オルタナティブ教育の新しい選択肢、認定NPO法人ASOVIVA ー学びの多様性を広げる取り組み

「学校に行かない選択は、決して不幸なことではありません」。そう語る長村氏は、自身の不登校経験から新しい学びの場「認定NPO法人ASOVIVA」を立ち上げました。固定のカリキュラムを持たず、子どもたちが主体的に学ぶスタイルで、教育の多様性を広げています。

オルタナティブスクールとしての特徴

ー認定NPO法人ASOVIVAはどのような方を対象に、どんな活動をされている法人なのか教えてください。

長村氏:当校はオルタナティブ教育、つまり学校の代わりとなる教育機関として運営しています。一般的なフリースクールとの大きな違いは、学校への復帰を目的としていない点です。公教育が合わない子どもたちにも、自分に合った学校を選べる選択肢があってよいという考えのもと、ここ自体を一つの学校として位置づけています。

活動内容は非常に体験的な学習が中心です。また固定のカリキュラムやプログラムを持たないことも特徴です。子どもたちは毎日2回のミーティングを通じて、その日の活動を話し合いながら決めていきます。音楽活動やおやつ作り、たき火、遠足、物作り、読書など、日によって全く異なる活動を行います。行事作りやルール作りなども、子どもと大人が話し合って決めています。

設立の経緯と理念

ーこのような活動を始められたきっかけを教えてください。

長村氏:私自身が小学校5年生で不登校になった経験が原点です。当時は選択肢を知らなかったため、学校に行けない自分は「駄目な人間だ」と思い込み、自傷行為や摂食障害なども経験しました。しかし、母が情報を集める中で、学校以外の選択肢があることや、学校に行かなくても充実した人生を送れる可能性があることを知りました。

その経験から、小学校入学時から自分に合った教育環境を選べる社会であってほしいという思いが生まれました。また、不登校により人との関わりが減り、世界が狭くなっていく中で、もっと学びたい、人と出会いたいという思いも強くありました。私と同じように学校に行くことに困難を感じている子どもたちが、必要以上につらい思いをしなくて済むように、この地域に新しい選択肢を作りたいと考え、2019年4月に開校しました。

スタッフと子どもたちの関わり方

ー子どもたちと接する際に意識されているポイントを教えてください。

長村氏:認定NPO法人ASOVIVAの大きな特徴として、大人と子どもは対等な関係性であることを大切にしています。私たちは「先生」ではなく、子どもたちがやりたいことをサポートする存在として接しているのです。

具体的には何かを指示したり許可を出したりするのではなく、必ず対話を通じて交渉するようにしています。例えば「〜しなさい」という指示ではなく、「こういう事情があるんだけど、こうしてもらえないかな」というように、話し合いを重視しています。

進路選択と自主性の育成

ー実際の進学状況や将来の選択について教えてください。

長村氏:これまでの卒業生は5名で、それぞれが自分の意思で進路を選択しています。公立高校への進学や、通信制高校を経て大学・専門学校への進学など、様々な道を歩んでいます。重要なのは、これらの選択がすべて子どもたち自身の意思によるものだということです。

柔軟な運営体制

ー具体的な運営時間について教えてください。

長村氏:運営時間は平日の月曜日から木曜日、午前10時から午後5時までです。子どもたちは好きな時間に来校し、好きな時間に帰ることができます。

対象年齢は5歳から19歳まで。古民家を活用した校舎では、年齢による教室の区分けは行わず、異年齢での縦割り活動を重視しています。

料金システムと利用可能な助成制度

ー具体的な料金体系について教えてください。

長村氏:入学金は5万円で、月額は利用形態によって2つのコースを設定しています。制限なく通学できるレギュラーコースが3万5000円、月5回までの利用が可能なビジターコースが2万円となっています。

また、経済的なサポート制度も整っています。大阪市内在住の方は塾代助成制度の対象となっており、1万円の助成を受けることができます。さらに、チャンス・フォー・チルドレンという団体の助成金制度も利用可能です。こちらは所得制限がありますが、条件を満たす場合は支援を受けることができます。

なお、初回の見学や体験は無料で受け付けていますので、興味をお持ちの方はぜひ一度足を運んでいただければと思います。

今後のビジョン

ー今後の展望についてお聞かせください。

長村氏:スクールとしては、より専門的な学びの機会を提供するため、プロジェクト方式の導入を検討しています。例えば、専門家を招いて半年間かけて有機農業に取り組むなど、より深い学びの機会を作っていきたいと考えています。

また個人としては、講演活動を通じて全国に活動の輪を広げていきたいと考えています。今年は書籍も出版し、来年度は47都道府県すべてで講演活動を行うことを目標としています。

メッセージ

ー最後に、利用を検討されている方へメッセージをお願いします。

長村氏:学校に行かない選択は、決して可哀そうなことでも不幸なことでもありません。むしろ、そこにはすごくポジティブな面が隠れていて、それが見えづらくなっているのがもったいないと感じています。

学校に行かないことを選んだ子どもがいることで、大人も凄く解放されたり、「こんな風に自由に生きていいんだ」ということを子どもたち自身が教えてくれたりします。このきっかけを大切に育んでいきたいと考えています。

できるだけ楽しく、大人も明るく、ワクワクした気持ちで前に進んでいきたいと思っている方は、ぜひ一度認定NPO法人ASOVIVAに足を運んでいただければと思います。初回の見学や体験は無料で承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。