障がい者支援からシニア世代の健康づくりまで – 和太鼓の可能性と魅力を伝える【NPO法人和太鼓文化研究会】

『日本の伝統楽器である和太鼓には、人々の心と体を豊かにする力がある』

『学校へ行きづらかった子どもが積極的になり、障がいのある方が生き生きと活動を始める』

「NPO法人和太鼓文化研究会」は、和太鼓のもつ力を人々に届けるため『太鼓で笑顔 みんな繋がれ 輝けいのち』を合言葉に活動を続け、今年で23年目を迎えました。

「誰もが和太鼓を楽しめる社会」の実現を目指し、その可能性を追求している「NPO法人和太鼓文化研究会」の倉持武夫さんにお話を伺いました。

社会貢献を見据えたNPO法人の設立背景

ー どういった方を対象にどのような活動をされているのか教えてください。

倉持さん:私たちは主に青少年や障がいのある方を対象に活動していますが、一般の方やシニア向けにも和太鼓の体験や教室、イベントを提供しています。

和太鼓は体や精神面に非常に良い効果があることが分かってきており、その特性を活かした活動を展開しています。

ー この活動を始められた背景やきっかけについて教えてください。

倉持さん:元々私と初代の理事長が別の会社で和太鼓に関する総合的サービスの提供という仕事に携わっていましたが、そこだけでは網羅できない非営利の活動を担う団体として立ち上げました。

特に経済的な弱者や社会的弱者の方々にも和太鼓の世界を提供していきたいという思いがありました。

支援と協力で実現する独自の和太鼓普及活動

ー 和太鼓の魅力を広げる活動される中で大切にされていることは何でしょうか?

倉持さん:ここ数年、和太鼓に触れる機会は随分増えてきていますが、多くの団体は事業として収益性を重視せざるを得ません。

私たちは助成金や多くの方の支援を受けながら活動を展開しています。

この活動は会員や賛同者の支えがあってこそ成り立っています。

特に大切にしているのは、まだ和太鼓の魅力を知らない方々への普及です。

和太鼓はまだまだニッチな世界で、日本文化としての魅力をもっと広めていく必要があります。

そのためには楽器、練習場所、指導者という3つの条件が必要で、これらの環境を整えていくことに注力しています。

和太鼓がもたらす子どもたちの変化

ー 和太鼓に触れるようになった子どもたちに変化は見られますか?

倉持さん:具体的な例がたくさんありますが、学校に消極的だったり、不登校や不登校気味、あるいは障がいがあることでなかなか普通の環境に馴染めないお子さんたちが、和太鼓を通じて驚くほど積極的に参加するようになります。

太鼓を叩くと音が出て楽しいという単純な喜びがきっかけとなり、集中力や周りの人と合わせる協調性が育まれていきます。

親御さんからも「こんなに熱心にやる姿は今まで見たことがない」という声もあります。

研究に基づく和太鼓の可能性追求

ー 今後の展望やビジョンについてお聞かせください。

倉持さん:和太鼓の魅力をより多くの人に広めていきたいですし、海外でのイベントでも注目されることが多い和太鼓を通じた国際交流にも力を入れていきたいと考えています。

さらに重要なのが、なぜ和太鼓がこれほど魅力的なのかという研究です。

和太鼓が持つ魅力や、子どもたちに与える影響についての研究成果はまだ数少ないのが現状です。

これからも研究を続け、その成果をもとに和太鼓の魅力を発信していきたいと思います。

年齢や目的に応じた多様な和太鼓教室

ー 現在実施されている教室の概要について教えてください。

倉持さん:定期的な教室はまだ数は少ないものの、月2回程度の子ども向け教室や障がい者向け教室を主催しています。

また、外部からの要請に応じて障がい者施設への指導者派遣や、高齢者の健康太鼓教室なども行っています。

対象年齢は小学生から中高生、就労している青年層、さらには50代60代以上のシニア層まで幅広く、それぞれのニーズに合わせた指導を行っています。

20周年を迎える記念イベントと年間行事

2025年2月23日には、「20周年記念和太鼓教育フォーラム」を国立オリンピックセンターで開催します。

このイベントは障がいのある方を対象とした和太鼓普及活動をテーマに開催してきた『和太鼓療育フォーラム』『和太鼓チャレンジコンサート』の開催20周年を記念して開催するもので、実践報告や学び・交流の場が設けられます。

特別講演として、東京大学先端科学技術研究センターの研究員で医学博士の宮崎敦子氏による「太鼓のリズムは脳にどのような影響を与えるか」をテーマとした講演も予定されています。

また、毎年恒例のイベントとして、12月第2日曜日に「和太鼓チャレンジコンサート」を開催しており、参加者を募集して、7月から半年かけて練習した成果を披露しています。

夏休みには子ども向けの1日体験教室や、2泊3日の合宿形式で生活を共にしながら太鼓の練習を行う体験合宿も実施しています。

ー 最後に、和太鼓に興味をお持ちの方へメッセージをお願いします。

倉持さん:和太鼓の楽しさをもっと多くの方に知っていただきたいですが、触れる機会もまだまだ限られています。

私どもにできることはまだ少ないかもしれませんが、皆様と一緒に各地域で和太鼓を体験できる環境づくりを進めていきたいと思います。

ぜひ皆様のお力もお借りしながら、和太鼓の教室や体験の場を全国に広げていければと考えております。