不登校や引きこもりで悩む子どもたちに、安心して過ごせる居場所を――。所沢SecretBaseでは、子どもたち一人ひとりに寄り添い、彼らが自分らしく成長できる環境を提供しています。地域の企業や団体とも連携し、子どもたちに職場体験や新しいスキル習得の機会を提供するなど、多角的な支援を展開。
設立の背景には、大人の都合で居場所を奪われる子どもたちの現実を目の当たりにした経験がありました。不登校の低年齢化が進む現代で、親子関係や家庭環境の改善を目指し、地域に根差した活動を続ける同団体。その取り組みと今後の展望を詳しくお伝えします。
事業内容と活動地域について
――所沢SecretBaseでは、主に小中学生から大学生まで、幅広い年齢層の子どもたちを対象に支援を行っていると伺いました。まずは、事業内容と活動地域について教えてください。
所沢SecretBase代表 清水さん(以下敬称略):小中学生については所沢市内のお子さんを中心に対応していますが、市外から通える場合は特に問題なくお受けしていますね。高校生や大学生については、県内や関東圏からも来てくれています。所沢SecretBaseの活動の目的は、不登校や引きこもりの子どもたちが安心して過ごせる居場所を作ることなんです。
午前中は、不登校のお子さんを対象に9時半から12時まで支援をしています。例えば、勉強が苦手な子には無理をさせず、自分がやりたいことを選べるようサポートしています。もちろん、勉強したい子には勉強をしっかりサポートします。一方で、同世代の子どもたちと交流できるコミュニティも提供しています。親御さんだけに頼らず、子ども同士が関わり合える環境を作ることも大切にしています。
午後には、高校生や大学生が中心となって、小学生の子たちをサポートしています。年齢の違う子たちが自然と触れ合えるので、新しい価値観や考え方に出会える良い機会になっていますよ。
活動のきっかけと課題
――所沢SecretBaseが始まった背景や活動を進める中で感じる課題についても教えてください。
清水さん:もともと私は学童保育の現場で働いていたんです。その時に、受け入れ人数の関係で退所させられてしまった子から、「どうせ私たちの事が嫌いだから辞めさせられたんでしょ」って言われたことがあって。それがすごく心に残っています。大人の都合で子どもたちの環境が急に変わることが、どれだけ子どもたちに影響を与えるかを実感した瞬間でした。
また、不登校の子たちを支援する中で感じたのは、ただ受け入れるだけでは不十分だということです。私たちの目標は、不登校の数を減らすことです。そのために、地域と連携して、子どもたちがもう一度学校に通えるようサポートしています。また、学校へ行く事が困難であっても別の選択肢を一緒に考えてお子さん一人ひとりの状況に合わせようと関わっています。
不登校問題の深刻化と年齢の低年齢化
――近年、不登校問題が深刻化しており、特に低年齢化が目立っています。この状況についても詳しく伺いたいです。
清水さん:昔は、不登校というと高校生が多かったんですが、最近では小学校1年生や保育園児まで広がっているんです。小さいうちから不登校になってしまうと、家庭の負担も大きくなるんですよね。特に、共働きの家庭では、どちらかの親が仕事を辞めざるを得ないことが多いんです。
また、小学校低学年のお子さんたちは、まだ自分の気持ちを言葉で伝えられない子が多いんです。その結果、集団生活になじめず、学校に行けなくなることもあります。こうした場合には、子どもたち一人ひとりのペースに合わせた支援を心がけています。親御さんへのカウンセリングも含めて、家庭全体を支える形を目指しています。
解決したい課題と現在の取り組み
――では、こうした問題に所沢SecretBaseがどういった支援を行って子どもたちの成長を支えているのでしょうか。
清水さん:所沢SecretBaseに来る子どもたちは、家庭や学校での人間関係に悩みを抱えている場合が多いんです。それに加えて、進路や将来への不安を持つ子も少なくありません。だからこそ、子どもたちが安心して話せる環境を整えることが重要なんです。
さらに、地域の企業や団体と連携して、子どもたちに職場体験やワークショップの機会を提供しています。例えば、地元の企業で行う職場見学や体験学習は、子どもたちが新しいスキルや知識を身につけるきっかけになっています。こうした体験を通じて、子どもたちは自信を持ち、自分の可能性を広げることができるんです。
今後の展望と支援の呼びかけ
――所沢SecretBaseの今後の展望や、利用したいと考えているお子さんやその親御さんにメッセージをお願いします。
清水さん:運営には課題が多いですが、今後はスタッフを増やしたり、研修を充実させたりしていきたいです。また、地域の企業や団体との連携を強化し、子どもたちにもっと多くの体験を提供したいと思っています。
資金面でも課題がありますが、地域の支援者やスポンサーを募りながら、より安定した運営を目指しています。特に、現場で働くスタッフの研修やスキルアップに投資することで、より質の高い支援ができると考えています。
加えて、地域を問わず、困っている子どもたちや保護者を支える輪を広げていきたいと思っています。資金の寄付や物資の提供、体験の共有など、どんな形でも構いません。一緒に子どもたちを応援していただけると嬉しいです。