チェコ・プラハでの音楽留学経験を持つストラトゥラット 里枝先生が主宰する『エンジェルトーンピアノ教室』。2歳の幼児から退職後の大人まで、幅広い年齢層に音楽の楽しさを伝えています。里枝先生が作曲したオリジナル教材を使った子ども向けレッスンや、年に一度の発表会で行われる「音楽物語」の舞台制作など、独自の取り組みが特徴です。音符の読み方や演奏技術だけでなく、音楽を通じて想像力や自信を育み、人生の糧となるレッスンを目指す里枝先生の教育理念や教室の魅力に迫ります。

名古屋市立菊里高等学校 音楽科卒業
フェリス女学院大学 音楽学部ピアノ科卒業
フェリス女学院大学 音楽学部ピアノ科 ディプロマコース終了
チェコ共和国プラハ音楽院にて2年にわたりピアノ演奏法、室内楽の研鑽を積む
プラハ音楽院終了後、演奏活動・ピアノ講師として活動しプラハ12年滞在を経て帰国。
2015年4月 エンジェルトーンピアノ教室開設。2児の母
音と遊ぶ喜びの扉:小児からシニアまで響く個性豊かなレッスン

ー里枝先生、本日はどうぞよろしくお願いいたします!まず簡単に、どういった方を対象にしているピアノ教室なのか、そしてどういった指導を行っているのか、『エンジェルトーンピアノ教室』の概要について伺えますか?
ストラトゥラット 里枝 主宰(以下、敬称略):対象の方は、2歳くらいの小さい子から、退職されて自由に過ごしていらっしゃる大人の方まで幅広く、全く制限がありません。
小さいお子さんには、私がオリジナルで作った歌を使い、音楽に自然に親しんでいけるようなプログラムを作りました。ピアノを弾くことの苦労をできるだけ感じないまま音楽の世界に入っていける形で指導しています。
小学生は楽しく演奏ができるようになるようなクラスを心がけ、大人の方はストリートピアノで弾きたいという方もいらっしゃるので、最初は「人前では弾けない」と言っていた方が、段々自信を持って演奏できるようにサポートしています。
また、‟トーンチャイム”という柔らかい音色の楽器を使ったレッスンも行っています。
国境を越える音楽の物語:生徒たちが創り上げる感動の舞台

ー教室独自の取り組みとして他にはどのようなものがありますか?
里枝:毎年の発表会では「音楽物語」という企画を行っています。これまでに「くるみ割り人形」や「眠れる森の美女」、「動物の謝肉祭」など5作品ほど上演してきました。劇の要素を入れたり、スライドで絵を映したり、ナレーターも加えて、感動的な舞台を作り上げています。
ピアノ演奏ももちろん入れていて、生徒さん全員が何らかの形で参加します。演技をする子も、ピアノを弾く子も、みんな生徒たちです。

最近の例では、「世界の国歌を歌おう」というプロジェクトを行い『国歌でオリンピック』というオリジナル舞台にしました。11カ国を紹介し、例えばドイツのパートではノイシュヴァンシュタイン城の紹介や、バッハ、ベートーベン、ブラームスといった「ドイツ3大B」の話をしながら、子どもたちが国旗を振って登場するという演出も取り入れました。

プラハからの旋律:音楽に情熱を捧げた里枝先生の軌跡
ー里枝先生ご自身の音楽人生について、教えていただけますか?
里枝:3歳から大手音楽教室に通い始め、小学校最後までお世話になりました。専門家コースに入っていたので、小学校1年生から作曲や即興演奏の宿題が出されていました。
中学からは新しい先生の下でピアノを学び、音楽高校、音楽大学へと進みました。小さい頃から留学を決めていたので、チェコのプラハへ留学し、そこで現在の主人とも出会いました。12年ほどプラハで過ごし、現地の子どもたちへの指導経験も積みました。長女が4歳の時に日本に帰国しました。
ー留学先でチェコ語も習得されたそうですが、どのように学ばれたのですか?
里枝:最初は「こんにちは」程度しか分からない状態でしたが、日本人留学生の輪に閉じこもらず、現地の人たちと積極的に交流しました。最初の1年はドイツ語でレッスンを受けていましたが、チェコ語の上達が早かったので、先生から「来年からチェコ語でレッスンする」と言われました。
日本から持って行ったチェコ語辞書をボロボロになるまで使って必死に勉強しました。分からない言葉をどんどん覚えていく毎日でしたね(笑)。
言葉を超えた表現:プラハで培った国際感覚と教育への情熱

ー『エンジェルトーンピアノ教室』を始められたきっかけは何だったのでしょうか?
里枝:プラハから日本に戻る際に、「すぐにできることで、プラハでの経験が活かせること」を考えました。それはやはり、子どもたちへの音楽指導だったんです。帰国したらすぐに始めようと思い、それが教室を立ち上げるきっかけになりました。
大学時代から少年少女合唱団の伴奏をしていたこともあり、子どもたちと音楽を通して関わることは自然な流れでした。
ピアノの音色に込めた夢:独自の教育メソッドが魅せる世界

ー他のピアノ教室と比べて、『エンジェルトーンピアノ教室』の最大の特徴は何でしょうか?
里枝:やはり「音楽物語」はこの教室でしかできないと多くの方に言っていただいています。舞台での表現を通して音楽を体験できるのが特徴です。
また、小さい子向けのレッスンで使うオリジナルの歌も好評です。「ドレミファレッスン始まるよー」という始まりの歌や、「ありがとう、また遊ぼう」という終わりの歌を通して、ご挨拶のマナーも自然と身につきます。毎度「ご挨拶しましょう」と言わなくても、音楽を通して自然と学べるので、お母様方にも喜んでいただいています。
ーリズムや音楽で覚えるというのは効果的なんですね!
里枝:そうなんです。短い覚えやすいフレーズで、楽しく繰り返すうちに自然と身についていきます。終わりの歌を忘れると「先生、今日終わりの歌ないの?」と子どもたちから指摘されるほど定着しています(笑)。
心に響く音色の秘密:想像力を育む独自の指導哲学

ー生徒さんへの指導で、特に重視されていることはありますか?
里枝:レッスンで最も大切にしているのは「想像力」です。音を通じてどんなイメージが湧くか、特に大きな子どもたちには「この曲を作った時のベートーベンはどんな状況だったと思う?」「耳が聞こえなくなって絶望している時に、このメロディにはどんな気持ちが込められているだろう?」と問いかけます。
そういった対話を通じて、表面的だった演奏に深みが生まれていくんです。音楽を弾くだけでなく、それが日常生活にも繋がってほしいと思っています。作曲家の心を読み取る経験は、人間関係で相手の気持ちを汲み取る力にも通じますから。
「できない」で終わらせるのではなく、「どうすればできるようになるか」という前向きな姿勢を大切にした言葉がけを心がけています。
ー楽譜に込められたメッセージの「読み方」を教えるのは、難しくないのですか?
里枝:私自身も多くの先生から学んできた経験を活かしています。ただ説明するだけでなく、「こういう表現もある」と実際に複数のパターンを弾いて見せ、どれが生徒にピッタリくるかを一緒に探ります。
言葉だけでは伝わりにくいので、私自身もいつでも演奏できる状態を保ち、実演を通して伝えるよう心がけています。
遊びながら身につく音楽の基礎:感性を育む多彩なコース設計

ー提供されているコースやプランについて、簡単に教えていただけますか?
里枝:3才からの「どれみふぁレッスン」では、オリジナル教材を使って遊びながら音楽の基礎を身につけていきます。例えば、クマのぬいぐるみを持ってリズムを叩いたり、「フルーツ屋さんごっこ」をしながら音符の長さを学んだりします。「わんちゃんのメロディ」を私が弾いて「誰がお買い物に来たの?」と尋ね、「わんちゃんです」と答えた子どもが、1拍に1つだけ果物を置くといった遊びを通して、自然と音楽の要素を吸収できるよう工夫しています。
1歳からの「音のとびら」コースもあります。まだ小さい子どもには、私が弾く音を聞いて楽しむ時間も大切にしています。ドレミファソラシドに対応した色のカードを箱に入れる遊びなども取り入れ、遊びながら音感を養っています。
絶対音感のトレーニングも早い時期から取り入れています。「フェアリーコース」や「エンジェルコース」では、ピアノで弾いた音に対応するカードを選ぶゲームから始まり、段階的に聞いた音を楽譜に書けるようになるところまで指導します。
ートーンチャイムについてもう少し詳しく教えていただけますか?

里枝:トーンチャイムはハンドベルの一種ですが、音色がとても柔らかいのが特徴です。狭い部屋でも心地よく響く優しい音色を持っています。
このトーンチャイムを取り入れた理由の一つは、ピアノの音色の理解を深めてほしいという思いがあります。ピアノが単に「トントンパチンパチン叩く」楽器ではなく、繊細で美しい音を出す楽器だということを体感してほしいんです。
また、トーンチャイムは一人が1〜2音だけを担当するので、自分の音を大切に出すことの重要性も自然と学べます。みんなで協力して一つの音楽を作り上げる喜びも味わえるのがこの楽器の良さです。
天使の音色をピアノで:繊細な音色を引き出す独自のアプローチ

ー「エンジェルトーン」という教室名からして音色へのこだわりを感じますが、どのように美しい音色を引き出す指導をされているのですか?
里枝:音色を変えるには、もちろんタッチや脱力、体の使い方といった技術的な面も大切ですが、最も重要なのは「こういう音を出したい」という想像力です。
ただ楽譜上の音符を見て機械的に押しているだけでは、音色は変わりません。「ここは音がこのように流れていますね」と一緒に音楽の流れを感じ、「ここでは点々と弾くのではなく、こんな風に弾くとどうでしょう」と実際に示しながら指導します。
音の流れを意識することで、自然と体の使い方も変わってきます。想像力を働かせることが、美しい音色を生み出す鍵なんです。
音楽で育む自信と勇気:舞台に立つ喜びを伝える挑戦

ー今後、より強化していきたい点や取り組みたいことについて教えてください。
里枝:最近の発表会後に特に感じたのは、まだステージに立つことを怖がる子どもたちが多いということです。その気持ちはよく理解できますが、ステージを楽しめるようになってほしいと強く思います。
大人の生徒さんは本当に発表会を楽しみにしていらっしゃる方が多いのに、子どもたちはまだ自分に自信が持てていないことが多いんです。
チェコで見てきた子どもたちはとても自立していて、自分の意見をはっきり言える力を持っていました。日本の子どもたちにもそういう自信を持ってほしいと思います。
音楽の技術を上げることはもちろん大切ですが、みんながプロのピアニストになるわけではありません。この音楽レッスンを通して自信を育み、それが将来の人生においても大きな力になるようなレッスンを目指していきたいです。
国境を越えた教育観:チェコと日本、二つの文化から生まれた教育理念
ーチェコと日本の子どもたちの違いについて、教育の観点から感じることはありますか?
里枝:チェコの子どもたちの自立心と主体性には本当に驚かされました。
例えば、チェコでは子どもが教室に行くときも「行ってらっしゃい」と送り出すだけ。私がプラハから帰国する際も、子どもたちが自分たちでお花を買って持ってきてくれました。何かをしようと決めたら、すぐに行動に移せる力を持っているんです。
ある日チェコ人の講師に私が強くお叱りを受けていた時に、チェコ人の子どもたちが「ここは里枝の部屋だから!」「里枝は良い先生だから!」と私を守るために割って入ってくれたことがありました。日本だと多くの子どもは黙って引き下がりますが、チェコの子どもたちは自分の意見をはっきり伝える勇気があります。
この経験から、自分自身の子育ても「自分で出来そうな事はどんどん挑戦してみてごらん」「わからない事が出てきたら、すぐ答えを聞かないで自分で工夫してごらん。何かアイディアが見つかるかもしれないよ。それでもわからない時は聞いてね」と、チェコの子育てを参考にしてきました。こうした自立心は、音楽教育においても大切にしたい要素です。
奏でる未来への贈り物:音楽を通じて人生を豊かにするレッスン

ー最後に、『エンジェルトーンピアノ教室』への入会を考えている方へメッセージをお願いします!
里枝:音楽を通じて想像する力や人を大切にする心を育み、それが自分の音となって、聴いている人たちを癒せるような演奏ができるようになってほしいといつも願ってレッスンをしています。
単に技術だけでなく、音楽を通して豊かな心を育てるレッスンに興味がある方は、ぜひ一度見学に来てください。体験レッスンも行っていますので、お気軽にお問い合わせください。