「心配」から「わくわく」へ ー 不登校の子どもたちの可能性を広げるフリースクールの挑戦

不登校やフリースクール、オルタナティブ教育といった言葉に触れる機会が増えている昨今、教育の在り方や子どもたちの学びについて考える重要性が高まっています。しかし、実際のフリースクールの現場ではどのような教育が行われているのか、その詳細を知る機会は限られているのが現状です。

そこで今回は、「多様なまなびフリースクール〇〇がっこう」の取り組みにスポットを当てます。14年以上にわたり不登校の子どもたちの学びを支援してきた同校は、ダイビングインストラクターとしての経験を活かした独自の教育アプローチで注目を集めています。「あなたはどう生きていきたいの?」という問いかけから始まる同校の教育には、従来の学校教育とは異なる新しい学びの可能性が詰まっています。

2025年からはAI教育にも本格的に取り組むなど、時代の変化に柔軟に対応しながら、子どもたち一人一人の可能性を広げる取り組みを続ける同校の理念と実践について、詳しくお話を伺いました。

多様なまなびフリースクール〇〇(まるまる)がっこうが目指す、自分の意思で生きていく力を育む教育とは

不登校の子どもたちの学びの場として14年以上の実績を持つ多様なまなびフリースクール〇〇がっこう。ダイビングインストラクターとしての経験を活かし、子どもたちが自分で考え、決める力を育む独自の教育アプローチで、新たな学びの形を提供しています。

多様なまなびフリースクール〇〇(まるまる)がっこうの概要と特徴

ー多様なまなびフリースクール〇〇(まるまる)がっこうについて、どのような生徒さんを対象に、どのような指導を行っているのかを詳しく教えてください!

当校は正式名称を「多様なまなびフリースクール〇〇(まるまる)がっこう」といい、学校に通えない、または通うことが難しい子どもたちのためのフリースクールを運営しています。指導形態は大きく2つに分かれており、クラス形式での集団学習と、個別指導が必要な生徒に対する個別サポートを提供しています。それぞれの生徒の状況や特性に合わせて、最適な学習環境を選択できる体制を整えています。

フリースクール設立の経緯とビジョン

ーフリースクールを始められたきっかけについて、詳しくお聞かせください!

フリースクール設立のきっかけは2つあります。

1つ目は、私が23年間務めたダイビングインストラクターとしての経験からです。大学生にダイビングを教える中で、決められたことを忠実にこなすことは得意な反面、想定外の状況に直面すると対応できない学生が多いことに気づきました。これは日本の教育システムが、「決められたことを決められた通りにやる」ことを重視しすぎているためではないかと考えました。

2つ目のきっかけは、家庭教師センターで出会った不登校の生徒との経験です。その生徒が学校に戻った際、「指導」という名目で不当な扱いを受けました。学校側は生徒を守るのではなく、教員や学校組織を守る判断をしました。この経験から、既存の教育システムの中で居場所を失った子どもたちのための新しい学びの場が必要だと強く感じ、約14年前にフリースクールを立ち上げました。

独自の教育アプローチと指導方針

ー他のフリースクールにはない特徴や、最大のアピールポイントについて教えていただけますか?

当校の最大の特徴は、「あなたはどう生きていきたいの?」という問いかけを入学時に必ず行うことです。小学生や中学生にとって、すぐに答えを出すのは難しい質問かもしれませんが、自分の人生について考え始めるきっかけになると考えています。

また、教師が一方的に何かを決めたり指示したりすることは基本的にありません。生徒たち自身が「やりたいこと」を決め、実現していく場として機能しています。さらに、私のダイビングインストラクターとしての経験を活かし、生徒たちの決定を「待つ」ことができることも強みです。大人が早急に介入したり、口を出したりすることは、むしろ妨げになると考えているため、生徒たちの自主性を最大限尊重しています。

生徒との信頼関係構築を重視した指導スタイル

ー生徒さんの指導をする際に、特に意識されていることや大切にされている方針について教えてください!

私たちが最も重視しているのは、生徒との信頼関係の構築です。ただし、従来の教育現場でよく見られるような、大人側から一方的に近づいていくアプローチは取っていません。生徒一人一人には、それぞれのタイミングや感情があります。私たちは、生徒が自然に近づいてきてくれるのを待ちながら、じっくりと信頼関係を築いていくことを大切にしています。

多様なニーズに応える3つの学習プログラム

ー提供されているコースやプランについて、詳しく教えていただけますか?

現在、3つの主要なプログラムを提供しています。

1つ目は「不登校専門家庭教師」(旧パーソナルコーチプログラム)で、個別サポートが必要な生徒向けの拡張版家庭教師プログラムです。

2つ目は従来のフリースクール形式の集団学習です。「フライデークラス」と呼ばれる週1回のプログラムで、体験学習と学習サポートを組み合わせた形式です。

「フライデークラス」では、月4回のうち2回を体験活動に、残り2回を学習サポートに充てています。さらに、特徴的なのは、毎週月曜日の朝に30分間の「朝活」を実施し、週間スケジュールの立案や、前週の振り返り、時事問題の共有などを行っています。

次世代を見据えた新たな教育プログラムの展開

ー今後、より強化していきたい点や、新しい取り組みについて教えてください!

2025年4月から、新たに「子どもAIスクール」を開設する予定です。不登校の子どもたちと保護者が最も不安に感じているのは、将来の生活や経済的自立についてです。AIが社会に本格的に導入されるこのタイミングで、子どもたちがAIスキルを身につけることは、将来の重要な強みになると考えています。OpenAIのChatGPTがリリースされてから約2年が経過し、今後もAI技術の需要は高まっていくことが予想されます。早い段階からAIスキルを習得することで、将来の選択肢を広げることができると確信しています。

保護者の方々へのメッセージ

ー最後に、入会を検討されている生徒さんや保護者の方々へメッセージをお願いします!

不登校のお子様を持つ保護者の皆様は、将来への不安を抱えていらっしゃることと思います。それは、お子様を大切に思うからこその当然の感情です。しかし、私たちは未来には「不安」と同じくらいの「わくわく」が存在すると考えています。ぜひ、不安にばかりフォーカスするのではなく、わくわくする未来の可能性に目を向けていただきたいと思います。その方法は決して一つではありません。私たちと一緒に、お子様に合った最適な道を探していきましょう。