不登校の子どもたちをマインクラフトでつなぐオンラインフリースクール「フォレストリンク」

不登校の子どもたちの新しい居場所として注目を集めているのが、オンラインフリースクール「フォレストリンク」です。マインクラフトというゲームを活用し、自宅にいながら仲間とつながれる場所を提供しています。教育現場での経験を持つ浜さんに、設立の経緯や活動内容についてお話を伺いました。

サービス概要と対象者

ーフォレストリンクはどのような方を対象に、どのような活動をされていますか?

浜さん:対象は小中学生の不登校の子どもたちです。その中でも、リアルなフリースクールや居場所にまだ通えていない、もしくは通うことにハードルを感じている方が中心です。

特徴として、コミュニケーションを取ることで、 全国の仲間との交流を通じて子どもたちが前向きな気持ちになったり、新しいことにチャレンジするきっかけを届けるために活動しています。

活動内容と特徴

ー具体的な活動内容を教えてください。

活動は火曜日以外の月・水・木・金の朝9時から12時までの3時間です。まず9時から30分程度は「朝の会」を行い、子どもたち同士やスタッフとの挨拶、コミュニケーション、様々なテーマについてのディスカッションを行います。参加は自由ですが、7割の子どもたちが参加しています。

MinecraftにはPC限定のJava版、Switchやタブレットなどでできる統合版があります。さらにゲームの遊び方として「サバイバル」「クリエイティブ」「HIVE」(世界中のユーザーがつながるサーバー)「Mod」などがあり、子どもたちによっては好きや得意な部分が違います。

その日の興味にあわせて、ルームを選択することができます。最近では【都市伝説の検証】や【みんなでケイドロ】など面白い企画が子どもたちから立ち上がることもあり、フォレストリンクの活動の幅がどんどん広がっていくことに運営側もワクワクしています。

設立の経緯

ーフォレストリンクを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。

浜さん:私自身が大学生時代に引きこもりを経験し、家にいる状況自体が自己否定的な思考を生むことを身をもって体験しました。その後、10年間中学校教員として勤務し、不登校の生徒たちへのサポートに携わる中で、公教育では踏み込めない部分があることを実感しました。

このような背景から、公教育では踏みこめない部分をサポートしたい手助けしたいと思い、2021年に独立したことが始まりです。最初は知人の不登校の子どものためにオンラインでの支援を始めました。

コミュニケーションを促進するツールとしてマインクラフトを選んだのは、ゲームを通じて自然な形で会話が生まれ、協力や感謝の気持ちを伝え合う機会が生まれると考えたからです。

フォレストリンクの強み

ー他のフリースクールとの違いや特徴を教えてください。

浜さん:最大の特徴は、ゲームを通じたつながりに特化している点です。あえて時間割のような枠組みは設けず、子どもたちの目線を大切にしています。大人の視点では様々な学びの機会を提供したくなりますが、それが逆に子どもたちにとって高いハードルとなることもあります。

ゲーム好き、だけど日中誰とも話す機会がなくモヤモヤしている子どもたちにとって、楽しくコミュニケーションがとれる居場所となることを目指しています。

コミュニケーションの特徴と工夫

ー生徒さんとのコミュニケーションで気を付けていることはありますか?

朝の会では大人数が参加するため、テキストチャットを中心としていますが、その後の少人数での活動では、ボイスチャットも活用しています。ただし、話すことにハードルを感じる子どもたちは引き続きテキストチャットを使用することもでき、読み上げBotを活用して会話に参加できるようにしています。

料金プラン

ー利用料金について教えてください。

フォレストリンクでは、利用頻度に応じて3つの料金プランを用意しています。

  1. エントリーコース:週1日の利用が可能なプラン
  2. フルタイムコース:週4日(月・水・木・金)いつでも利用可能なプラン
  3. 放課後プラス:通常の活動時間(9時〜12時)以外の時間帯も利用可能なプラン

※各プランの詳細な料金については、フォレストリンクのウェブサイトをご確認ください。

今後の展望

ー今後の取り組みについて教えてください。

浜さん:より多くの子どもたちに参加してもらいたいと考えています。参加者が増えることで、より多様な興味や趣味を持つ子どもたち同士のマッチングが可能になるからです。また、教室長という役割を複数の方に担っていただき、それぞれの個性を活かした形でフォレストリンクを展開していきたいと考えています。

さらに、子どもたちの創造性を活かし、社会にインパクトを与えられるような取り組みも検討しています。マインクラフト以外のゲームも取り入れながら、コミュニケーションと交流の場としての可能性を広げていきたいと考えています。

メッセージ

ーフォレストリンクの利用を検討されている方へメッセージをお願いします。

浜さん:不登校のお子さんが日中ずっとゲームをしていることに悩まれているご家庭には、ぜひお話を聞かせていただきたいと思います。ゲームが好きということは、同じ趣味を持つ仲間とつながれる可能性があるということです。

子どもが夢中になれるものを通じて、エネルギーを蓄えられる環境を作ることが大切です。それにより、お子さんの日常生活や表情が変わってくる瞬間が必ず訪れます。私たちは、子どもたちの幸せと将来を見据えた支援を続けていきたいと考えています。