コンプリメントトレーニングで実現する不登校支援―子どもの自信を育む新しいアプローチ「キッズカウンセリング寺子屋」

35年の教員経験と23年にわたる不登校支援の研究から生まれたコンプリメントトレーニングを提供している「キッズカウンセリング寺子屋。」

独自の手法で99%の子どもたちの登校を実現してきた取り組みについて、代表の森田直樹氏にお話を伺いました。

不登校支援への革新的アプローチ

ーまず、どのような方を対象に、どんなサービスを提供されているか教えてください。

森田氏:不登校の子どもを学校に戻すことを主なサービスとしています。

私が開発したコンプリメントトレーニングは、親御さんを対象としたプログラムで、この方法を学んでいただくことで、不登校を改善へと導いています。

さらに、学校現場での活用も視野に入れており、教育委員会や学校と連携することで、地域の不登校を2年以内に半減させることも可能です。

60日以内で子どもたちの多くが登校へ向けて動き出し、7年程度引きこもっていた事例でも学校復帰を実現した事例もあります。

さらに特筆すべきは、40代の引きこもりケースでも、70代の母親がコンプリメントトレーニングを実践することで、社会復帰を果たした例も複数確認されています。

不登校の本質的な原因と解決への道筋

森田氏:私が23年前にこの研究を始めた当時、不登校の児童生徒数は10万人に満たなかったのですが、現在は35万人近くまで増加しています。

この急増の背景には、不登校の原因と対策の認識の誤りがあります。

多くの支援者は「好きなことをさせましょう」というアプローチを取り、全国の学校にスクールカウンセラーを配置して対応してきましたが、結果として不登校は増加の一途を辿っています。

35年間の教員経験から、私は子どもたちのストレス対処能力の低下が本質的な問題だと考えています。

私の提唱する「自信の水」という概念は、子どもの自己肯定感と自己有用感を表しています。

文部科学省の調査でも、日本の子どもたちの自己肯定感は先進7カ国中で最下位であり、アメリカと比較すると5分の1程度しかありません。

コンプリメントトレーニングの具体的手法

森田氏:「自信の水」を育むための具体的な方法が、親からの「愛情」と「承認」という2つの言葉かけです。

例えば、子どもの行動に対して「お母さん嬉しい」という愛情の言葉と、「〇〇の力があるね」という承認の言葉を日常的に使用することで、子どもの自信が着実に育まれていきます。

最近の研究では、この心理的アプローチに加えて、学習支援も重要であることが分かってきました。

不登校の子どもにとって教室は「戦場」のような場所であり、そこで身を守るための「武器」として学力が必要不可欠です。

そのため、基礎的な学習能力を育てる「脳のストレッチ」と、LINE を活用した個別学習支援を組み合わせた新しいアプローチを展開しています。

支援の背景とビジョン

ー このような支援を始められた背景について教えていただけますか?

森田氏:教員時代、不登校の増加を目の当たりにし、当時主流だった支援方法に疑問を感じたことがきっかけです。

52歳で短期大学に転職し、同時に香川大学で臨床心理学を学び始めました。

しかし、全国の大学を調査しても、具体的な支援方法を研究している機関は見つかりませんでした。

そこで、教育現場での経験と心理学の知見を組み合わせ、独自の支援方法を開発することを決意しました。

企業研修で使われていたソリューションフォーカスアプローチなども参考にしましたが、最終的には教育の視点を重視した新しいアプローチを確立しました。

親御さんへのアドバイスと支援の要点

ー 親御さんに対して、どのようなことを意識して接していらっしゃいますか?

森田氏:不登校の期間が長引くと、その間の発達が停滞してしまう可能性があります。

例えば、小学2年生から中学2年生まで不登校だった場合、学校に戻っても精神年齢は小学2年生程度のままということがあります。

これは、学習面だけでなく、対人関係やソーシャルスキルにも影響を及ぼします。

親御さんには、「力がある」という言葉の本質的な意味を理解していただくことを重視しています。

これは、単に勝ち負けを競う力ではなく、他者の役に立つ力を指します。

毎日の電話相談を通じて、具体的な言葉かけの方法や関わり方をアドバイスし、継続的な支援を行っています。

不登校に悩む方へのメッセージ

ー記事を読む方へのメッセージをお願いします。

森田氏:コンプリメントトレーニングは、オープンな形で実施することを推奨しています。

不登校は必ず改善できるものであり、学校復帰が子どもの将来にとって最も有益だと考えています。

確かに、ホームスクールなど他の選択肢もありますが、現在の日本の義務教育ほど総合的な教育を提供できる場は限られています。

私たちが目指しているのは、「学校を利用して子どもを育てる」というアプローチです。

体育、美術、音楽など、多様な教科を通じた総合的な成長の機会を、最大限活用することを推奨しています。

これは、コストパフォーマンスの面でも、子どもの成長にとっても最適な選択だと確信しています。