子どもたちの”楽しい”を大切に ー NHKテレビ体操現役実技者 新井 庸太が目指す”日本一楽しい”体操教室ACE Gymnastics Studio

「運動が嫌い」「体操が苦手」という子どもたちが通い続ける体操教室があります。講師は日本体育大学の体操部出身で、NHKテレビ体操に現役の実技者として出演中の新井先生。技の習得に重点を置く従来の体操教室とは異なり、子どもたち一人ひとりの「やりたい」という気持ちを大切にした指導で、運動の楽しさを伝えています。子どもたちが自然と「体操に行きたい」と言い出す、その秘訣に迫ります。

子どもたちの「運動を楽しむ」を大切にする体操教室

ー現在運営されているACE Gymnastics Studioについてご紹介ください。

新井さん:現在運営している体操教室ACE Gymnastics Studioは、1歳から中学生までを対象としています。高校生までの受け入れも可能です。将来的には高齢者や働き世代の方々にも体操を教えていきたいと考えていますが、現在の教室では子どもたちに焦点を当てています。

海外経験から得た新しい体操教室の形

ー体操教室を始めようと思ったきっかけを教えてください。

新井さん:高校まで野球を続けていましたが、大学から日本体育大学の体操部に所属しました。そこは競技ではなく、集団で演技を行う体操部だったのですが、海外の大きな世界体操祭に参加した際、老若男女・障がいの有無に関係なく、みんなで体操を楽しみ、演技を見せ合い、称賛し合う姿に感銘を受けました。

日本の体操教室は技の習得に重点を置くところが多いのですが、私は運動すること自体の楽しさを伝えたいと考えています。走る、飛ぶ、転がるといった基本的な運動が楽しいと感じられれば、大人になっても高齢者になっても運動を続けるはずです。そういった運動の本質的な楽しさを教えたいという思いで教室を始めました。

一人ひとりの個性を大切にした指導方針

ー他の体操教室と比べて特に大切にされていることは何でしょうか?

新井さん:子どもたちがたのしいと感じられるものを第一に考えています。その中で自主的に・積極的に動くこと、笑顔が出ることを大切にしています。

子どもたちには、運動の方法は伝えますが、それぞれの解釈で動きを表現することを認めています。他の教室では「違う、こうしなければダメ」と指導されることが多いですが、ACE Gymnastics Studioではその子が感じたままの表現を受け入れます。

必要に応じて「次はこんなふうにやってみよう」と提案することはありますが、子どもたち自身が「やりたい」と思えるような言葉がけを心がけています。

この方針は、子どもから高齢者まで一貫して変わりません。また、私は必要な時には叱ることもありますが、基本的には先生というよりお兄さんのような感覚で接しています。子どもたちが大人にもフラットに話しやすい環境づくりを心がけています。

個性を活かした段階的な指導

ー小学生に指導する際に特に意識されていることを教えてください。

新井さん:子どもたちにはそれぞれ得意分野があります。ジャンプが得意な子、走るのが得意な子、転がるのが得意な子、ボール投げが得意な子など様々です。まずはその得意分野を早く見つけ出し、そこから指導を始めます。

自分の得意なことを見つけ、それを楽しむことができれば、子どもたちは自然と他の運動にも挑戦するようになります。当初は「苦手だろう」と思っていた運動にも、自分から「やってみたい」と言い出すようになるのです。

今後の展望:地域の健康づくりの拠点へ

ー今後の展望についてお聞かせください。

新井さん:現在、多世代交流イベントを定期的に開催しています。子どもたち、親子、高齢者が一緒に体操を楽しむ場を設けることで、地域のつながりも生まれています。このような活動を日本各地に広げ、地域の健康づくりに貢献していきたいと考えています。

また、日本では「体操」というと競技的な要素が強調されがちですが、もっと気軽に楽しめる運動として認識されるよう、イメージの転換を図っていきたいと思います。

メッセージ:「日本一楽しい体操教室」を目指して

ーホームページをご覧になった方や保護者の方へメッセージをお願いします。

新井さん:自信を持って言えるのですが、おそらく日本で一番楽しい体操教室だと思います。実際、ACEにいく日でなくても毎日のように「体操行こー」と親御さんに言っている子どもたちばかりです。

特徴的なのは、運動が得意な子よりも、運動が苦手だった子や嫌いだった子の方が多いことです。運動の楽しさを知ってもらい、好きになってもらうことを第一に考えています。また、必ず一人ひとりと向き合い、コミュニケーションを取るようにしています。遊び場の少ない地域にお住まいの方も、ACE Gymnastics Studioを気軽に体を動かす場として活用していただければと思います。