「子どもの決断力を育む」30年の軌跡 ―NPO法人NPO法人子どもと生活文化協会(CLCA)が目指す次世代の社会教育

1992年の学校週5日制導入をきっかけに設立されたNPO法人子どもと生活文化協会(CLCA)。30年以上にわたり、子どもたちの社会教育に取り組んできた同法人は、キャンプや自然体験といった野外活動から、不登校・引きこもり支援まで、幅広い活動を展開しています。『決断する力を養う』という理念のもと、時代の変化に応じた支援を続けるNPO法人子どもと生活文化協会(CLCA)の取り組みについて、和田さんにインタビューしました!

サービス概要

ーCLCAではどのような活動をされていますか?

和田さん:私たちの活動は、子どもたちの健全育成から始まったのですが、現在では幅広い支援活動を展開しており、主に宿泊合宿を中心に、自然と触れ合う体験型プログラムを実施しています。具体的には植物観察会やきのこ観察会などを定期的に開催し、子どもたちが自然の中で学べる機会を提供しています。

また、社会問題となっている不登校や引きこもりの方への支援や就労支援や居場所づくりにも力を入れています。最近では「ヤッホこどもガーデン」という、就学前の子どもを持つ家族向けの体験型活動も始めました。

私たちは、子どもの問題は子どもだけの問題ではなく家族全体の課題であるという考えから、家族ぐるみでの参加を推奨しています。

設立の経緯

ー設立のきっかけについて教えてください。

和田さん:NPO法人子どもと生活文化協会(CLCA)は1992年、学校週5日制が導入され、土曜日が休みになった時期に設立しました。当時の社会環境を振り返ると、子どもたちの社会教育の場は驚くほど限られていました。ボーイスカウトや子ども劇場といった一部の団体はありましたが、子ども会は教育委員会の管轄下にあり、純粋な民間による社会教育の場がほとんどありませんでした。そんな背景があり子供たちの居場所を作りたいと考えたのが設立のきっかけです。

当社は設立の重要な理念として、「決断できる力を養う」ということを掲げています。教育現場では「よく考えなさい」という言葉をよく耳にしますが、実際には考えるだけでなく、決断する力が必要です。なぜなら、決断があって初めて具体的な行動に繋がるからです。この「決断力」の育成は、設立当初から現在に至るまで、私たちの活動の核となっています。

実は私自身、CLCAを設立する前は寄宿生活塾の塾長を務めていました。その経験が現在のCLCAの活動の基盤となっており、特に低年齢層の子どもたちへの支援において、その経験が活かされています。

サービスの特徴

ーCLCAの特徴や強みについて教えてください。

和田さん:私たちの最大の特徴は、小規模なNPO組織でありながら、総合商社のように多様な問題に対応できる体制を整えていることです。これを可能にしているのが、多彩な専門知識やスキルを持ったボランティアの方々の存在です。法律や心理、教育など、様々な分野の専門家が私たちの活動に協力してくださっています。

また、警察や教育機関、福祉施設などの関連機関とも強い連携関係を築いており、複雑な課題に対しても適切な支援を提供できる体制を構築しています。特に問題を抱える子どもたちや家族への支援では、この連携体制が大きな強みとなっています。

さらに、30年以上の活動実績を通じて蓄積してきた経験とノウハウも、私たちの重要な資産です。時代とともに変化する子どもたちの課題に対して、柔軟かつ効果的なアプローチを提供できることも特徴の一つです。

利用者と接する際に意識しているポイント

ースタッフの方々が特に意識されていることはありますか?

和田さん:私たちが最も重視しているのは、一人ひとりの子どもの個性を全体的に捉えることです。特に発達障害の傾向がある子どもたちに対する接し方には細心の注意を払っています。ともすると、発達障害の特徴だけに着目しがちですが、実際にはその特徴は子どもの人格の一部に過ぎません。その他の部分では非常に健全に成長している面も多くあるのです。

そのため、スタッフ間では「肯定的に人格を認めていく」ことを合言葉としています。これは単なるスローガンではなく、日々の活動における具体的な指針となっています。子どもたちの長所を見出し、それを伸ばしていく支援を心がけています。

また、家族全体を支援の対象として捉えることも重要な方針です。子どもの成長に関する課題は、多くの場合、家族環境と密接に関連しているためです。そのため、私たちの活動では家族参加型のプログラムを多く取り入れ、家族全体での成長を支援しています。

今後の展望

ー今後の取り組みについてお考えをお聞かせください。

和田さん:現代社会は非常に速いスピードで変化しており、私たちの活動もそれに対応していく必要があります。特に課題として認識しているのは、科学技術の進歩に伴う子どもたちの「生きる力」の弱体化です。便利な技術が発達する一方で、基本的な生活力や社会性が失われていく傾向が見られます。

この課題に対応するため、時代に合った先進的な活動を展開しながら、同時に基本的な生きる力を育むプログラムの開発に取り組んでいます。具体的には、デジタル技術を活用しながらも、実体験を重視した活動を計画しています。

また、組織運営の面でも新陳代謝を図ることが重要だと考えています。設立当初からのスタッフだけでなく、若い世代の視点や発想を積極的に取り入れ、時代に即した運営を目指しています。これは単なる世代交代ではなく、経験と新しい発想の融合を通じて、より効果的な支援活動を展開していくための取り組みです。

記事を読んでいる方に向けたメッセージ

ー最後に、活動に参加したい方やボランティアとして関わりたい方へメッセージをお願いします。

和田さん:CLCAの活動は、参加する方自身の成長の機会でもあります。私たちが求めているのは、自身も学び、人間的な成長を望む方々です。そのような志をお持ちの方であれば、経験や年齢に関係なく、どなたでも歓迎いたします。

ボランティアについても様々な参加形態を用意しています。完全無償のボランティアから、最低賃金や交通費を補償する有償ボランティアまで、それぞれの方の状況に応じて選んでいただけます。ただし、金銭的な報酬の有無に関わらず、最も大切にしているのは活動に対する志です。年度ごとにボランティア登録を更新する制度を設けており、それぞれの方の生活環境の変化にも柔軟に対応しています。

私たちの活動やイベント情報は、公式LINEやホームページで随時発信していますので、興味をお持ちの方はぜひチェックしてください。皆様と一緒に、子どもたちの健やかな成長を支援していける日を楽しみにしています。