子どもたちの想像力や感受性を育むことを目的としています。音楽と絵本の融合により、子どもたちがより深く物語の世界に入り込めるよう工夫しています。

えほん楽団を立ち上げたきっかけ
ー設立のきっかけや、前野さんがこの活動に携わるようになった背景を教えてください。
きっかけは、やはり東日本大震災でした。ニュースで被災地の状況を見て「何かしなければ」と居ても立ってもいられなくなり、募金活動だけではなく、直接支援ができないかと考えました。そこで、顔の見える支援を目指し、被災地に足を運んで生の音楽を届けることにしました。
実際に現地へ行ってみると、想像を絶する状況で、音楽を届けることの意味を改めて考えさせられました。最初は「何しに来たんだ」と厳しい言葉をかけられることもありましたが、それでも続けることで、少しずつ受け入れられるようになりました。
その後、コーディネーターの方と出会ったことで活動が広がり、仮設住宅でのコンサートや追悼演奏等、宮城県での音楽支援が継続的に行えるようになりました。また、熊本地震で私自身が被災したことで、支援される側の気持ちも理解するようになり、活動の在り方について改めて考える機会となりました。
えほん楽団の特徴と強み
ー活動の特徴や強みについて教えてください。
えほん楽団の大きな特徴は、「0歳から入場できるコンサート」を提供していることです。一般的なコンサートでは、赤ちゃんが泣いたり、子どもが騒いだりすることが敬遠されがちですが、私たちはそれらを「音楽の一部」と考えています。
また、コンサートは単なる鑑賞ではなく、ストーリーに合わせた演奏を行うことで、子どもたちが集中して楽しめる工夫をしています。最近では、障がいを持つお子さんや、そのご家族も気兼ねなく参加できるような取り組みも進めています。
さらに、音楽の力を活かして、社会的な課題にも取り組んでいます。例えば、子ども食堂でのコンサートや、病気療養中の親子のための特別公演など、より多くの人が音楽を楽しめる機会を提供しています。

活動方針と支援者・ボランティアとの関わり方
ー活動の方針や、支援者・ボランティアの方々との関わりについて教えてください。
えほん楽団は非営利の団体であり、収益が出た場合はすべて被災地支援や社会貢献活動に充てています。ボランティアの方々と協力しながら、活動を支えています。
特に、後継者不足が課題とされるNPOの中で、私たちは若い世代の育成にも力を入れています。共に演奏し、教えてきた生徒や子どもたちが、音楽の道を継ぎ、活動に参加してくれているのも大きな強みです。また、九州出身の東京藝術大学の学生たちが関わることで、故郷へ音楽を届ける機会も生まれています。
今後の展望
ー今後の展望について教えてください。
今後は「体験と学習」をより重視した活動を展開していきたいと考えています。ただコンサートを開くだけでなく、子どもたちが実際に楽器を演奏する機会を増やし、音楽を通じた学びを提供していきます。
また、演奏を披露する場を設けることで、音楽を通じて自己表現やプレゼンテーション能力を高める機会を作りたいと考えています。音楽は単なるエンターテインメントではなく、心の安定や学習能力向上にもつながるため、その可能性を最大限に活かしていきたいですね。

参加を検討している方へメッセージ
ー最後に、えほん楽団の活動に興味を持った方へメッセージをお願いします。
ぜひ、私たちの活動に共感していただけたら、コンサートへ足を運んでみてください。そして、支援やボランティアとして関わっていただける方も大歓迎です。一緒に、音楽で世界を元気にしていきましょう!