現代社会では、日々の忙しさに追われ心身のバランスを崩しがちな女性たちが増えています。そんな中、京都・宇治にある『UjiYogaHouse』では、女性限定の少人数制というアットホームな環境で、心と体の両面からアプローチするヨガの指導が行われています。26年もの運動指導歴を持つ川合幸子氏が主宰するこの教室では、単なる運動としてのヨガではなく、古典的なヨガと科学的な根拠にもとづいたからだメンテナンスを組み合わせた独自のプログラムを提供。誰もが自分自身と向き合い、自らをケアできる力を育むことを大切にしています。レッスン後に設けられるお茶会では、参加者同士が気軽に交流できる貴重な場となっており、女性たちの心の拠り所として地域に根付いています。今回は川合氏にインタビューを行い、『UjiYogaHouse』の理念や特徴、そして「真の幸せとは何か」というヨガの本質に迫るお話を伺いました。

・UjiYogaHouse主宰
・SivanandaYoga VedantaCenter認定 シヴァナンダヨーガ講師
(全米ヨガアライアンス200時間修了)
1979年6月生まれ
京都生まれ京都育ち、宇治市在中
立命館大学産業社会学部卒業
大手スポーツクラブでフィットネス(運動指導)部門の品質管理を行う
フリーランスとなりUjiYogaHouseOPEN
女性だけの安らぎ空間『UjiYogaHouse』の理念

ー川合さま、本日はどうぞよろしくお願いいたします!まず『UjiYogaHouse』は、どのような方を対象にしたヨガ教室で、どのような指導を行っているのかを教えていただけますか?
川合幸子 主宰(以下、敬称略):『UjiYogaHouse』は女性専用のヨガ教室です。現在は20代から70代まで幅広い年齢層の方に来ていただいています。10代後半の方も受け入れていますし、お子さんがお母様と一緒に来られることもあります。
クラスは大きく分けて2種類あります。
1つは古典的なヨガをベースにしたクラス、もう1つは機能解剖学や運動生理学に基づいた体を調整するクラスです。従来のヨガと体のメンテナンス、この2つの観点からアプローチしています。
心身の不調を乗り越えた川合氏自身の変化と教室開設のストーリー

ー川合さまがこちらのヨガ教室を開かれた経緯やきっかけを教えてください。
川合:私は18歳の頃から健康産業に携わっていて、大手スポーツクラブでアルバイトから始めて正社員になり、長く働いてきました。その間に私自身が心身のバランスを崩す経験をし、ヨガを始めたことで体と心が整っていくのを実感しました。それをきっかけにヨガをさらに深く学ぼうと思い、退社しました。
スポーツクラブはどちらかというと、すでに元気な人がより元気になっていくというイメージが強かったんです。ですが、私がヨガを始めた時に通った先生の自宅で行われていた教室では、どんな状態でも受け入れてくれる雰囲気がとても素敵で、自分自身が救われた感じがしました。だからこそ、私も自宅で少人数の教室を始めることにしたんです。
教室を始めるにあたり「元気なときもそうでないときも、どんな時でも来られるような場所を作りたい」と思いました。古典的なヨガは心の動きを穏やかにしていくもので、心が落ち着くと体のバランスも自然と整っていきます。ヨガではポーズを取りながら体を動かしますが、実はターゲットとしているのは心やエネルギー(気)の部分なんです。そこにアプローチすることが、心身のバランスを整える助けになります。
少人数とお茶会を大切にする理由~親密なコミュニティが育む癒しの場

ー他にもヨガ教室は沢山ありますが、『UjiYogaHouse』ならではの一番のアピールポイントを教えてください。
川合:『UjiYogaHouse』の大きな特徴は、少人数制で女性限定というところです。一人ひとりの状態をしっかり見て、個別にガイドしています。大人数のクラスだと何をやっているのか分からなくなることもありますが、そういった心配はありません。
もう一つの特徴は、レッスン終了後に自由参加のお茶の時間を設けていることです。そこでは様々な方のお話を聞いたり、自分のことを話したりできます。もちろん話さなくても全く問題ありません。他の方の話を聞くことで新たな視点が生まれたり、同じような悩みを既に乗り越えている人の話から勇気をもらったりする場になっています。
「感じる」を大切にする独自の指導メソッド~言葉より体感を重視
ー生徒さんたちに指導する際に、特に意識していることや方針などがあれば教えてください。
川合:生徒さんが自分自身をどう感じているかをとても大切にしています。自分の体や心の中の感覚をしっかりと捉えていただくことを常に意識しています。
ヨガのクラスでは、言語化しすぎないようにしています。なぜなら、言葉で説明しすぎると頭が忙しくなってしまうからです。ヨガの時間は心の落ち着きや心身の平和を育むことに焦点を置いています。
一方、体のメンテナンスのクラスでは、自分の感覚と実際の体の動きのズレを修正していくことに取り組んでいます。
実際に効果を感じてくださる生徒さんも多いんですよ。例えば、膝に違和感があった方がクラス終了後に「ここに来たらいつも調子がよくなる」と言ってくださったり、ヨガのクラスでは心が整って気持ちがすっきりし、表情まで明るく変わる方もいらっしゃいます。
外側の成功より内なる幸せを~ヨガが教えてくれる本当の豊かさ

ー現代の日本人に必要な「幸せの感覚」とは、どのようなものだと川合さまはお考えですか?
川合:私がヨガの哲学を学ぶ中で最初に問いかけられたのは「幸せとは一体何で、どこにあるのか」という問いでした。人は幸せを外に求めがちですが、外から得られる幸せには必ず終わりがあります。何かを手に入れた時の幸せは、いずれ薄れていってしまうものです。
では終わらない幸せはどこにあるのでしょうか?それは自分の内側にしかありません。多くの人がそのことに気づいていても、「内側」という場所が抽象的でわかりにくいため、どうしても外に探しに行ってしまうのです。これは、家の中で針を落としたのに、家の中が暗いからという理由で外で探すようなものです。
現代人は常に外側に意識が向いていますが、自分の心の動きや体の感覚に意識を向けることで、自分の中に「安全な場所」があるという感覚を身につけていくことが大切です。そこに至る手段は必ずしもヨガである必要はありませんが、ヨガはそこにたどり着きやすい道筋の一つだと思います。
物質的に成功している経営者の方々が瞑想やヨガを始めるのは、外側の成功や刹那的な幸せを十分に味わった上で、それでも本質的な幸せがそこにないことに気づいているからでしょう。真の幸せは、「私」を正しく理解するところから始まるのです。
古典と科学の融合~シヴァナンダヨガと解剖学に基づく3つのクラス
ーどのようなコースやレッスンプランを提供されていますか?
川合:主に3つのクラスを提供しています。
まず60分間の「からだメンテナンス」のクラスがあります。これは解剖学や運動生理学に基づいた動きで、体の不調を感じにくくしていくものです。
2つ目に90分間の「ヨガクラス」です。これはシヴァナンダヨガという伝統的な流派のヨガをベースにしています。呼吸法やポーズを通して心を整えていきます。
3つ目に90分間の「ヨガニドラー」というクラスも提供しています。これは「眠りのヨガ」と呼ばれるもので、眠りと覚醒の間のような状態で深いリラックスを味わえるクラスです。
私自身、20歳の頃からスポーツトレーナーとして26年の指導歴があります。元々大手スポーツクラブでチーフトレーナーや品質管理の仕事をしていました。ヨガの面では国際資格RYT200の取得プログラムも修了しています。
私が教えているシヴァナンダヨガは、インドの伝統的な流派の一つで、世界中で行われています。創始者のスワミ・シヴァナンダは西洋医学の医師でもあった方で、体からのアプローチだけでは十分でないとしてヨガの教えを広めました。このヨガの特徴は毎回同じプログラムを行いますが、同じことを完全に同じようにできるわけではありません。そこから気づきを得たり、体調や心の状態によって体の動きが変わるのを観察したりできるのが魅力です。
『UjiYogaHouse』の「からだメンテナンス」のクラスとよくある整体との大きな違いは、私が直接施術するのではなく、生徒さん自身が動いて自分の体を調整していくことです。セルフでできることを伝えて、自宅でも続けてもらえるようにしています。これなら再現性があり、教室に来なくても自分でケアができるようになります。
「依存させない教室」の哲学~川合氏が貫く‟誠実”な指導姿勢

ー今後強化していきたい点や新たに取り組みたいことはありますか?
川合:特に新しいことは考えていませんが、体の勉強とヨガの勉強は常に続けています。インドの先生からヨガの哲学や教えを学び続けていますし、身体についての知識も深めています。
私は生徒さんに「心身が健康になるより良い手段が他にあればそちらを選んでも大丈夫ですよ」と伝えています。また、しばらく来られなくても罪悪感を持たないでほしいと思っています。ふらっと来たいと思った時に来てくれれば十分です。無理に引き止めたりはせず、まるで友人の家に遊びに来るような気軽な気持ちで来ていただければ嬉しいです。
私自身は来てくださった方に自らの知識と経験を惜しみなく提供するように努めています。しかし、生活の中で優先順位が変わったり、気持ちが変わったりすることもあると思います。他に大切なことや良い教室が見つかればそちらを選んでいただくことが生徒さんの幸せにつながります。ヨガでは執着は苦しみを生むといわれています。お互いが幸せになれるベストな関係でいたいと思っています。
自分の心と体を最良の友に~川合氏からのメッセージ

ー『UjiYogaHouse』に興味のある方々へ、川合さまからメッセージをお願いします!
川合:『UjiYogaHouse』は生涯、自分の心と体と共に歩んでいきます。この心と体を上手に使いこなせれば、人生という長い旅路で最良の味方になってくれるものです。『UjiYogaHouse』では、単にポーズを教えるだけでなく、あなた自身が自分の心と体をより深く知り、日常生活の中で自らケアできる力を育むお手伝いをしたいと思っています。
女性は年齢を重ねるごとに様々な変化を経験します。それらの変化に恐れや不安を感じるのではなく、「これも自分の一部」と受け入れ、時には笑い合いながら共に乗り越えていく仲間がここにはいます。初めて知らない人の家を訪れることは勇気のいることかもしれません。でも、今通われている皆さんも最初は同じ気持ちでした。だからこそ、新しく来られる方の気持ちに寄り添い、温かく迎え入れてくれます。
あなたの「ちょっと行ってみようかな」という小さな一歩が、自分自身との新しい対話の始まりになるかもしれません。気負わず、まずは体験にいらしてください。あなたとお会いできる日を心から楽しみにしています。