「どんな曲も尺八で楽しめる」井本蝶山尺八教室が目指す、敷居を低くした邦楽教育

10歳という若さで尺八を始め、プロの演奏家として活動する傍ら尺八教室を主宰する井本蝶山さん。

伝統芸能は敷居が高いというイメージを払拭し、初心者でも気軽に通える教室づくりに取り組んでいます。

古典から現代曲まで、生徒一人ひとりの希望に寄り添った指導を通じて、尺八の新しい可能性を広げる教室の活動について、井本さんにお話を伺いました。

教室概要

ー まずどういった方を対象にどのようなレッスンをされていますか?

井本さん:尺八という楽器は小さなお子様には扱いが難しいため、小学校高学年から上は大人、ご年配の方まで幅広い年齢層を対象に指導を行っています。

基本的には月2回の1時間個人レッスンを提供していますが、2時間レッスンを希望される方や月1回のペースを希望される方など、生徒さんのご要望に応じて柔軟にお時間を調整させていただいています。

設立の経緯ときっかけ

ー この教室を始められたきっかけについて教えて頂けますか?

井本さん:私自身、10歳から尺八を始め、プロを目指して大学を出て、演奏家として活動してきました。

その中で、自分が演奏活動をするだけでなく、より多くの方に尺八という楽器に触れていただきたいという想いが強くありました。

特に邦楽や伝統芸能の習い事は、「どこで習えばいいか分からない」「料金体系がホームページに掲載されていない」「お免状取得に多額の費用がかかるのでは」「楽器の入手方法が分からない」など、始めるまでの障壁が多いと感じていました。

そこで、これらの情報をできるだけオープンにし、どなたでも興味を持っていただけるような、通いやすい教室を作りたいと考えました。

現在は、できるだけ多くの方の目に触れるよう、複数の地域で教室を展開しています。

特徴とアピールポイント

ー この教室の特徴やアピールポイントについて教えて頂けますか?

井本さん:生徒さん一人ひとりのニーズに合わせた指導を心がけています。

プロを目指したい方には、それに応じた専門的な指導を行い、趣味として楽しみたい方々には、その方の興味に合わせたレッスンを提供しています。

例えば、古典的な内容に興味がある方には、基礎から段階的に古典曲に触れていただけるようなカリキュラムを組み立てています。

一方で、お免状取得や古典には特に興味がなく、現代曲やポップスを演奏したいという方には、希望する曲を中心にレッスンを進めています。

私自身、尺八を始めたきっかけが、祖父が主催した演奏会での経験でした。

それまでは年配の方が知らない曲を演奏するというイメージしかありませんでしたが、その演奏会で若手の演奏家がクラシックや歌謡曲、ポップスなど、私が知っている曲を演奏するのを聴いて衝撃を受けました。

尺八でそのような演奏ができることを知り、自分もやってみたいと思ったのです。

生徒に指導する際に意識していること

ー 生徒さんに指導される際に大切にしていることや、意識していることについて教えてください。

井本さん:最も大切にしているのは「楽しんでいただくこと」です。

現在通われている方々は、ほぼ全員が趣味として尺八を始められた方々です。

好きで選んだ趣味が、指導が厳しすぎたり練習がハードすぎたりすることで苦痛やストレスになってしまっては本末転倒です。

もちろん、技術的な向上のために練習は必要ですが、個々の生徒さんの負担にならないよう工夫したプログラムを考え、指導の中でもなるべく楽しんでいただけるような工夫を心がけています。

生徒さんたちが尺八を始めたきっかけは様々で、以前から興味があった方や、ご家族が使っていた楽器がきっかけとなった方など、それぞれ異なる動機で始められています。

今後のビジョンと展望

ー 教室として今後強化していきたい点や、新たに取り組んでみたいことはありますか?

井本さん:現在はまだ生徒数が多くありませんが、今後生徒さんが増えてきましたら、複数地域にある教室合同でのコンサートの開催や、他の尺八教室との合同勉強会の実施を考えています。

また、お箏やピアノなど、他の楽器との合奏の機会も増やしていきたいと考えています。

私自身、4歳からお箏を習っていた経験もあり、和楽器同士や洋楽器との共演など、様々な可能性を追求していきたいと思っています。

記事を読んでいる方へのメッセージ

ー 最後に、ご教室に興味を持たれた方にメッセージをお願いできますでしょうか?

井本さん:敷居が高いと思われがちな尺八ですが、少しでも興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。各教室では無料の体験レッスンを実施しています。

古典から現代曲まで、どんな曲でもご希望に沿った内容でレッスンを提供させていただきます。

まずは体験レッスンで尺八の魅力に触れていただければ幸いです。